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-Death On The Stairs-

So baby please kill me Oh baby don't kill me 浦和とかサッカーとか。

浦和レッズ2016のまとめ と 2017展望

尊敬するブロガー様に倣い、セルフインタビュー形式でお送りいたしますw

 

ーまずは2016シーズンの感想をざっくりと。

ACL、リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯と4つのタイトルを戦って、ルヴァンカップを制覇。リーグ戦は勝ち点74で年間1位。ACL天皇杯は共にベスト16進出もPK戦で敗退。最後の最後の1戦で印象が良くないのも確かですが、個人的には十分満足といえる1年だったという気がします。今は。」

 

ー本音のところを簡潔に。

「ええ加減きっちり締めてくれないと、胃痛で死ぬ。」

 

ーレギュレーションにはやはり不満が?

「いかに糞みたいなレギュレーションでも、シーズン開始前に確定している以上、そこにアジャストせねばなりません。どれだけ不満に思おうが、そこで結果を出せない限り何も言えませんので。」

 

ーこちらも本音は。

「勝ち点差15って5ゲーム分なんすけど、それが無になるってどういうことなん(迫真)?」

 

ー4シーズン目となったミシャ政権ですが評価は。

「1年目を除いて、やっていることに大きな変化はありません。強いて言うなら選手の起用法・守備のやり方に一定の進歩はあった気はします。」

 

ー選手の起用法の変化とは。

「今までは自分の要望で獲得した選手でも、一定の水準に達しない限りは起用を避けてきました。今現在もその要素は十分に残ってはいますが。とはいえオリンピックを含めた過密日程の影響で、起用する選手の枠を自ら拡大せざるを得なくなった。その中で高木や駒井といった若手選手を積極的に起用し、彼らがある程度モノになりました。実のところこの二人はシーズンの戦力として非常に重要だった。終盤に李や宇賀神が負傷した穴を彼らが埋めたわけですから。」

 

ーとはいえ高木、駒井はミシャの基準に達したわけではない?

「自分はミシャ本人ではないのでハッキリとした回答は示せません。ただ、恐らくこの二人はまだ合格点には達していない感はあります。例えば高木は個人としての技術は高いのですが、反面浦和のシャドーに求められる『トランジションとしての仕事』を十分にこなせていない。駒井は1対1の体勢でこそ真価を発揮するアタッカーですが、1対1になる前からドリブルを仕掛けようとする気がある。ポジショニングに修正が必要なんです。

あとこれは完全に余談ですけど、”小柄なアタッカー”ばかり取るので、ミシャはそういう選手が好き・・・というレッテルを貼られることが多いですよね。ただ、僕個人としては単純に”スキルフルな選手”が好きなんじゃないかな?と思っています。で、その水準に合わせて獲得した選手が”小柄である”というだけのような気はしてます。『卵が先か、鶏が先か』みたいな話ですけど。だからまぁ同じポジションで、同じ仕事が出来そうな、サイズのある選手がいたら普通に取りに行くわけです。それがラファ・シルバや菊池じゃないかなと。」

 

ー守備のやり方の変化とは。

「1年目はリトリート。翌年から主導権を取るべく積極的なプレッシングを試みていますが、2~3年目は世界的な『ゲーゲンプレッシング』流行の影響を受け過ぎて、自滅しました。特に夏場はダメだった。今年はちょっと冷静になったというか。もちろん奪われたら『即時奪回を目指す』という狙いは変わらないのですが、相手がボールキープしている時にやみくもにプレッシングを掛けにいく...というシーンは減りました。前線がファーストディフェンダーとなる、ボールを軸にした守備が出来ていたような印象があります。それが年間勝ち点1位の要因にもなっているかと。」

 

ーもう少し詳しく。

「以前までは『即時奪回』に拘るシーンが目立っていました。それも病的に。『奪われたらすぐ奪い返す』をお題目のようの唱え、実行していました。もちろん実れば問題ないのですが、実際には人数をかけたプレスが外され、その裏に空いたスペースにパスを通される…という目を覆いたくなるようなディフェンスが散見されました。何故そんなことになるかと言うと、浦和の可変システムとゲーゲンプレッシングの相性が良くないから...だと思います。」

 

ー相性とは。

「浦和は攻撃時と、守備時でシステムを変えるチームである・・・というのはもはや説明不要とは思いますが一応以前作った図をここでも再利用しましょう」

基本形 3-4-2-1

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攻撃時4-1-4-1

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「守備時には基本形に戻して、実質3バック+2WBでガッチリ守る。攻撃時には4バックに変更して、中盤をあえて空洞化させ、前線に厚みを与え、敵陣でのポゼッションを高める...という狙いがあります。この辺の切り替えはオートメーション化してはいますが、あくまでも『ボールが切れた段階』で切り替えるのが原則になっています。

ただし問題となるのは、(当たり前ですけど)守備のシーンでは必ずしも『基本形には戻りきれない』事が多々起こり得る...ということ。攻撃時全てのシーンをシュートで終われればその限りではないのですが、どこかしらでパスを相手にインターセプトされたり、ドリブルをカットされるシーンが当然出てくる。そうなると...」

 

ー『攻撃型』布陣のままで守備をする必要があります。

「一見して分かる通り、浦和の攻撃形は中盤が空洞化しています。ポゼッションを取っている段階では、前線5枚は横並びで、バイタルエリア付近にいることがほとんどです。すると、もしもボランチの位置からのボールをパスカットされた場合、空洞化した中盤(柏木の両隣)に容易にパスを出されてしまう。」

 

ーリスクが高いと。

「この事態は攻守でフォーメーションを切り替えるからこそ起こるエラーです。これを防ぐ選択肢は数パターンありますが、これまでミシャが選択していたのは、『即時奪回』を基本とした『プレッシング』でした。プレッシングを選択するメリットとしては、もしも前線のプレスでボールが奪えればそのまま攻撃が続行できるという点。或いは奪うまでいかずとも『相手のカウンターを止める』か『ボールを切る』ことで、フォーメーションを戻す時間が取れることです。」

 

ーしかし、実際にはプレスが外されての失点も多かった。

「結果的には十分にプレスのかからないシーンも多かった。故にその弱点をピンポイントで狙われて、カウンターから失点という形が相次いだのが2015シーズンでした。」

 

ーそれは何故?

「プレスの実行レベルが低かった...と言わざるを得ません。戦術というよりも、『個人の感覚』と『頑張り』に支えられているようなプレス守備だったので。例えばファーストディフェンダーが既に縦のコースを限定しているにも関わらず、もう一人のディフェンダーが同じコースに入ってしまい、相手に中央へ展開される余地を与えてしまったり逆もまた然り。『奪いたいのか、切りたいのか』がはっきりしない守備になって、そこの隙を突かれている印象がありました。本来プレスに関与しなくてもいい選手まで引っ張られ、結果的に柏木の横以外にもスペースを作ってしまったり。」

 

ー槙野が上がりすぎていて、左サイドの広大なスペースを悠々とカウンターに使用される、という悲しいシーンもありました。主にガンバのパトリックに。

「そういうことがこのチームでは起こり得るわけです。何故ならチームがボールを持っている際には、『前線で数的優位を生かして、ポゼッションを展開すること』...を求められるからです。守備的なリスクを背負ってでも繋ぐ。前線の人数よりも、相手の人数が多いと踏んだら、後ろの選手たちも参加して、敵陣でのポゼッションを継続することが求められます。ということはなんとしてもシュートで終わる、あるいはボールを切るプレーで『常に自分たちの時間で終わらせること』が大事になります。しかし、それを90分続けられるチームは世界的にも稀有でしょう。ということはプレッシングを戦術として体系化するか、あるいはリトリート含めたリスクマネージメントを考えるほかない。」

 

ー2016年に関しては、そこに一定の進歩があった。

 「戦術的な進歩とはちょっと違いますが。先ほども書きましたが、やみくもに飛び込まなくなったし、群がらなくなった。パスミスが相手にわたってしまった場合には、ボール保持者に対峙するプレイヤーがファーストディフェンダーとなって獲りに行く。これ自体は変わっていませんが、プレイの優先事項としては『ボールを奪回すること』というよりも、『相手に前にボールを出させない事』に変化していました。またファーストディフェンダーをむやみにフォローしようとする選手も減り、まずは自陣への回帰を進め、ボールを獲れそうな追い込み方かどうかを見極め、『獲れる』と踏んだならばフォローにいく...など、守備に関する取捨選択が明文化していました。」

 

ーそれはミシャの指導?

「すみません。そこが今一つ分からないのですが、相手がボール保持している場合のゾーンディフェンスの方法などは、定石通りのものでもあるので、何かしらの指導強化はあったのでは?と思います。ただし、終盤の試合...特に大事な試合になればなるほど(ルヴァンカップ決勝ガンバ戦・最終節マリノス戦・CS鹿島戦など)以前の悪癖が露呈し、同じパターンで失点を繰り返してしまいました。ですので、戦術としての徹底が為されていたのかは怪しい部分もあります。とはいえサッカーはピッチで選手がやるもの。厳しい局面と焦りから、選手本人に旧来の悪癖が出て、そのような守備方法を取ってしまった可能性も否めないので、一概に監督の責任...とも言い切れないのですけど。ただ結果的に2016年の最も勝たなければならない試合でそれが出てしまったので、勝負弱い監督...というレッテルを拭うことが出来ませんでした。なんとも残念です。」

 

ーピッチ外に関しては。

三菱自工のゴタゴタで散々煽られたりしたわけですが、その動揺がピッチ上には反映されなくて助かりました。うまくマネージメントしてくれた淵田さん始め経営陣には敬意を示したいです。逆に淵田さんは胃の痛い日々だったでしょうけど。」

 

ーサポーターとして今回の件はどのように見ていましたが。

「そもそも犬飼社長時代に、三菱とは一定の距離感を取る取組をしている事を知っていたので、古株のサポーターほど動揺しなかったのではないでしょうか。『広告料』という名目で多くのJリーグチームが受けている『赤字補てん』契約に関しても、『うちは赤字無いのでいりまへん。もっとお金くれるスポンサーに広告枠使います』と突っぱねて、自工の人間に歯ぎしりさせた一件とかリアルタイムで見ていたので。逆に煽ってくるマスコミとかを見ながら『ホント、メシのタネが無いのね』と思っていました。」

 

ー補強に関しては。

 「ほぼほぼ期待通りの活躍でした。遠藤は即戦力の期待通りの活躍。駒井も終盤には定位置を奪取しました。イリッチに関しては残念なアレですけども」

 

ー課題に関しては。

「前述しましたが、やはり老朽化してきた可変システムでしょう。ここに手を入れない限り、新たな一歩は見えないと思います。」

 

ー老朽化とは。

「元々はフォーメーション界で圧倒的マジョリティだった4-4-2を攻略するために考案されたシステムだったわけですが、今では『多数のシステムを併用する』チームが増えた。よって浦和に抵抗してシステムを変化出来るチームが普通にあるわけです。その中でこの可変システムを使用していくメリットが少なくなっています。」

 

ー数少ないメリットとはどのようなものでしょう。

「相手が自分のチームのシステムに合わせる...ということは、相手の形をこちらが強制できるということでもある。相手のシステムをコントロールできる...というのは使い様によってはメリットになり得ます。あるいは相手をこちらの形に沿わせることで、精神的優位に立てる...という目に見えないメリットもあるかもしれません。

あとは相手を自陣に追い込むことで、ポゼッションを確保できるくらいですけど、準備万端の相手エリアでポゼッションすることに、現代サッカー的にはまったく旨味を感じません。いかに早く敵ゴールに近づくが近年ポイントになりつつありますからね。

ただ、問題なのはミシャが『相手陣でポゼッションを取ること』に『旨味』を感じているところです。。」

 

ーというと?

「年度頭にミシャが所信表明を出すんですが、そこに昨年のベストゲームが1stステージの横浜戦と書いていまして。その理由が『相手陣内で最もゲームを支配したゲームだから』と言ってるんですよね。」

www.urawa-reds.co.jp

今シーズン、戦い方としては、相手のピッチで攻撃も守備も試合を進めたいと思っています。自陣でプレーする時間を少なくした戦い方を考えています。昨年のアウェイの横浜F・マリノス戦は0-0で終えました。見方によってはマリノスがいい守備をしたというのがあったのは私は残念でした。私はあの試合に見えたものは、監督をしていてベストに近いと思える試合でした。あの試合、マリノスは確かコーナーキックがなかったと思いますし、おそらく我々のピッチでのフリーキックもほぼありませんでした。そしてシュートも記憶がある限る1本か2本だったと思います。80パーセントくらい相手ピッチでのゲームでした。やはり内容、精度の部分では、もう少し求められるものがあってもよかったと思いますが、試合をするにあたって、我々の意図、やり方というものは、非常に興味深いものがありました。あの試合、マリノスが無失点で抑えたということで、マリノスの守備を評価する方も多かったと思いますが、私が見る限り、良い守備をしていたのは、むしろ我々だったと私は評価しています。相手ピッチでボールを奪い、攻撃を仕掛けることを繰り返しすることができました。自陣にリトリートして、ブロックを作って守るのがいい守備だと思われがちかもしれませんが、今のサッカーのトレンドを見ても、いかに相手ピッチでボールを奪うかということ思います。

コンビネーションの精度、フィニッシュの精度というものは上げていかなければいけないと思いますが、あの試合のように、相手ピッチでボールを奪うことを常にできるようなチームになっていけば、今シーズンも我々にとっていいシーズンになるのではないかと思います」

 「まぁこれはあの試合に対して不満を示したり、マリノスの守備を褒めたりしたマスコミに対しての意趣返しという印象が強いんですが(笑)。ただこの理屈の根底にあるのは『相手陣内でポゼッションしてんのやからええやん』といういわゆる『糞ポゼッション』に対する信仰でして。それに対してはうう~ん、と言わざるを得ない感じはあります。」

 

ーもう少し詳しく。

「先ほども書いた通り、現代サッカーでは『いかに相手のゴールに早く近づくか』ということが重視されています。それに倣って守備戦術も発展し、いかに『良い守備」をしてそこから『時間をかけず』に攻めるか。要するに『攻守の切り替え』が重視されています。と、なると遅攻では単純に間に合わない。相手ゴールに近づくまでに余分なパスを2~3本使うだけで、相手は守備ブロックを構築できてしまいますから。まだJでは未発達ではありますが、これからどんどんと『素早く、なおかつ正確に攻守を切り替える』チームが増えていくはずなので、より一層考え方を変えていかないといけないと思います。ただ浦和に関しては今後どうなるのかはまだ良く分かりません。」

 

ーそれでは続けて来季の展望を。まずは補強から。

「相手に対策された際の手数が少なかったので、それ用の選手を補強したという感じでしょうか。フォーメーション選択の柔軟性が無いに等しいので、逆に状況に応じてそれにあった選手を入れて何とかしようという感じだと思います。

ラファエル・シルバはカウンター時のスピード、オナイウは放り込む時のターゲット。長澤は武藤、矢島は柏木、菊池は関根・宇賀神のそれぞれバックアッパーです。もちろんそれ以上の可能性を秘めた選手たちだと信じていますけども。特にオナイウとか、うちのFW陣には無い武器をもった選手なので、非常に期待しています。

本当は戦術を改革することから考えてほしいです(笑)。とはいえ攻撃が手詰まりになった際の手を考えてくれていることに関しては良かったなぁと。」

 

ー戦術に関しては。

「キャンプの情報を見ている限りでは、大きな変化はないでしょう。まがりなりにも昨年は勝ち点1位ですので、大きく変化させる必要は無いんでしょうけど。

ただ練習試合とかの情報を見ていると、ラファ・シルバの1トップに興梠、武藤のシャドーを試しているのが興味深いですね。先ほど指摘したとおり、現行システムの難点は攻撃時に柏木の両脇が空いてしまうことです。そこを誰かがカバーしない限り延々とこの弱点を相手に突かれ続けます。そこをカバーすべきなのは、両WB・両SB・2シャドーのどこかになるはずですが、ミシャはシャドーにその役割を託すのかもしれません。

個人的には悪くない選択だなと思います。興梠・武藤ともにボールキープに長けていて、運動量も豊富、そして縦への意識が強い選手です。両選手ともに前所属チームでは攻撃的MFを任されていた時期もありますし、おそらくCH的な役割の適正も高い二人だと思います。二人が場合によっては低めの位置取りをとって、柏木からのボールを正確に前へと運ぶ役割を果たしてくれれば、より高いポゼッションが保障できると思います。ただし守備的なタスクを任せると二人の高い得点能力が存分に生かせない気はするので、良し悪しだとは思いますが。反面二人が攻守に走り回ることで、攻撃にダイナミズムが生まれる予感はあります。二人ともスペースを見つけて、そこに駆け込む能力は高い選手なので。またこういった役割をシャドーに課すようだと、李や長澤も十分に活躍できると思いますし、菊池のシャドーでの起用も見えてくる気がします。

またラファ・シルバも現在の面子では繊細な動き出しとボールタッチが必要なシャドーでプレーするよりも、相手の隙間を狙って動き出せる1トップの方が能力を存分に発揮できるかもしれません。今の所ポストワークも問題なくこなしているとのことですし。とはいえ、ポストワーカータイプではないので、味方が作り出したスペースを再三の動きだしで突っつき続けるのが主な役目になりそうですが。

ただしシャドーのポジションの選手が守備的なタスクをこなすようになるとすれば、WBの選手は、より攻撃で『決定的な仕事』をこなす必要性が生まれます。実質的には3トップのウィングのような役割になるはずなので。そうなると宇賀神・関根にはシュートの決定力も求められるわけですが、そこには根本的な意識改革が必要になってくる気はします。二人ともシュートの意識がそこまで高くないので。

もし、本格的にこのスカッドで戦うのであれば、思い切ってWGに得点力の高い武藤や、ラファ・シルバを起用して欲しいです。中盤で圧力を高め、奪ったら即両サイドに展開するような攻撃ができれば、アジアでも十分に戦えると思うのですが。」

 

ー最後にこのスタイルはいかがですか。

「噂通りこっ恥ずかしいので、もうやめます」

 

さよならを教えて 浦和レッズ”超個人的”選手名鑑2017(レンタル放出組)

さよなら...今、全ての人に贈る最後の言葉...。

戸川純というよりも、CRAFTWORK的なそれ。


さよならを教えて FULLver.

 

すんません、出オチです。.

...いや、こういう陰惨な曲と記事が全然関係ないので、もう少し素敵な曲を冒頭に貼ります。


never young beach - 明るい未来(official video)

ええな、このバンド。

明るいかまボイラー的な(伝わらない例え)。

 

さて今年も色々な別れがございました。

願わくば新天地で素晴らしい未来がありますように。ゴッドブレスユー。

 

ー 大谷幸輝 GK →アルビレックス新潟へ完全移籍

遂に来てしまった。とはいえ20代の働き盛りのGKをベンチに置いておくのは、チームのためにも、本人のためにもよろしくはない。昨年はいよいよ第2GKとしての地位を安定させ、特にルヴァンカップではチームを決勝に導く大きな役割を果たした。浦和生え抜きGKらしく、セービング・シュートストップは高水準。ハイボール処理もまぁまぁ。足元は普通。では西川を超えられるポイントがあるのか、と問われるとそこは難しいところ。なんにせよ、戦力としてきちんと活躍できるクラブに行くのは何も悪くはない。さらば、モノノフよ。私は君のことが好きだった。新潟で愛してもらってくれ。

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- 加賀健一 DF(RB/RWB) →モンテディオ山形へ完全移籍

予想通りミシャ式RBへの適応に苦しんだ。このポジションでプレーするには攻撃力とアジリティが物足らず、結果として森脇のバックアッパーを務める...までの信頼を得られなかった。ようやくベンチ入り出来るようになったか?と思いきや怪我してしまうなど、ついていない部分もあった。この辺は石原とも被るが。今シーズンは「狂ったように浦和を集めている」モンテディオに活躍の場を移すことになる。4バックの右SBないしはスイーパーとしてならまだまだ出番はあるはずで、今度こそ真価を発揮できるはず。

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ー 永田充 DF(CB)→東京ヴェルディに完全移籍

ミッツンバウアーも昨シーズンはほとんど出番なし。現代型リベロたる遠藤にその座を奪われてしまった。とにかく出来るポジションが一つだけ、というのがミシャ的には使いづらかった。足元の技術は確かなので、せめてボランチなどが出来れば延命できたはずなのだが。あとは怪我の多さにも悩まされた。ヴェルディがどのようなサッカーを志向していくのかは分からないが、J2というカテゴリーで「前線にボールをけり込むマシーン」と化したとき、もしかしたら真価を発揮するのかもしれない。本人がどう思うかは分からないが。

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- 岡本拓也 DF(RB/RWB/CB)→湘南ベルマーレ期限付き移籍延長

タイトでハードなディフェンスと、運動量。そして意外な攻撃性能を持つ、浦和ユースの秘蔵っ子。フィンケに見出された逸材も浦和ではなかなか定位置を奪えずにいたが、湘南ではしっかりとポジションを確保。得点まで決めた。恐らくチョウ・キジェ監督のイケイケサッカーとは相性が良いのだろう。よくよく考えるとあの強かった浦和ユースと雰囲気が似たチームだ。だからこそ、直輝も蘇りつつあるのかも。なんにせよこのポジションの有望株をみすみす手放すのはバカらしいので、今年もチョウ軍曹のもと鍛錬に励んでもらおう。

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- 橋本和 DF(LWB/LB) →ヴィッセル神戸へ完全移籍

もったいない あぁもったいない もったいない。何故手放した!と嘆かざるを得ない。浦和に絶対的に足りない「クロス制度」を持った高性能の左WBだったのに!!!案の定神戸では早々に定位置確保すると、2ndステージの躍進にしっかりと貢献していた。峻希と両翼を組むとかなんの冗談か。「浦和よ こいつらを手放すとは 正気か」コンビという感じ。とはいえ、浦和においてのライバルは宇賀神ではなく、槙野になってしまっていて、それは恐らくWBとしては「ドリブルの精度」が不足している、というミシャの判断だったのだろう。理解は出来ないが納得するほかない。お願いだから活躍しないでくれ。浦和戦では。

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- 茂木力也 DF(CB/RB)→モンテディオ山形期限付き移籍

「浦和の選手を狂ったように(以下略)」戦略によって山形へと招集された浦和ユース育ちのDF。昨シーズンは愛媛にレンタル。良い日本人選手の少ないポジションとはいえ、いきなり33試合に出場と定位置を確保。愛媛の監督と共に山形に向かうということで、かなり木山っちに気に入られたということだろう。足元の技術確かなリベロタイプ。

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- 斉藤翔太 MF(OMF/CMF/ST)→水戸ホーリーホックへの期限付き移籍延長

試合経験を積む為に行ったJ2でなんと公式戦出場なし、と悔しい結果に。大変申し訳ないが水戸の試合は全く追っていないので出られなかった理由が皆目検討つかないが、単純に同ポジションの選手との戦いに敗れたということなのか。スピード豊かなアタッカーという印象があるものの、まだプロのピッチで何が出来るのかは未知数。とはいえ契約延長しての期限付き延長ということは浦和首脳陣もなんらかの可能性は見ているということなのか。

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- 山田直輝 MF(OMF/CMF/ST)→湘南ベルマーレ期限付き移籍延長

「浦和のハート」は昨シーズン終盤、ようやくその真価を見せつけた。ボールに触り動き回ることで真価を発揮するこのMFは、チョウ監督の要望にようやく合致。名古屋戦では残留への希望を捨てきれない敵チームを超絶シュートで沈黙させ「名古屋絶対殺すマン」としての面子を保った。名古屋サポからすればたまらんだろうが。正直終盤での動きを見ている限り、直輝は「ほぼ」絶好調時に近いコンディションになっているように思える。とにかくタフネスに動き、走るアグレッシブさが帰ってきた。かつては「和製スコールズ」と呼ばれたMFが、今シーズンJ2でどのような活躍を見せるのか、湘南からは目を離せない。そして、我々はやはり直輝の帰還を待ち続けている。

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- 石原直樹 FW(ST/CF)→ベガルタ仙台期限付き移籍

う~ん、この期限付きはどう判断すべきか。恐らく契約が残っているからなんだろうが。試合に出始めたタイミングでの怪我がキャリアを狂わしてしまった感はぬぐえない。興梠と同じく色々なことが出来る選手だと思うので、まだチャンスはあると思うのだが。反面今年は同じポジションにライバルが多すぎる。まずはチームでベンチを温めるよりも、試合勘を取り戻してほしいチームの気持ちと、主力FW二人を失った仙台との意向が合致した...というところ。役割がはっきりしている仙台であれば、大きな戦力になる気がする。

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- 阪野豊史 FW(CF)→モンテディオ山形へ完全移籍

「とにかく狂った(以下略)」戦略第3の刺客。栃木では今一つなシーズンを過ごすも、昨年は愛媛でキャリア初となる二桁得点を記録。とはいえやはり浦和では使い所の難しい選手で、モンテディオに新天地を求めた。なんとなく限られたチャンスを押し込むことにかけてはセンスがあるFWのような感じはするので、カウンター志向のチームには合致する戦力だと思う。J1上位のアタッカーには、残念ながら至ってはいないので、己の長所を磨いて頑張ってほしい。

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タイトル?なにそれおいしいの?? 浦和レッズ”超個人的”選手名鑑2017

ハッピーニューイヤーーーーーー!!!!

YEAH!!!!!!!

FUUUUUUUU!!!!!!!!

今年もよろしく!!!

....いやSHI☆KU☆YORO!!

イエァァァァァァァァァァアァァァァァ!!!!!

ヒャッホーーーーーイ!!!!!!新年!新年!新年!しんねーん!!!

 

 

 

 

.........ハァ...ハァ...っ...ハァ...

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■毎年恒例の言い訳

そもそも本来はサッカーブログであるにも関わらず、昨年上げた記事はひとつだけという体たらく。

まぁ今年も同じ感じだと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。

 

■昨年を振り返って

...え?...嫌ですけど(怪訝そうな顔をしながら)。

私、常に未来しか見つめていないので!!(清々しい表情で)

それでは早速、今シーズンの愉快な仲間たちを紹介するぜ!!

カモ━━━━щ(゚д゚щ)━━━━ン!!

※昨シーズンを最後にチームを離れた選手に関しては、別項にて触れさせて頂きますm(__)m

 

1 西川周作 GK

昨年も安定...と言ってしまうからいけないのだろうが、ハイレベルなところで安定していた。怪我らしい怪我をしないのはもちろん、セービングも、シュートストップも、キック精度も極めて高水準だった。とはいえ、人間慣れというのは怖いもので、彼のクオリティに慣れてくると次第に「ダメなところ」ばかりが目につき、終いには「いい加減PK止めろや!」などと野次る輩が出る始末。恐ろしや恐ろしや。

確かに被PKに対してのストップ率は異様に低かったが、昨年は大舞台でようやくストップしてみせて、面目躍如となった。よかった。

技術的なところがクローズアップされがち(特に足元)なプレイヤーなんだが、個人的には「危機察知能力の高さ」こそが彼が秀でたプレイヤーである証明なのでは?と思う。棋士で言うところの「一手先を読む」ではないけれど、相手のやりたいこと、やりそうなことを先読みしていて、事前にコースをつぶすことで、危機を回避する、というシーンが非常に多かった。以前はその先読みが失敗して大ピンチ、ということもあったけれど、ここ最近は「読みの取捨選択」が的確になってきているように思える。それが代表定着にも影響しているような、いないような。

あとキック「精度」ばかりに注目が行くけど、単純に「蹴っ飛ばす」能力が高い選手だと思うので、前線に起点がいたら、もっと彼のキックが戦力になるのになぁ...とは思う。例えばウタカとかウタカとか。

何はともあれ、今年も彼のニッカニカの笑顔をたくさん見たいし、見られるシーズンになればいいなぁと心から思う。

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23 岩舘直 GK

昨年は西川、大谷に続く第3GKという立場。とはいえ第2GKの大谷ですらなかなか出番を得られない中ではやはり厳しいシーズンで、ほとんどプレイするシーンを見ないまま大怪我...という残念なシーズンになってしまった。というわけでプレイに関してはなんら語ることはないが、なかなか良いあんちゃんらしく、特に関根とは仲良しということなので、関根の調教をしつつ(されつつ?)まずは初出場を目指してほしい...がライバルは榎本という....。ふむー。

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25 榎本哲也 GK New!

横浜Fマリノスの正守護神が浦和のサブGKに。何とも由々しき事態ではあるが、我々としては大歓迎。Jリーグの歴代GKでも「第2位の防御率」の持ち主という数字上での信頼性は半端ない。これまでも榎本達也や(苗字が一緒なだけで兄弟とかではない)飯倉大樹というライバルと切磋琢磨しながら、定位置を取ったり取られたりという現役生活を送っているので、メンタリティも問題ない。ハードな日程を勝ち抜くためには、こういったベテランの存在はとても大事になってくるはず。大谷はなんだ、また回収すればよいのだ(暴言)。一つ心配なのは、今まで「低いラインで徹底抗戦」のマリノスにいた...ということ。自身の前に広大に広がるスペースに動揺するか、そこをストレッチ場として使えるかで将来が変わる。あと顔は西川系。

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28 福島春樹 GK 

「大学No1GK」の肩書をもって入団も、まぁ将来への投資枠。ということで昨年は早速武者修行として野人GMの待つ鳥取へ。流石の実力ですぐさま定位置確保するもその後怪我とちょっぴり不幸なシーズンとなった。今年浦和で第2GKの位置を狙うのか、あるいはまたしてもどこかにレンタルされるのか。どちらにせよすぐさま定位置確保とはいかないだろうから、まずは経験を積んでほしいところ。キックの精度に自信あるという噂。あと顔通りのうるささらしい。

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4 那須大亮 DF(CB/RB)

アテネ世代を代表する鉄人DFも、遠藤の加入もあり昨年は大きく出場試合数を減らす結果に。とはいえ流石ベテラン。腐らず準備を続けてくれたおかげで、オリンピック後調子を崩した遠藤の代わりに出場すると抜群の安定感を発揮。バリバリに試合に出ている時とそん色のない活躍を見せてくれた。そんなプロとして手本となる姿勢は高木や駒井などの若手にも好影響を与えたらしい。個人的には森脇とのかみ合わせがすごく良かった印象がある。彼が森脇の裏をバランスよくにフォローしたり、あるいは中央において柏木のフォローに入ってくれることで、森脇が高い位置でボール持つシーンが増えていた印象がある。あるいは中央で手詰まりな時には果敢にドリブルで打開を試みたりととても好印象なプレイが目立った。とはいえ、遠藤が復調した後は再びサブに。これほどのDFであれば欲しがるチームは数多あると思ったが普通に残留。単純に複数年契約なのかもしれないが。

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5 槙野智章 DF(CB/LB)

2016年はここ数年のアグレッシブなプレイスタイルからすると自重を覚えたシーズンだった。これはミシャの指導というよりは代表での定位置確保の為なのかもしれないが。とはいえそれが良い方向に働いたのかどうかはなんともいえない。少なくとも浦和でのプレーの質という面では、例年に比べると少し物足りない印象があったのも事実。元々決して器用なプレイヤーではなく、だからこそ強みで勝負してきた選手だけにベターな選手になろうとしてもそれが良い方向に向くのかは分からん...という感じ。実際代表での定位置も失ってしまったしなぁ。個人的にはもっと横幅を使える選手になってくれたら良いのになぁと思う。サイドを突破していくか、中にカットインしてシュートだけでなく、味方をサポートする位置取りを取ったり、あえて味方を走らせたりとか。とはいえ槙野以上の選手がいるわけでもなく、尚且つ槙野がダメな選手というわけでもないので、とにかく彼が本来の力を発揮できるシーンが増えてほしいとは思う。そのためには自身の意識改革も必要とは思うが。

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6 遠藤航 DF(CB/RB/DMF)

世代を代表する若きDFリーダーは浦和でもすぐに守備の中心に。年齢を感じさせない落ち着き払った対応、的確な判断は局面局面でチームを救った。しかしリーグ戦だけでなく、ACLとオリンピック、時々フル代表という4足のわらじは流石の遠藤も未体験ゾーン。徐々にクオリティを落とし、終盤は自慢のデュエルであっさり負けたり、相手カウンターに脆くも崩れたりというシーンが目立った。特に気になるのは、カウンター対応時のスピードの遅さと対応の怪しさ。そもそもデュエルで振り切られるシーンが前半戦ではそれほど無かったので気にならなかったが、少し相手に対して食いつきすぎるクセがあるようにも思える。この辺は世代代表やフル代表では主にボランチを任せられているから...ということも影響している気はする。とはいえまだ若くいくらでも修正が利く。気になるのは阿部ちゃんの後継者として育てるのか、リベロとして育てるのかというところ。個人的には本格的なCBとして育ってほしいが。

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17 田村友 DF(LB) New!

 九州の盟主からやってきたデカくて厳ついDF。名前が挙がった際にも申し訳ないが全くどんなプレイヤーなのか思い出せなかったが、どうやらJ1昇格後は定位置を手に入れられない日々が続いていたらしい。とはいえ井原おじさんに「日本人離れしたスケール」と評されるサイズと体幹の強さは魅力的。本人は「槙野の位置でチャレンジする」とハッキリと口にしているということで、心強い。補強方針としては、元々ボランチをやっていた、ということでの技術の正確さを含めた獲得なんだろうと思う。恐らく槙野には出来ない仕事が出来そうで、成長力含めればかなり面白い存在になりそうではある。

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31 ブランコ・イリッチ DF(RB)

昨シーズン加入。現役スロベニア代表、チャンピオンズリーグ出場経験者、過去にはリーガでのレギュラー経験あり(ベティス)など鳴り物入りでの加入となったが、結果的には真価を発揮できないシーズンに。個人的にもほとんどプレイを見ていないので、コメントが難しいのだが、ミシャ式における右CBが厳密には「右SBである」ということを理解できていない動きが散見されて、それが最後までなかなか解決できなかったという感じだろう。まぁ、これはミシャ就任後の浦和ではよくおこることで、逆にここをクリアしてスタメンにたどり着いた選手も多い。なのであきらめるのは早計かもしれない。ただ「対人守備が弱い」とか「とにかく足元も怪しい」とか「そもそも戦術理解度が足りていない」なんていうネガティブな意見もチョロチョロと漏れ聞こえてくるだけに、心配ではある。幸いなことは本人が相当図太いのか、あまり周囲の反応を気にしていないところ。今年は全力土下座するくらい...とはいかないまでも普通に「森脇のローテション」として機能してくれれば何も言うことはない。

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 46 森脇良太 DF(RB/RWB)

昨シーズンの森脇をMVPに選ぶ方もいたが、同意したい気持ちが強い。少なくとも昨シーズンに関しては、「浦和の良い試合」は、森脇が良い視界をもってボールをコントロールできている試合だった...と思う。森脇が良いポジショニングを取ることで、柏木・関根が適正なポジションを取れるようになり、結果的にチーム全体の攻撃のギアが入る...というシーンも多く見かけた。本人のキャラクターのせいで誤解されがちだが、森脇は非常に繊細なプレイを得意とする選手。相手からすれば守備の圧力をかけづらいポジションの選手から正確なロングパスやサイドチェンジ、アーリークロスが入ってくるというのは、非常にやっかいなはずである。特に「中央の選手をサポートする為に中央寄りのポジション取り」をする動きが秀逸で、一時「バイエルンの試合を参考にしていた」とミシャが語っていたことから、この動きを勝手に「森脇ロール」と呼んでいた。残念ながら戦術として固定化されていたわけではないらしく、「森脇ロール」を見かける試合が非常に少なかったのだが、こういったシームレスな動きを是非相方槙野にも見習ってほしいところだ。

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3 宇賀神友弥 MF(LWB/RWB/LB)

昨年はCBデビューを果たし、プレーの幅を広げた。が、厳密には左WBから左SBにポジションを変えただけなので、そこまで目新しいことをしたわけではないけれども。それに加えミシャが本職のDFを差し置いてこのポジションにウガを起用したことで、ミシャが「左CBに求めている事」がハッキリと明文化したわけですが。なにはともあれ戦術への適応と柔軟性は相変わらずで、昨シーズンも定位置を失うことなくシーズン終了を迎えた。攻撃の選手という意味では際立った能力があるわけではないが(シュートにパンチがあるのでもっと撃ってほしいとは思う)、アジリティとモビリティと戦術理解度の高さはチームでも屈指で、今年も定位置を譲り渡すことはないだろう。こういう労働者タイプの選手って意外と得難いもので、ドイツだったりイタリアだったりというリーグからお呼びがかかりそうだな...と毎年書いている気がする。今年は久々に似たタイプの菊池というライバルが加入し、良い意味での刺激になりそう。

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7 梅﨑司 MF(LWB/RWB/OMF)

昨季再び靭帯損傷という怪我を負ってしまった。ここは一度やるとどうしても立て続けに怪我してしまうサッカー選手の泣き所だが、本人が明るく振舞っていてくれるので、まだ救われている。個人的には梅﨑というのは特別な選手で、それは2006年以降のどん底の時代を含め、一緒にサバイブしてきた仲間という印象が強いからだろう。今の浦和のメンバーでタイトルを獲ってほしいと思うのは、個人的にはミシャがどうこうではなく、あの暗黒の時代をも「たった一つのタイトル」が救ってくれると思えるからで、そこにはやはり司にもいてほしいと思うのだ。

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10 柏木陽介 MF(CMF/OMF)

一昨年から取り組んできたいわゆる”レジスタ”の仕事もようやく板についてきて、そのポジションで代表にも定着し始めた。にも関わらず、個人的には「早くボランチは止めてほしい」と思ってしまう。少なくとも、今後も柏木のボランチを続けるのであれば、彼が「正確にこのポジションの役割をこなせるような周囲のサポート」が必須だと思う。が、今の所それは選手個々の「感覚」に支えられている所があるので、今後も画期的な改善は難しいように思える。柏木というのは「インスピレーション」に優れた選手で、「ミスの少ない」タイプの選手ではない。前を向いた瞬間に浮かぶ「アイデアの数」とその中で「最良且つ相手を騙す選択肢」を一瞬で決める「判断力」の高さこそが良さなのだと思う。これらの才能はアタッキングサードでこそ活きるもので、だからこそ柏木は相手のゴールに「近い位置」でプレーした方がより輝く。今年はより中盤でのモビリティが高く、柏木よりもボランチ(というかセンターハーフ)適正の高い矢島が帰ってきたので、この際トップ下に戻しませんか?ミシャ監督(という届かぬ願い)。

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14 平川忠亮 MF(RWB/LWB/RB)

遂に最古参になったヒラさん。サッカーというのは好き過ぎない人の方が長続きする...とかあるのだろうか。6番つけてたレジェンドみたいに。流石に出場機会も減ったが、昨季は出場するや否や得点に絡む大活躍。縦に抜くだけの男ではない...というベテランながらの熟練を見せつけ、平川大好きおじさんたちを熱狂させた。<「男は走り!!」昔から技術ではなく体力で勝負してきた選手なのだが、今も持ち味が変わらずで逆に凄いと思う。

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15 長澤和輝 MF(OMF/ST) New!

犬でのリハビリを終え帰ってきた若き司令塔。加入後即レンタルという欧州ビッグクラブみたいな技を炸裂させた時には「山道たん...やるやん」と思ったものだが、文字通り「J2は試運転用に使用しました感」をHPでのコメントでも、加入会見でも出していて、犬サポの心境いかばかりかとも思う。昨年ちょろっとジェフの試合を見た印象では、それほどボールを持ちたがらないタイプに見えた。どちらかというとボールを止めては捌き、動き直し、またもらっては捌きというプレーが得意なよう。ジェフではレンタルにも関わらず10番を背負わされる期待ぶりで、一応その期待に応えるような結果も示した。反面周囲の選手たちが長澤に期待する10番の動きと、本人の得意なプレーとがかみ合っていない印象もあって、本当の意味で真価を発揮できていたようには見えなかった。浦和のシャドーは激戦区だが、求められる仕事と質ががっちりかみ合っている選手なので、恐らくそれなりの出場機会を得ていくだろうと思う。あとはフィニッシュの精度が上がればスタメンも見えてきそう。

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16 青木拓矢 MF(CMF/DMF)

昨年はスタメン機会こそ少ないながらしっかりと出場時間を伸ばした印象がある。元々スケールの大きなボランチで、個人的にはとても評価している選手なだけに、ようやくその真価が発揮できるのではと期待している。とにかくリーチが長く、相手ボールを掻っ攫うのが上手い。またポジショニングも正確なので、中盤のつなぎ役としてはもちろん、攻守転換地点としても非常に重宝する。足の速さは普通。現在は守備固めみたいな起用が多いのだが、本来はドリブルを含めて様々な仕事が出来る選手なので、頭から見たい選手の筆頭である。

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18 駒井善成 MF(RWB/LWB/OMF)

昨季途中から出場機会を掴むと、主に両WBとして定位置をつかんだ。とにかくドリブルで局面打開を試みる典型的なドリブラー。元々技術面ではJ1レベルと言われていただけに、その事実自体への意外性はなかったが、反面課題も露呈された一年だった。京都サポからの取り扱い説明書に「ペナルティエリア外ではメッシ級、ペナルティエリア内ではJFL級」というものもあったけど、少し納得してしまう部分もあった。シュートが下手...という以前にシュートを打たない...或いは打つ準備が出来ていないシーンも多々あり、せっかく突破したのに、それが実らないシーンも多かった。あとはクロスも割とおもちゃだったり、ポジショニングに修正の余地ありだったり、まだまだこれからという印象。とはいえ足元から離れないドリブルはやはり凄まじいので、今後も長所を伸ばしつつ、多数ポジションをこなせるようになれば代表も見えてくる。実家はお武家

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22 阿部勇樹 MF(DMF/CMF/CB/RWB)

昨年遂に通算出場試合500試合を超えた日本サッカー史に残る鉄人も今年36歳になってしまう。もはや大ベテランに差し掛かりながらも、連続試合フル出場記録を作るなど、もはや我々の理解の範疇を超えた活躍を続けているけども、流石にそんな鉄人にも「勤続疲労」の足音は忍び寄っている。特に試合終盤にかけては集中力が途絶えるシーンもあり。そろそろ本気で「阿部ちゃんを休ませつつ」の運用に本腰を入れ始める必要はある。とはいえ、DMFとしての完成度・戦術理解度の高さ・運動量と未だに並び立つ選手が育っていないのも事実で、頭の痛いところでもある。長谷部はよ。

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24 関根貴大 MF(RWB/LWB

個人的には昨シーズン最も成長を感じた選手だった。サイドからの突破にしか興味のなかった若者が、対面する相手との駆け引きが出来るようになった。ポジショニングが良くなったことで常に相手の裏をかくプレイが出来るようになった。その修正は守備にも生かされ、結果としてチームに大きく貢献する選手になったように思う。もちろんスピードを生かしたドリブル突破も健在。今のところ「サイドのプレイヤー」としては関根は頭一つ抜けた存在で、この定位置を駒井や他の選手が奪うには、関根以上の努力と研鑚が必要。あと、あのチャントは音程だけ修正してあげれば悪くないと思うの。

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26 伊藤涼太郎 MF(OMF/CMF/ST)

昨シーズン加入の新人ながら9節の名古屋戦では柏木に代わり出場。ボランチとしては危うさを見せながらも、ポジションをSTに移してからは見事なボールさばきと技術の高さを見せつけ「流石ヤマさんが引っ張ってきた逸材だけある」と我々を歓喜させた。が、その後はポジション争いを抜け出せず。やはり技術はもはやJ1レベルとはいえ、線の細さは目立つところもあり、しばらくはそこの強化に挑まねばいけないというところか。今年は武者修行もありか?と思いきや、チームに残留。恐らくルヴァンカップの仕様が変わり、若手の出番が増えるからと思われるが。プロ選手として重要な「感覚の鋭さ」を持った選手なので、非常に期待している若手の一人。

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38 菊池大介 MF(LWB/OMF/RWB/CMF)New!

走れる10番として、湘南のサッカーを支えた屋台骨。その価値は一言では説明できないが、高山・遠藤・永木らと共にチョウ・キジェ監督の「走るサッカー」を体現した重要な存在だと思う。浦和ではどのポジションを争うのかは分からないが、恐らく最も手薄な左WBで勝負するのではないか?と予想される。個人的には新加入組では一番早く出場機会を掴みそうな選手と感じている。トランジションとなる動きも得意そうなので、もしかしたらOMFやCMFでの起用もあるかも?という感じ。

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39 矢島慎也 MF(CMF/OMF/ST) New!

帰ってきたニヤニヤ。岡山での2年の武者修行を経て、今年浦和に帰還した生粋の浦和っ子。岡山ではボランチとして...とかこの辺は色んなサイトで散々書かれているのでもういいか。今年はまさかのガンバ大阪からのオファーがあったりして、本人は相当悩んだだろう。それ以上にウチらは相当ヤキモキしたけど。帰ってきてくれて本当に良かった。。長短のパスを織り交ぜてゲームメイクする能力は高く、そのなかでも「正確なパス」を心がける姿勢は、先輩たる柏木よりも優れている印象がある。故にCMFとしての定位置を奪い取って、早く柏木をトップ下に戻してくれ!と切に祈っている。あと、岡山でのアイドル的人気は本物だったらしく、本人もすっかり振る舞いが板についている。男から見ても可愛いので(誤解を生む文章)、今年は39番ユニを来た女子が激増する予感しかしない。

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8 ラファエル・シルバ FW(CF/ST) New!

安心安全の新潟ブランド第3弾。今年真っ先に獲得が発表されたのがラファ君だったということで、大分昔から目をつけていたということか。個人的には獲りに行くとあまり思っていなかった選手だったのでちょっとびっくりした。しかも余剰気味のアタッカー(しかも本職はSTだと思う)に外国人枠を使用する、ということはそれなりの価値を見込んでのことだろう。24歳とまだ若いのは魅力的。機動力が高く、カウンター時に活躍できるのも素敵。スピードを生かしたドリブル突破が持ち味のブラジレイロってホント久々だよね。ただ、「ボールが収まる」という印象はそれほどないので、恐らくセカンドトップでの起用が中心になるし、なによりも「相手のスペースを最大限に活かす」タイプなので、「限られたスペースを活かす」術が求められる浦和で、どの程度活躍できるのかは、始まってみないとちょっと分からない。とはいえ、今までもこういった「狙いが今一つ分からない」補強が当たったパターンはそれなりにあるので、今シーズンの楽しみの一つでもあったりする。さすがに「後半のカウンター合戦」用に外国人は獲らんだろう。多分。

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9 武藤雄樹 FW(ST)

寿司をもたらす男。背番号9にして、ミシャが発掘した最大の「発掘良品」。昨シーズンもきっちり2ケタ得点を記録して「まぐれ当たり」でないことを証明してみせた。打つと思わないタイミングでシュートをねじ込んだり、バイタルエリアから見事なミドルシュートを決めたりと、シュートの正確性もきっちりアピールしてみせた。左右両足でシュートを打てるのも魅力的。反面、味方とのコンビネーションによって持ち味を発揮するタイプの選手で、故に近接する味方のコンディションが悪いと試合からも消えてしまうことがある。特にシーズン終盤戦ではコンビネーションの停滞によって武藤が消えるシーンも頻発し、結果途中交代シーンも増えてしまった。今年は長澤という似たタイプの選手の加入もあるが、いざという時に極めてみせる「勝負強さ」は浦和屈指なので、そう易々とポジションは明け渡さないだろう。9番を背負ったレジェンド=福田正博とはプレースタイルは異なるが、ゴールパフォーマンスに関しては似ている気がする(そのワンパターンっぷりも含めて)。

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13 高木俊幸 FW(ST/OMF/RWB/LWB

大洋ホエールズ(現:横浜ベイスターズ)の誇るスーパースター高木豊氏の長兄。あんまりオヤジにも兄弟にも似ていない。スピード豊かなドリブルと、パンチのあるシュートが最大の魅力。プレースキックの担い手としてもチームで唯一信頼できる。序盤には定位置を確保できずにいたが、カップ戦での好調を受けてリーグ戦でも起用されると結果を示し、その後は主力に定着した。が、浦和のセカンドトップに求められる仕事をきっちりとこなせているか?と問われるとまだまだ足りない部分が多い。守備のことがよく言われるが、それよりも「トランジション」になる動きが少なく、後方からパスを引き出す役目を十分にこなせていないのが問題。まさかの自主練中に大けが...ということで今年は出だしから波乱だが、長澤・ラファ・李とライバルは多く厳しいシーズンが予想される。個人的には華があって好きな選手なので踏ん張ってほしいが。

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19 オナイウ阿道 FW(CF/ST) New!

今年のビックリ補強枠最有力。犬からやってきた若きストライカーにして長澤の担保(おい、やめろ)。ジェフでも途中出場の切り札として使われるケースこそあれど、頭から起用された試合も少なく、しっかりとポジションを確保していたわけでもないので、この獲得は驚きをもって迎えられた。ミシャ曰く「育ててみたい選手」とのこと。Jリーグの「ホームグロウン制度」導入を見越して、深谷出身の彼を獲得した、という穿った見方もある。ただ個人的には純粋に「戦力」と見込んでの獲得だろうと思う。あるいは先行投資。昨シーズンの全ゴール集を見るに「サイドから入る割といい加減なクロス」を「身体能力の高さ」だけでねじ込むシーンがあって、これは今の浦和には無い魅力だと感じた。「クロスの適当さ」にかけては、我々とて他のJチームの追随を許さぬ自負があるからね(エラそうに)。とはいえ、今現在はゲームの中で「何かを出来る選手ではない(ジェフサポによる短評)」そうなので、そこはこれからのミシャの教育次第だろう。まぁそれに関しては、ミシャの一番得意な分野だから楽しみでもある。ちなみにキャラは森脇2世。

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20 李忠成 FW(ST/CF)

昨年のMVPを問われたら、私ならチュンソンを上げる。それくらい彼は優れた仕事を成し遂げたと思う。相手に当たられては倒れ、決定機を逸していたのも今は昔。頑丈な肉体を取り戻したこの頼れるFWのおかげで得た勝ち点は多かった。今年はサブに入ることも多く、悔しさもあっただろうが、それでも出場したときには同点弾や決勝点などチームを救う得点を連発。ルヴァンカップ決勝でもそれは同じで、決して順調とはいえないチームを救い、ミシャ率いる浦和に初めてのタイトルをもたらす要因となった。思えばこれまで色々とありすぎて、彼には申し訳ない気持ちも多いのだが、それでもなお浦和を愛してくれる彼と共に、今年も歩めることを嬉しく思う(あれマジメだな)。

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21 ズラタン・リュビヤンキッチ FW(CF/ST)

スロベニア代表FW。いかつい見た目と渋いマスクで誤解されがちだが、決して身体を張ったポストワークが持ち味の選手ではない。むしろ高いアジリティを活かしてカウンター時に産まれるスペースを有効活用するのが得意な選手で、故に得点数と同じくらいアシスト数も多い。浦和では「他に出来る人もいないし」という消極的な理由で興梠の代わりにCFに入ったりしているが、彼の持ち味が死んでいて可哀そうな気持ちになる。とはいえ、「体の強さが無い」わけではなく、むしろそれは「ある」方に入る部類なので、西川のゴールキックをそのまま納めて決めてしまったりもした。そのせいでCFとしての起用が助長されてしまったりして。あぁ悪循環。主にサブとしての起用が中心なので「そろそろ移籍しちゃうかな?」と思ったら本人は納得づくで新契約にサインしたとのこと。そろそろST固定で起用してほしい。あと、ホントにかっこいい。

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30 興梠慎三 FW(CF/ST)

押しも押されぬ浦和のエース。特にプレイスタイルを説明することもなくなったので、書くことも特にないよね。昨年はオリンピック後に調子を落とした以外は通常営業。2ケタ得点で、年間勝ち点一位にしっかりと貢献した。CS2戦目でも先制点。あの時までは幸せだったなぁ(遠い目)。さて、今年もCF1枠はほぼ彼が独占する形になる。未だに同じような仕事ができる選手が出てこないので、これは揺るがないだろう。寡黙に勝利を目指す姿勢はやはり浦和サポーターのアイドルに相応しい。

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ということで、今年の選手名鑑でした!!

今年も埼スタで僕と握手!!!!

...あとは別枠で昨年の振り返りも一応やります(ボソっ)

 

ジョン・カーニー監督と「音楽の夢」

クサクサしていても仕様がないので、目黒シネマに行ってまいりました。

目的は「ジョン・カーニー監督特集」

昨年の映画の中では「めっけもん」枠に入る「はじまりのうた(原題BEGIN AGAIN)」の監督です。

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今年は色々とドタバタしていて、なかなか腰を落ち着けて映画館で映画鑑賞ともいかず。。

数多くの「見たかった映画」をDVD鑑賞でやり過ごす日々だったわけですが。

同監督の2016年公開映画「シングストリート 未来へのうた」もそんな「見たかった映画」枠の1本。

更に同監督の名声を押し上げたと話題のONCE ダブリンの街角でも同時上映。

こちらは地元のT〇UTAYAに何故か在庫がない...ということで長らく見られず悲しい思いをしていただけに、「こいつは渡りに船」という感じ。

結果として2作とも、とても「ラブリー」な作品だった...というだけでなく、「3部作」とも呼べるくらい共通点の多い作品だったので、せっかくだから各作品の感想を覚書程度でも残しておこうと思います。

(この記事には3作品のネタバレが含まれます!読まれる際には映画を視聴になってからを強くオススメします!!!)

■「ONCE ダブリンの街角で

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あらすじ:

ダブリンの街角で毎日のようにギターをかき鳴らす男(グレン・ハンサード)は、ある日、チェコ移民の女(マルケタ・イルグロヴァ)と出会う。ひょんなことから彼女にピアノの才能があることを知った男は、自分が書いた曲を彼女と一緒に演奏してみることに。すると、そのセッションは想像以上の素晴らしいものとなり……。


ONCE ダブリンの街角で(字幕版)(プレビュー)

 

■「ラブリー」な映画。

ザラついた35ミリフィルム。

手持ちカメラ多用故の落ち着かない画面。

手慣れない編集と構成。

ぎこちない主演陣の演技。

低予算で、演技経験者もほとんどいないという裏事情がハッキリと見える。

が、しかし。

ここには監督の「夢」と「希望」と「理想」がそれこそギュウギュウに「詰め込まれて」いて、それが映画全体からグイグイと伝わってくる。

その「過剰な思い」は、嫌が応にも視聴者に伝わる。

だからこそこの映画は、完璧ではないけれど、とても「ラブリー」。

「映画」と「音楽」に「夢」を見る人であれば、この作品を「他人事」として見られないはずです。

 

■「日々の暮らし」と「音楽」

ダブリンで暮らす主人公の「男」と「女」(役名がありません)は、決して「裕福」とはいえません。

「男」は「音楽で食べる」ことを目標としながらもままならず。

母が死に一人で「掃除機修理屋」を営む父親の家業を手伝いながら、暮らしています。

その生活は貧乏とはいえませんが、とてもつつましく見えます。

対する「女」はチェコからの移民。

登場シーンから彼女が「ビッグイシューを売っている人」であることが分かる通り、決して恵まれた生活をしているわけではありません。

彼女は幼い娘と母親(英語が堪能でない)を抱え、一人で一家の稼ぎを賄っています。

物語中盤、CDプレイヤーの電池が切れた際には、電池代を娘のお小遣いから賄わなければならない程度に困窮しています。

とはいえ、この映画ではそんな「困窮」をことさら強調して描くことはありません。

むしろその「困窮」を「日常」として受け入れ、その中にも「楽しみ」や「喜び」や「幸せ」を見出そうとする人々を、優しい視点で描きます。

また、そんな彼らが「やるせない日々」の中で「希望」を見出す存在として「音楽」が描かれます。

どれだけ辛い日常を送る人々でも「音楽」と触れ合っている時だけは一時の「平安」と「幸福」を手に入れられる。

そんな「音楽が持つマジック」を信じたい、という監督の願いが込められているのです。

そして、この「音楽が持つマジック」というテーマは3作品全てに通底していますね。

 

■「既に閉じられてしまった可能性」と「続いていく思い」

主人公である「男」と「女」が「恋愛関係に近いところまで行きながら、くっつかない」というのは「はじまりのうた」と共通していて、「なるほどここで予行演習をしていたのだな」と思いました。

この「もどかしさ」みたいなものは、日本での「新海作品」にも通じるなぁとかぼんやり思ったりもしましたが。

映画冒頭では性欲全開で「部屋に来ない?」などと誘った「男」が(その後めっちゃ軽蔑されるw)、「女」との信頼関係が深まるほどに、中学生レベルまで積極性が落ちていくのも、「もどかしく」て非常にエモいポイントでしたね。

ただ「男」が奥手になっていくのにはしっかりと理由があって。

それは「女」が「人妻」だから(旦那とは別居中)。

CD製作現場でいよいよ「いい雰囲気」になる二人。

「男」は「女」に「ロンドンへ一緒に行こう」と誘います。

「娘もいるから」と言う「女」に「一緒に住めばいい」と譲歩する「男」。

しかし「母も一緒に住んでいいの?」という言葉には苦笑いで答えるしかありません。

「女」はその表情を見て、「この話はおしまい」とばかりに切り上げてしまいます。

「娘」だけでなく「母親」の人生も「背負ってほしい」という問いかけに、即答できる男性はなかなかいないでしょう。

また「女」も、その答えは予想済みだったのでしょう。

このポイントを最後に、二人の「男女」としての「可能性」は「閉じられました」。

始まった段階から「既に閉じられている可能性」。

お互いを思い合いながらも、簡単には結び付けない「事情」。

これは「ジョゼと虎と魚たち」をなんとなく思い出すシーンでした。

しかし「ジョゼ虎」では完全に隔離されてしまった主人公二人の関係性ですが、「ONCE」では一つの「物」が二人を繋いでいきます。

それは「音楽」です。

二人で作成した(サポートメンバーも込みですが)デモCDは、「形」として永遠に残ります。

また、二人で共同作成した「歌」も、誰かが歌い継ぐ限りは残っていきます。

更に「男」が「ピアノ」という形で「女」に送ったものも、「音楽」を紡ぐ道具として、二人の心を繋ぎ続けます。

例え離れ離れになったとしても「音楽」が時と場所を超えて、人を繋いでいく。

「音楽が持つマジック」を「信じる」気持ちが、ここにも現れているんですね。

 

■「はじまりのうた」

あらすじ:

ミュージシャンの恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)と共作した曲が映画の主題歌に採用されたのを機に、彼とニューヨークで暮らすことにしたグレタ(キーラ・ナイトレイ)。瞬く間にデイヴはスターとなり、二人の関係の歯車に狂いが生じ始め、さらにデイヴの浮気が発覚。部屋を飛び出したグレタは旧友の売れないミュージシャンの家に居候し、彼の勧めでこぢんまりとしたバーで歌うことに。歌い終わると、音楽プロデューサーを名乗るダンマーク・ラファロ)にアルバムを作ろうと持ち掛けられるが……。


映画「はじまりのうた」予告編 #Begin Again #movie

 

■「音楽が生まれる瞬間」の美しさ

個人的には、3作の中ではこの「はじまりのうた」が好きです。

「ONCE」を更にブラッシュアップし、テーマを純化させ、主演にキーラ・ナイトレイマーク・ラファロという「安全安心」かつ「意外性」を見せる二人を起用し、「じんわり沁みる小品」から「エンタメ作品として最高に楽しめて、なおかつ沁みる作品」までVerUPさせた手腕は素晴らしい。

「ONCE」でも主人公二人が初めて「ギグ」をするシーンで印象的に描かれた「音楽が生まれる瞬間」の美しさですが、この「はじまりのうた」ではそれを更に突き詰めて、様々な形で見せてくれます。

冒頭。

友人に誘われる形でオリジナル曲を披露するキーラ・ナイトレイ扮するグレタ。

地味なギターソロにライブ受けしないバラード調の楽曲で、観客も無反応。

しかし、その楽曲を一人真剣に見つめる酔っ払い。

彼こそマーク・ラファロ扮する落ちぶれた音楽プロデューサー・ダンです。

何故彼がそこまで真剣に楽曲に聞き入っていたのかは、この後明らかになりますが...とにかくここに入るまでの演出が秀逸。

過去には多くの大物ラッパーをデビューさせ、時代の寵児だったダン

しかし今では私生活の乱れと、自身が納得できるアーティストとの出会いが無く、まともにプロデューサーとしての仕事がこなせず「終わった人間」扱いをされています。

そんな彼の「負けっぷり」を丹念に描いたのち、冒頭のシーンへと戻ってくる。

ここで初めて、「ダンの視点」による冒頭シーンが描かれるわけです。

檀上のグレタを見つめる彼の耳に「だけ」聞こえるピアノや弦楽器による伴奏。

それは「地味」なグレタの楽曲をひときわ輝かせる「編曲」という名の「マジック」です。

そしてその「マジック」を聴くことができるのは、脳内で編曲しているダンと、その様子を垣間見せてもらえる視聴者だけ。

楽曲の「可能性」を視聴者にだけ「共有」させることで、映画への「没入感」を高めると同時に、「音楽が持つマジック」をも体験させる。

このシーンだけで5億点差し上げたいくらいに、素晴らしい演出です。

映画中盤では、「ギターをかじりはじめた」娘を録音に参加させます。

決して巧みとはいえない彼女のギターですが、その「未熟な音」は、「この今」でしか鳴らせない音。

それを録音という形で残すことで、「この瞬間にしかない音楽」が生み出される。

これもまた「音楽が生まれる瞬間」の美しさを描いたシーンです。

 

■「音楽」が「変える」「世界」

「音楽が持つマジック」は「音楽を生み出す瞬間」にだけ存在するわけではありません。

物語中盤。

ダンの持つ苦悩を知ったグレタは、彼をデートへと誘います。

街中で一つのipodからイヤホンを二つ出し、お互いの選曲でDJをしながら歩く二人。

途中「踊りたくなってきた!」「どこか踊れる場所に行きましょう!」とダンと共にクラブに入るグレタ。

EDMで踊り狂う若者たちを尻目に、二人は「二人だけの選曲」で踊り続けます。

「ロマンティックが止まらない」としか言いようがないシーンですがw

デートの終わり。

グレタが選曲したのは「as time goes by」。


Headphone Splitter Scene

NYのなんでもない街並みや、景色がとてもロマンティックに、キラキラと輝いて映ります。

「なんでもない景色が、かけがえのない瞬間に変わる。これが音楽の持つ奇跡なんだ」ダンが語る通り、我々もその「奇跡」を追体験できる。

また「音楽」が(自分から見た)「世界」を変える瞬間を表現した、という意味でも非常に感動的なシーンでした。

 

■「何度だってやり直せる」

妻との間に「複雑な事情」を抱えるダン

当初の彼を見ている視聴者は、当然その問題の原因は「ダンのだらしなさ」にあるように感じるはず。

それはグレタも同じ。

しかし、ダンの独白からその「思い込み」は鮮やかに「切り換えされる」のです。

この「裏切り」は鮮やかでした。

また、この事情が分かった上で「父娘」のシーンを見返すと、娘が必ずしも「人間としての父親を嫌っているわけではないように見える」意味が分かるようになっていて、このあたりの演出の繊細さにも舌を巻きます。

ここでダンが決める「結論」は「やり直す」こと。

「人間の弱さ」に優しい視線を送り、そこからの「再生」に願いを込める...という視点は「ONCE」とも同じ。

ここでもグレタとダンは「男女」としての「結びつき」を得ることはかないませんでしたが、それ以上に強い「音楽」という絆で未来永劫結ばれていく。

「音楽の持つ可能性」を信じる、という観点はここでも変わりませんでした。

また「一度終わった」と思っても「諦めずに何度もチャレンジしてほしい」。

そんな「不屈」への願いもこのエンディングには込められています。

また、その思いは「シングストリート」へと引き継がれていきます。

 

■「シング・ストリート 未来へのうた」

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あらすじ:

「はじまりのうた」「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督の半自伝的作品で、好きな女の子を振り向かせるためにバンドを組んだ少年の恋と友情を、1980年代ブリティッシュサウンドに乗せて描いた青春ドラマ。大不況にあえぐ85年のアイルランド、ダブリン。14歳の少年コナーは、父親が失業したために荒れた公立校に転校させられてしまう。さらに家では両親のケンカが絶えず、家庭は崩壊の危機に陥っていた。最悪な日々を送るコナーにとって唯一の楽しみは、音楽マニアの兄と一緒に隣国ロンドンのミュージックビデオをテレビで見ること。そんなある日、街で見かけた少女ラフィナの大人びた魅力に心を奪われたコナーは、自分のバンドのPVに出演しないかとラフィナを誘ってしまう。慌ててバンドを結成したコナーは、ロンドンの音楽シーンを驚かせるPVを作るべく猛特訓を開始するが……。


『シング・ストリート 未来へのうた』予告編

 

■すべての登場人物が「愛おしい」

舞台が1985年のダブリン。

まさしくその年の日本に産まれた自分にとっては、まったく記憶に無い時代ながら、でもどこか懐かしいのは、これが「全ての兄弟たち」のために作られた映画だからでしょう。

自分はバンドマンを志したことはないですが、ロック好きのキッズだった時代はあるだけに、あの「かぶれる」感じというのは思い入れがあります(照)。

それだけに登場人物の一人ひとりに「俺はお前のことがわかるぞ!!」と感情移入ができるのかもしれません。

この感覚は、指摘されている方も多いのでしょうが「桐島、部活やめるってよ。」に近い感覚です。

あの映画のどこかに「自分」がいたように、「シング・ストリート」もまた「自分の欠片」を探すことが楽しさの一因なのかもしれません。

個人的に「自分に近いか」は置いておいて、「忘れられないアイツ大賞」はバンドのマネージャー兼PAのダーレン。

いつもフワッとチームの輪の中にいて、強く何かを主張するわけではないけど、じっと、愛おしそうに仲間を見つめる「アイツ」。

最後のライブシーンでも散らかった舞台上を、フワっとやってきて掃除するダーレンを見たときに、何とも言えない「胸がギュッと締め付けられるような」切なさを感じてしまいました。

これって恋?(違う)

後はバンドのベースで、お調子者担当のギャリー。

ほとんど台詞が無いにも関わらず、動きだけで「彼のパーソナリティ」が伝わってきたのは、演出の妙。

そしていじめっ子のバリー。

彼が荒んだ家庭環境にいることは途中から分かっていたので、「アイツも救われて欲しい(つд⊂)」と思っていただけに「仲間として迎え入れる」という決断には、「そうだ!そうなんだよ!そいつ悪いヤツじゃないんだよ!!」と胸を熱くしました。

そして何はなくとも主人公の兄貴=ブレンダンですよ。

長兄として家族がダメになっていくさまをつぶさに見続けてきた彼。

そんな彼が「失ったもの」を考える時、本当に胸が押しつぶされそうになりました。

またそれが途中のコナーとのやりとりで明らかになっているからこそ、彼が最後にコナーに送る餞別に「グッと」こみ上げるものが抑えきれなかったですよ。。

 

■クソみたいな人生の中で輝く「音楽」

時代は大不況のダブリン、ということで登場人物みんな、景気悪化の影響をもろにうけており、「裕福」な生活を送っている人は皆無という状況。

主人公コナーは、

景気の悪化→父親の失職→両親の不仲→絶えない夫婦ゲンカ→母親の不倫発覚→離婚による別居→家は共同保有なので競売に出されることに→自分の家が無くなる

という不幸のつるべ打ち状態。

しかし生きる希望を失わずにいられるのは「音楽」があるから。

ここでポイントになるのは、コナーは決して「音楽で成功して裕福になる」ことを目的として「音楽をやっているわけではない」ことです。

彼が音楽をやっているのは「音楽」自体が「希望」であり、「喜び」であり、「楽しみ」だから。

この感覚は「ONCE」から変わらず引き継がれているものですね。

しかし「現実がクソ」だからこそ「音楽が輝く」という相乗効果に関しては、この「シング・ストリート」は頭一つ抜けている感があります。

特にその演出がスパークしているのは、ドライブ・イット・ライク・ユー・ストール・イットのPVを作成する場面。


Sing Street - Drive It Like You Stole It (Official Video)

コナーが「妄想」するのは、自分が「歌う」ことで「全てが順調になる世界」。

そこでは愛しの彼女がキラキラとした視線で自分を見つめ、厳格で差別主義者の校長が自分たちを認め、両親は仲良く自分の歌を聴きにきて、兄貴はバイクに跨って颯爽と登場し、ライブを邪魔する不良に喧嘩で勝って、コナーに声援を送る。

そんな「現実とは真逆」の世界。

我々は映画世界でのコナーの「現実」がいかに厳しいかを、いやというほど理解しているだけに、ここでの彼の妄想に「胸が締め付けられます」。

そして歌われる歌詞。

「これは君の人生 君はどこにでもいける

 君は自分でハンドルを握って ここを抜け出せるんだ」

コナーもこれが妄想であることは十分わかっていても、そう歌わずにはいられない。

それは自分だけでなく、自分と同じように苦しむ人々への「応援歌」でもあります。

この楽曲に込められたメッセージはまるでジャーニーの「don't stop beilivin'」のようです。


Journey - Don't Stop Believin' (Live in Houston)

 

■「無理かもしれなくても」「漕ぎ出せ」

映画終盤。

校長への復讐を「ロック」で完結させたコナーは、いよいよ「新天地へと旅立つ決意」を固めます。

あても、金もない新天地での戦い。

頼れるのは自分の楽曲と、愛しの彼女だけ。

両親から、兄から巣立ち、一人の女性と「荒波」に立ち向かっていく。

それはある種「人生の分岐点」に対してのメタファーとも呼べるシーンです。

この戦いの成否はおそらく、かなりの確率で「失敗」に傾くでしょう。

※「ONCE」で主人公を置いてロンドンの男と逃げた「彼女」の顔が、ラフィーナに似ているのは偶然...?

しかし、「失敗」するかどうかは「トライしない」限りは分からないわけです。

だとしたらまずは「トライ」しろ、というのがこの映画のメッセージ。

弟の勇気ある旅立ちを見送ったブレンダンが快哉を挙げたのも、その姿にかつての自分、そして未来の自分を見たからではないでしょうか。

「ダメかどうかは自分で決めるな」

「まずは漕ぎ出せ!」

ミュージシャンとしては決して成功できなかったジョン・カーニー監督。

しかし、今はもう一つの夢である映画監督として、しっかりと実績を残しています。

それは彼が「映画監督」という「大海」に「ONCE」という「荒削り」な「自主制作映画」を持って漕ぎ出したから。

「俺は1度目のトライは失敗したかもしれない」

「だけど2度目のトライは成功したぜ」

「だからさ、めげずに何度もトライしよう」

「兄弟たち(全ての同じ夢を持つ仲間たち)、この荒波の先で待ってるぜ!」

映画ラストで捧げられるメッセージには、そんな意味も込められている気がしてなりません。

 

...というわけで、ジョン・カーニー監督特集の、感想集でした(ややこしい)。

次回は浦和の記事...書く....???(何故疑問形)

 

 

 

 

 

 

ぼんやり映画感想 「君の名は。」

最近はあちらのブログばかり更新して、もはや「ラブライブ文壇のひと(なんだそれw)」みたいになっているので、久々にこちらでw。

話題の君の名は。を見てきたので、ぼんやりと感想だけでも残しておこうかなという感じです。

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解説(映画.comより)

雲のむこう、約束の場所」「秒速5センチメートル」など、男女の心の機微を美しい風景描写とともに繊細に描き出すアニメーション作品を手がけ、国内外から注目を集める新海誠監督が、前作「言の葉の庭」から3年ぶりに送り出すオリジナル長編アニメ。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などの作品で知られ、新海監督とはCMでタッグを組んだこともある田中将賀がキャラクターデザインを手がけ、「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などスタジオジブリ作品に数多く携わってきた安藤雅司が作画監督。主題歌を含む音楽を、人気ロックバンドの「RADWIMPS」が担当した。1000年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。心と身体が入れ替わる現象が続き、互いの存在を知った瀧と三葉だったが、やがて彼らは意外な真実を知ることになる。声の出演は瀧役に神木隆之介、三葉役に上白石萌音。その他、長澤まさみ市原悦子らが出演。

スタッフ(映画.comより)

監督
新海誠
原作
新海誠
脚本
新海誠
製作
市川南
川口典孝

 

 

 

 

 

キャスト(映画.comより)

youtu.be

 

■前置き

さて、ここで私の戯言を読むよりも、有意義な「映画との付き合い方」をご案内しつつ。

まずは、宇多丸師匠のこちら↓を聴いたのち...


宇多丸がアニメ『君の名は。』を語る

 

町山さんの「映画ムダ話」を聴けば...

tomomachi.stores.jp

 

大体全容は掴める上に、よっぽど有意義な時間になると思うので、まずはそちらをおススメいたしますm(__)m

本文はあくまでも「リアルタイム」で「2016年を代表するであろう映画を見た」という事実のメモ書きに近いので、先を読まれる方もそれを心置き頂ければ幸いです。。

それでは下記個人的感想です。

■新海作品のこれまでと、それ故の問題点

まず、はっきりと申しておきたいのは、私はこれまでの新海誠作品を、割と「好きではない」ということです。

代表作である「秒速5センチメートル」や「ほしのこえ」なども設定に面白さを感じるし、風景描写にも「スゲェ」と唸りましたが、「それだけ」でした。

近作である「言の葉の庭」に至っては、その無茶苦茶なストーリーが明確に「嫌い」でした(言の葉の庭が好きな方申し訳ありません。しかしこれは「趣味嗜好」の問題なのでご容赦ください)。

これらの理由はハッキリしていて、それは新海作品がよく言われるように「ストーリーに問題があるから」にほかありません。

町山さんが「映画ムダ話」で指摘されている通り、氏のこれまでに作品には「映画的な物語の起伏」がありませんでした。

「圧倒的な風景描写」と「センチメンタルな舞台設定」がただ漠然と「存在しているだけ」。

これらは物語の中で「変化」していきません。

主人公たちは「ままならぬお互いの運命」を嘆きながら、それを積極的に「変えよう」ともしません。

ただただ流れていく時間に身を任せ、「時」が「問題を解決する」のを待ちわびます。

そして結果として問題は「解決せず」に終わることがほとんど。

それがこれまでの「新海作品」でした。

もちろんこういった映像作品はあっても良いですし、実際存在します。

また、これまでの「新海作品」が好きだった人たちは、この「センチメンタリズム」を愛していたのでしょう。

しかし、反面この世界観を好まない人も多数います。

これは「趣味嗜好」の話になってしまうので、ことさら大げさに受け取ってほしくは無いのですが、やはり「映画」とは欧米を中心に発展してきた文化であり、それに倣った「文法」のようなものも存在するのです。

※それが良い悪いという話になると、話題自体が横道に逸れてしまうので、今回は目をつぶってください。

その「文法」とは「戦う」あるいは「運命に抗う」というもの。

もちろん全ての映画に、上が応用される必要もないのですが、こと「娯楽映画」に関しては、どうしても必要なものになります。

そしてその要素がこれまでの新海作品には決定的に欠けていたのです。

 

「でも新海監督って娯楽映画作家じゃなくねぇか?」

とおっしゃったアナタ。

その通り。

氏はひたすらに「内省的」で「個人的」な「モノローグ」を中心にした物語を「ほぼ一人」で作り続けてきた、いわば「芸術家肌」の「映像職人」です。

いわゆる「娯楽映画作家」とは真逆にいる存在。

しかし、それはあくまでも「見た目=フォルム」のお話。

彼のこれまでの作品の「核」を見つめた時、彼本来のもつ隠された(?いや、実際にはダダ漏れなので隠されてはいないけど)「特性」が見えてきます。

そしてそれは彼の作品の「特長」でもある「センチメンタリズム」にも深く関係しているのです。

■「エモさ」という視点

「エモさ」は「エモーショナルの度合い」を示す言葉として使われますが、明確な定義はありません。

ただし現在では主に「感情が揺さぶられるような出来事」や「シーン」を見た際に「これはエモい!」などと使われることが多いように感じます。

さて、この「エモさ」は、新海作品を読み解くうえでの「キーワード」になります。

まず氏の作品の特長である「センチメンタリズム」。

これは見る側の感情を激しく揺さぶる要素であり、非常に「エモい」部分でもあります。

氏はこれまで「移りゆく時代」や「運命」に「抗えずにいるもの」の、その事実を「寂しく受け入れる人々」を作品内で描き、そこに「センチメンタル」という「エモ」を追求してきました。

「圧倒的な風景描写」と「センチメンタリズム」。その二つが重なり合えば確かに「映像作品」としての爆発力を生み出します。

しかし、それを連ねる「フック」が弱ければ、爆発力にも「限界」が生まれてしまいます。

氏の作品はその「フック」が弱かった、と思うのです。

 

こういった要素は三宅隆太さんの著作スクリプトドクターの脚本教室・初級編」に登場した「シナリオ作りをする際に注意しなければならないポイント」を思い起こさせます。

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

 

 三宅氏が注意点の一つとして挙げているのは、

「自分が描きたいシーンから逆算してシナリオを書かないこと」というもの。

もちろん「パッと浮かんだ素晴らしいシーン」を物語に組み込みたいという気持ちが誰にでもあるはず。

しかしその「シーン」は「あくまでもパーツ」にとどめなければならない。

もしも、その「シーン」を「軸」に物語を書き進めてしまうと、必ずどこかで「齟齬」が発生してしまい、やがてその「齟齬」が物語全体を破たんに導いてしまう...という指摘でした。

これはまさしく「言の葉の庭」で「やってしまっているミス」だと思うのです。

 

言の葉の庭」を見ていた時に特に「これはだめだなぁ」と思ったのは、終盤の展開でした。

主人公2名に訪れる、決定的な「すれ違い」と「和解」。

そして彼らを取り巻く圧倒的な「風景描写」。

流れる「主題歌」。

これらは凄まじい熱量をもった「エモさ」を誇るシーンになっています。

しかし視聴者は「画面内の人々」の感情に付いていけません(少なくとも私は置いてけぼりでした)。

恐らくその理由とは、作品を作る段階で「このシーンを書きたい!」と新海さんが思いつき。

その発想をもとにシナリオを書き始めた結果、このシーンに連なる「彼らの背景説明」や「状況説明」、「感情の動き」などの「フック」作りが「疎か」になってしまったから、なのではないでしょうか。

これが「Rain」のPVならば、この作りでもそれほど問題は無いのかもしれませんが、これはPVではなく「言の葉の庭」という「映画」なのです。

「映画」で「エモさ」を演出するためには、やはりそのシーンに至る「過程=フック」を綿密に描く必要があるはずです。

それがなければ一番重要な「エモさ」が半減してしまうから、でもあります。

 

しかし、ここで伝えたいのはいかに「言の葉の庭」が「ダメだったか」ということではありません。

何故ならこのシーンの持つ「エモさ」は、確実に「一定の視聴者」を捉えてもいるからです。

明らかに上手くいっていない「シナリオ」にも関わらず、その「シーンの爆発力だけ」で観客を感動させられる、というのは並大抵の「エモさ」ではありません。

ここから分かるのは、新海監督の持つ「特長」の凄さ、でもあるわけです。

そしてそれを「証明した」という意味では「言の葉の庭」が果たした役割は大きかったようにも思います。

今までは「センチメンタリズム」としてばかり表現されてきた、氏の「エモさ」が、初めて明確に「スパークした」表現として登場したのが「言の葉の庭」でもあったからです。

「この爆発力を上手く導いてあげれば、スゴイ娯楽作品が生まれるかもしれない」東宝プロデュースチームが思ったかまでは分かりません。

しかし結果として「君の名は。」が絶妙なバランスを以て、2016年の今生まれたのは、プロデュース側が新海監督の「問題点」と「良い点」をハッキリと「見抜いた」上で、「娯楽作品制作」を依頼したこと。

そしてそれを成立させるために、「最良のバランスを模索したから」こそと思うのです。

それはまさしく宇多丸師匠が批評内で触れた「チューニングの勝利」だと思います。

 

■「チューニングの勝利」

ようやく「君の名は。」の話になるわけですがw

実は「君の名は。」でも「新海作品の持つ問題点」は根本的には解決されていません

シナリオには相変わらず「穴」と「突っ込みどころ」は多いですし、そこから派生する「ご都合主義」もなかなかのものです。

しかしそれらの要素が明確な「ノイズ」になりづらいのは、「物語全体の持つエモさ」という「快楽」が、そういった「ノイズ」を打ち消すほどの「力」と「説得力」を持って、作品内に鎮座しているからでしょう。

そしてそれを成立させているのが「チューニング」です。

脚本は今回は新海氏ひとりではなく、東宝の川村Pを始めとした東宝チームとの「協同制作」だったことが監督本人の証言から分かっています。

この「協同制作」の役割とは、やはり脚本内の「齟齬」を補てんするための、「ブラッシュアップ」でしょう。

かなり苦労はしたと思いますが、結果としてその「ブラッシュアップ」が、「ノイズ」を減らし、逆に新海作品の持つ「良さ」を強調する効果をもたらしたようにも思えます。

またキャラクターデザインを新海さんではなく、「あの花」などで知られる田中将賀氏に依頼。

田中氏は、どこか「無機質で、人間的な魅力が希薄だった新海作品のキャラクター」に、「血肉を与える」という意味で大きな役割を果たしていらっしゃいます。

その成果はサブキャラクターの「良さ」に如実に現れています。

ヒロイン三葉の幼馴染である勅使河原君と名取さんは、非常に感情豊かなキャラクターで、三葉の日常だけでなく、彼女たちが暮らす「飛騨」という場所の説明も忌憚なく行ってくれます。

同じく主人公である瀧の同級生である藤井君と高木君も、同じような役割を「東京」で果たしてくれます。

また、彼らの存在は「状況説明」に役立つだけではありません。

今まで主人公の「独白=モノローグ」ばかりが続き、結果として「物語がまったく進んでいかない」という問題点を「サブキャラクターと主人公を会話」させることで「物語をどんどん進めていく」という作劇方法に変化させることが出来ました。

これによって今までどこか「のんびり」していた新海作品に、明確な「スピード感」と「リズム感」が加わりました(これは娯楽作品にとってとても重要なことです)。

また、その変更が、作品全体にどこか「暗くて、いなたい」印象を与えがちな「モノローグ」自体を減らすことにも成功したのです。

映画全体の作画監督も、新海氏ではなく、スタジオジブリの安藤雅司氏が担当。

氏の貢献は主にキャラクターの「動き」に現れていて、こちらもまた新海氏が「得意ではなかった」「活き活きとした人物」の動きが、随所に見られるようになっています。

 

また楽曲をRADWIMPSに依頼できた...というのも大事なポイントです。

現在邦楽において「エモさ」を強調したバンドは数多あるものの、その潮流を生み出した中心にいたのが「RADWIMPS」です。

今からちょうど10年くらい前。

音の「エモさ」で邦ロック再興の中心に立っていたのが「ELLE GARDEN」だとすれば、言葉の「エモさ」でシーンに「ふわっ」と登場したの「RADWIMPS」でした。

彼らの紡ぐ「詩」はいわゆる「セカイ系」に近いもので、当時から彼らを「苦手だ」と言う人も多くいました。

その反面、ボーカル=野田洋次郎が紡ぐ歌詞の天才性と、楽曲のポップ性が10代を中心に圧倒的支持を集め、それが今の邦ロックのシーン自体を形成していったわけです(その良し悪しに関してもここで問うのは止めておきましょう)

図らずとも新海誠氏が自身のブレイクのきっかけとなった「秒速5センチメートル」を発表したのは2007年。

同じ時代に、似たテーマを以て活動してきた両者が、ここにきて一つの「作品」を作り出す。

主題歌「前.前.前世」を始め、「時代を代表するロックミュージシャン」が、劇中の楽曲全てを「作品のために書き下ろす」という離れ業を果たしたのも、両者に不思議なシンパシーがあったからこそ。

そしてそれは「約10年」という時間を、どこか「仲間意識」を持って過ごしてきたからこそなのでは、とも思えます。

また、この「不思議な縁」というのは、実に「新海作品」らしいな、とも思えます。

これは「チューニング」というよりも、新海監督の「実力」の一端でもありますね。

※初期RADWIMPSを代表する楽曲「ふたりごと」は、特に新海作品との「共通性」を感じる曲です。


ふたりごと RADWIMPS MV

 

主演の神木君、上白石さんの好演も、作品を成功に導いた要因。

特に三葉を演じた上白石萌音さんは、どうしても「舞妓はレディ」の印象が強いわけですが、「声でここまで演技できるのか」と驚愕しました。

特に「入れ替わりで中身が瀧になっているところ」の演技など素晴らしかった!

神木君はもとより、今後の萌音さんの活躍にも注目したいですね。

 

...と、ことほどさように映画全体を司る「チューニング」が上手くいっている作品です。

これはもちろん、東宝チームの「素晴らしい仕事」でもあるわけで、「プロデューサーって大事なんだなぁ」と改めて尊敬してしまいますが。

それだけでなく、重要なのは、これほど様々な仕事を「他者に振り分けることを認めた」新海監督の「懐の深さ」です。

元来「一人でアニメを作り続けてきた」「芸術肌の作家」が、「他人」に「自分の作品をゆだねる」というのは、並大抵の決断ではなかったでしょう。

しかし、その「勇気ある決断」が結果として「新海誠」の名を高め、氏の「代表作」を生み出すに至ったわけです。

その成立によって生まれた奇跡的な「チューニング」。

その「決断」を求めた「東宝チーム」、それを「受け止めた」新海監督。

両者へ拍手を送りたいですね。

■2016年の今、見るべき作品。

さて、というわけでどうしても前置きが長くなってしまいましたがw

2016年で「最重要」というわけではありませんが、今後語り継がれていく「映画」であることに疑いようはありません。

かならず「映画館」で見たことが、大切な記憶になる映画だと思います(特に10代の人にとっては)。

まずは「流行っているから逆に見たくない!」とか「新海さん苦手だからなぁ」などのバイアスは取り払って、一度見てみるのが良いと思います。

そして「あそこは良かった!」「あそこは変だった!」「納得いかない」など、喧々諤々仲間と語り合ってほしい作品です。

それだけのエネルギーをもった作品だと思います。

是非「DVDで見ればいいや」などと思わず、映画館でご覧ください。

おススメでございます。

J1 2ndstage 第8節 名古屋VS浦和 「攻撃を”はじめる”場所」

■対戦相手プレビュー

個人的にはシーズン前から(色んな意味で)最注目だった名古屋

監督未経験のOBGM兼任総監督という任務を与えながら、財務的には圧縮。

高年俸の外国人3人の放出はまぁ仕方なしとしても、良くも悪くもキーマンだった闘莉王に実質的な”戦力外通告”をかましたあたりから雲行きが怪しくなり、

牟田刀根という「まぁ帯に短し…って感じの選手だけど、計算はできるじゃん」というDF二人をサラっと放出。

更には本多ニッキまで放出して、チーム事情を理解しない他サポのこちらからすると「ただでさえ良い日本人の少ないDFを大量放出」という「正気か??」な放出策を断行。

攻撃面では交代要員としてまぁまぁ良い仕事をしていたはずの田中(輝)まで戦力外で放出。

これらの選手がベテランで、費用対効果が悪いのならまだしも、バリバリの中堅だったのが疑問に拍車をかけた。

補強としては、「ブラジル人3連ガチャ」ならぬ、「J経験無い欧州勢でもまとめて取ればダイジョウブ政策」で、スウェーデン国籍のシモビッチオーマンを獲得。

高温多湿の日本に北欧の選手。しかもオーマンはJではフィットし辛い縦の揺さぶりに弱そうなストッパータイプとあって、これまた不安をあおる補強に。

ただし、ボランチの薄さは流石にはっきりしているので「THE韓国製潰し屋(安定)」イ・スンヒを慌てて補強。

期待された日本人の補強には、湘南でプチブレイクした古林を競合を制して獲得。

ただし他の補強となるとガンバで出番の少なくなった明神、神戸を実質的に「戦力外」となった安田など名古屋らしからぬ消極的な獲得

FW勢も千葉でそれなりな働きをしてレンタルバックしてきた松田力のみと、こちらも小粒に終わった。

全体のバランスを見るだけでもちょっと歪にもかかわらず、開幕前のサポミで小倉が示したスタイルは、揃えた選手たちにそぐわない内容で、名古屋サポだけでなく我々をも驚愕させた

とはいえ、我が浦和の2011年を筆頭に、「ロペセホガンバ」「大榎エスパ」などここまで「こらあかんかも」と思わせる組み合わせを、意図せずこさえる日本サッカー界の首脳陣には舌を巻くばかりである(白目)。

案の定プレシーズンではチグハグなサッカーを披露。

サポーターの悲観が現実となるか…と思いきや、巨体なだけでなく「頑張れる」し「器用」なシモビッチを中心に、「とにかくまじめに役割を守る選手たち」によって1stステージ序盤はまぁまぁなサッカーを披露。

「やっちまったチームを楽しむ紳士たち」を「なんだよ、意外と普通じゃん」とがっかりさせるも(勝手)、故障者などが出始めるとやはり選手層の薄さを露呈。

守備にベースを置けない戦術選択と試合中のチグハグな指示に、いよいよチームリーダーである楢崎すらも疑問を呈す形となり崩壊が始まってしまった。

すっかり信頼を失ってしまった小倉を補佐させるため、ピクシーの参謀を呼んできて、ベンチ入りさせました←いまここ。

というのが、試合前の相手の状況。

2ndステージに限れば2分け5敗得点1失点12、という自分が名古屋サポなら「失神しそう」な状態であったが、

とはいえ「手負いの虎」ほど恐ろしいものは無い…という意味だけでなく、それなりに警戒していたのは、やはり入閣したボスコさん。

入閣の意図は実質的な小倉監督の「休養」であり、戦術(特に守備面)の修正のためだったのは明白。

元々「真面目さ」に定評のある名古屋の選手たちであれば、短期間で「最低限の守備の修正」は出来るのでは?という部分を個人的には警戒していた。

 

■スターティングメンバー

名古屋のスタメンはこんな感じ。

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FWレギュラーの筆頭であるシモビッチを怪我、続く川又を「小倉監督の誕生日に、調子に乗って監督のパンツを下したための懲罰」というで欠く(実際小倉の誕生会以降ベンチ外という…)中で、レギュラー級のFWは永井のみという状況。

その中でスクランブルな永井1トップ採用。

とはいえ、身長不足というだけでなく「足元もややおぼつかない」永井に1トップを任せる理由は、彼をライン際でウロウロさせながら「一撃必殺カウンター」を狙う以外ないだろう。

プレッシングを軸にしたショートカウンターを狙われるのならば、バックラインでのボール回しが熟練してきた浦和としては、そこまで怖くないのだけど(人数をかけたプレッシングを志向する布陣ではなさそうなので)

攻撃時に空いた両サイドの裏を永井に突かれるのはちょっと怖い。

チームの調子が悪くても、託された仕事を「やりきる」破壊力は「ノっている時の永井」なら持っている。そう、「ノっている時」なら。

この試合が復帰戦となった田口と、ルーキー和泉をシャドー気味に配置。

この二人が永井と連動してプレスすることで、ショートカウンターを決めるというのが分かりやすい青写真か。

前線3枚のプレッシングを軸とするならば、その3人が明ける中盤の広大なスペースをイと明神、二人の「頑張り」でカバーする。というちょっと無理のあるミッション。

後方は前節から取り組んでいる(らしい)5バックを採用。

こちらは浦和の5トップ対策として、まぁまぁ見るものだけど、あまり上手くいった記憶はなし。

特に前線のプレッシングを志向するかもしれない今回の名古屋においては、後ろが重たい布陣は歓迎しづらい

折角安田・矢野という守備力よりも走力に自信のあるWBを配置したのだから、浦和の両WBににらみを利かせ我慢比べを仕掛けるような位置取りをすれば良いのに。

と他人事ながら思ってしまうが、今はその余裕もなしか。

とはいえ、狙いと布陣がかみ合わない印象のある名古屋。さてどうなるか。

対する浦和はこんな感じ。

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興梠・遠藤をオリンピックで欠く浦和はここ数試合固定メンバー。

昨年までとは別人のような李。

身体のバランスが向上し、いよいよ1トップも普通にこなせるようになった。

武藤もここ2試合で連続ゴール中。チーム状態が結果に反映される選手だけに、この人が点を取れている時はチームが好調な証でもある。

その他遠藤の穴をしっかり埋めた那須を筆頭に2ndステージは安定のメンバー。

唯一、森脇がバテ気味なのが気になるが。

岡本がレンタル中なので、意外とこのポジションが薄いという。)

形だけ見ればミラーゲームであるが、さて試合はというと…

 

■名古屋の守備

ゲームに入って少し驚いたのは名古屋の守備。

1トップ永井の位置はハーフウェイライン丁度あたり。

DFラインも引きすぎずバイタルあたりで停止。

全体は引きながらも、中盤の薄さをカバーすべくコンパクトな布陣にしてきた。

勝てていない中でのホーム戦とあって、半ばヤケ気味に神風アタックを仕掛けてくるのでは?と予想していたこちらの思い込みを完全に裏切る形だった。

とはいえ、よく考えれば至極当然の采配。

この辺がボスコ効果といったところか。

浦和はいつも通りのビルドアップ。

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もはや常識と化しているが、攻撃時には両WBが高い位置取り。

ストッパー2枚はSB化。

ボランチ阿部がCBのラインまで下り、柏木の1ボランチを形成する。

この形のポイントは

・前線を5枚にすることで、相手ディフェンスにも変形を「強いる」こと。

・上記の理由から相手の中盤を空洞化し、パサーである柏木に自由を与えること。

ミシャが就任した2012年から、延々とこれを微調整しているのが浦和。

※「何も進歩が無い」言う人も多いのですが、全試合観ている自分からすると微妙に微調整しているように思います。ちなみに今年も去年とは違う取組をしています。

(浦和の戦術の話になるとゲームのトピックから外れるので、この話は別項で取り上げます)

この浦和への対策として多いのが「5バック」ないしは「1ボランチ柏木へのプレッシング」のどちらか。

要は「真ん中は3枚でガッチリ守り、両SBでサイド攻撃も殺し、中央のビルドアップも無力化させる」「サイドをある程度捨てて中盤の枚数を厚くし、中央で運動量をかけて奪う」かということ。

「数がいればなんとかなる」という神話を信じる指導者が多い日本。

前者を選択しがちで、実際のところ今年も甲府マリノスがこちらをチョイス。

結果が悪くないのも問題で、甲府はギリギリまで浦和を苦しめ、マリノスは見事引き分けに持ち込んだ。

実際真ん中を3枚(+ボランチ2枚)両サイドをSBで埋められると固い。

特に前線に「高さ」が無く、「クロスの精度が低い」浦和は苦戦する。

とはいえ、この戦術には問題がある

問題とは単純に「敵のゴールが遠い」ということ

全体のラインが下がると、「ボールを奪う位置が下がる」。

「ボールを奪う位置」「攻撃を始める位置」でもあるので、後方からビルドアップしていくか、前線に放り込んでいくかの2択になるわけだが、ビルドアップしていく場合には、敵もまた戻る時間が十分にあるため、攻めきれない場面が増える。

となると前線の高さや、速さを生かしてロングカウンターを狙うのが最大の攻撃法となる。

実際こういった戦術を得意とする海外のチームは多いが、日本のチームの場合まず「高さを生かしたポストプレイヤー」が不足している。

「速さ」に関してはそれなりにタレントはいるので、相手攻撃で空いたスペースに走らせて蹴り込む…というのはカテゴリー関係なく採用しているチームは多い。

とはいえ、今度は「気候」がネックになる。

高温多湿な日本で(特に夏には)「立っているだけでプレイヤーは疲労」していく。

ある程度守備のタスクをこなしながら、ボールに触る時間も少なく、ストレスを溜めていく展開の中では、頭も疲労していくだろう。

その状況で「スプリントを何度も繰り返す」というのは、戦術としてベターとは言い難い

…そんなわけで、名古屋はその弱点をカバーすべく5バックのラインを下げ過ぎす、全体のラインをコンパクトにすることで、浦和がパスを繋ぎ・通す隙間を奪う戦略を取った。

永井・田口・和泉の3枚は浦和の自陣ビルドアップを追い過ぎず、コースの限定に注力した。

その成果は上手くいったりいかなかったりとマチマチではあったけども、まずはしっかり守る準備の出来ている「自陣のサイド」に浦和を追い込むことが出来ていた。

完璧ではないものの「ボスコ効果」が見えた時間帯でもあった。

■「我慢合戦」

とはいえ、名古屋の集中した守備の前に浦和が四苦八苦していた…かといえばそうでもなかった

西川を含めた後方5人でのビルドアップも成長の一途にあり、「柏木が使えないなら違うアプローチ」というのも増えてきたからだ。

例えば西川から直接前線へ送る正確なフィードは連携の高まりと共に成功率も上がっているし、ボランチが相手のプレッシングを引きつけながらボールを受け、瞬時に槙野に戻し、そこからもノータイムで宇賀神に縦パスを送るコンビネーションなども相手守備陣を脅かした。

特に槙野・宇賀神と対する矢野・酒井守備面で不安定さを見せており、即席5バックが決して堅牢ではないことを予感させた。

とはいえ、名古屋FW陣の「頑張り」もなかなかで、柏木が良い形でボール受けられなかったのも事実。

従来であればこの状況に我慢できなくなった選手が「自らバランスを崩す」ような悪癖を露呈することもあった浦和だが、ACL敗退後からそういった悪癖はほとんど見せないようになった。

ひたすら忍耐強く打開を目指す浦和と、戦術を守る名古屋。

試合は「浦和優勢ながら均衡破れぬ我慢比べ」の様相を呈してきた。

 

■「綻び」

しかし試合の「綻び」は唐突に訪れる。

それまでファーストディフェンダーとしての役割を完遂してきた永井が、その仕事の質を落とし始めたからだ。

理由は明確ではないが、この日のトヨスタの蒸し暑さたるや半端なかった。

スタミナの消費も大きかったはずだ。

FW起用にも関わらず攻撃する時間が無いことが、頭の疲れも誘ったか。

あるいはここまで一度もシュートシーンの無かった自チームにしびれを切らし、攻めっ気を出してしまったか。

後者ならばチーム戦術への反逆となるため大問題だが。。

なんにせよ前半30分ほどを機に、明らかに永井のファーストディフェンスの質が落ちた

その結果、DFラインから柏木へボールが通るシーンが一気に増え始めたのである。

柏木がボールに触れるということは、浦和が中央を打開するシーンが増えるということでもある。

しかし、ここで名古屋選手陣の真面目さが裏目に出た。

前線が追いきれなくなっていることには気づきながらも、ディフェンス全体の修正を行えなかったのである。

サイドに追い込めず、中央がやられる危険性が増えた以上、今までのバランスを一旦捨て、リトリートするような形を取り、5バックでペナルティエリア近辺を埋め、バイタルエリアボランチが埋める形にし、この局面を守りきる必要があったはずだ。

「守備はまず中央を固める」という鉄則がある通り。

しかし、結果としてその意思を発揮する守備リーダーが不在だった。

また攻撃時にフォーメーションを変形させるやり方も、この日は逆効果になっていたように見える。

というのも攻撃に入る位置(奪う位置)が低すぎることもあり、浦和の守備対応が早く、永井をDFの裏に走らせることが出来なかった(特に槙野はマンマークに近い形で永井を封じていた)。

と、なると後方からビルドアップするほかないのだが、ボールを繋ぐには中盤の枚数が足りないこともあり、攻撃時には酒井をSB、矢野をSHくらいまで上げる戦術を取っていた。

とはいえ、この戦術自体が付け焼刃だった為か繋ぎ方が拙く、攻撃が成立するシーンは少なかった。

実らなくともシュートで攻撃が終われればフォーメーションの修正も容易なのだが、流れの中で攻撃⇔守備をシームレスに切り替えるほどの戦術熟成度が、今の名古屋には無かった。

結果としてこのシフトが名古屋守備に綻びを生んだともいえるかもしれない。

浦和の得点は43分。

永井によるプレッシングが効かなくなった名古屋は、柏木・阿部の中央でのパス交換も傍観してしまう。

結果としてこのパス交換から柏木がジリジリと前線に進行。

一機にパススピードをアップさせる。

高木が自分にマークに付いている酒井を引きつけながらバイタル手前まで下りてボールを受ける。

ペナルティエリア付近まで攻め上がっていた柏木がフリーでリターンパスを受けてキープすると、乱れたDFラインの合間を狙ってスルーパス

これを武藤が左足で冷静に流し込み、浦和が先制点をゲットした。

失点シーンの名古屋守備陣を見ると、DFラインが中途半端になっているにも関わらず、中盤の選手がバイタルエリアをカバー出来ていないのが良く分かる。

以下雑な図w

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高木が前線から下りてボールを受けた場面で、本来DFラインをキープせねばならない酒井がバイタルエリアまで引っ張り出されている。

酒井が高木に付いていった理由までは分からないが、バイタルエリアで彼に前を向かせない為か。

それを竹内が許容していたのならば、竹内はオフサイドを取る準備をしないと行けないはずだが、DFラインの意志はバラバラのように見える。

本来柏木をマークしなければいけない和泉が高木の出したパスを追いかけており、柏木は誰のマークも無いフリーの状況。

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バイタルエリアを埋める選手がいない以上、DFラインを突破されてはいけないのだが、ディフェンスラインを形成している竹内と左SB安田の意志疎通が行われておらず、オフサイドトラップがかけられない。

また大武もブロックを捨てインターセプトを狙ってその裏をパスで通されている。結果竹内と安田の間に入った武藤は易々とゴールを決めた。

誰が悪いとは言えないのは、「名古屋内での正解」を私が知らないからだが、少なくとも3バック全員の意志が統一されていないのは「コーチの責任」と言わざるを得ない。

■後半

後半、小川の投入から名古屋が攻める時間帯が増えた。

小川が「受け手として良い動きをしたから」かと思ったがそういうわけでもなく。

単純に名古屋のボールを奪える位置が上がり、結果としてパスの出し手として優秀且つミドルシュートを狙える小川が良く見えたということだろう。(名古屋がボール奪えた要因は浦和のミスパスや、セットプレー崩れから)。

元々中盤を間延び「させる」のを狙いとしている浦和は、中盤でボールを奪われてからのカウンターには脆い。

両WBの裏に永井や松田を走らせ、そこに田口や小川からボールを供給する。

跳ね返りをバイタルエリアに駆け込んだ田口や小川がシュートを狙う、というのは限られた戦力の中ではベターなチョイスのように思える。

とはいえ決してディフェンスの良くない浦和相手に枠内シュートを一本も打てず、とやはり攻撃には課題を残す形。

浦和は試合終了間際、西川のゴールキックに競り勝ったズラタンが器用に決めてスコアを2-0とし、試合を終わらせた。

セットプレーがひたすら苦手な浦和だが、このパターンで2試合連続ゴール。

夏場には有効な得点パターンに見える。

結果、名古屋は枠内シュート0に抑えられ、勝負は凡庸な表現をすれば「順当」に終わった。

■総括

名古屋は今後も「5バック」を継続するのだろうか。

個人的にはあまりオススメできない。

それよりも永井をシンプルにサイドに「走らせる」戦術にして、合わせ役に川又を採用すればもう少し勝ち点が稼げるのではないか。

前任者西野の置き土産「右SB矢野」も、守備的なタスクの多い現状ではあまり魅力的には映らない。

それよりもCBとしては対人守備に難のある酒井を右SBに回し、矢野が本来輝く右SHに戻し、「サイド攻撃」に一縷の望みを託す方が良い気もする。

まま、所詮チーム事情を知らぬ他サポの戯言ですが。

浦和は安定。

苦手な夏場を負けなしで首位攻防戦に臨める。

ホームの川崎戦は不思議と苦手なんだが、

疲れたときにロングパスという選択肢が使える以上、ショートパスとポジションチェンジ、ショートカウンターを武器に戦う川崎よりはこの季節向きのように思う。

なにはともあれ首位攻防を巡る大事な一戦だけに、フェアで面白いゲームになること。

そして浦和サポとしてのちょっぴりの期待をこめて埼玉スタジアムに向かおうと思う。


【ハイライト】名古屋グランパス×浦和レッズ「2016 J1リーグ 2nd 第8節」