-Death On The Stairs-

So baby please kill me Oh baby don't kill me 浦和とかサッカーとかサブカルとか。

ぼんやり映画感想:救いもない、赦しもない、ただ解はある。「MANCHESTER BY THE SEA(マンチェスター・バイ・ザ・シー)」(ネタバレあり)

※本文にはネタバレが含まれます。必ず映画を視聴した後か、あるいはネタバレOKの方のみお読みください。

どうしても見たい映画の一本だった「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を見てきたので、雑ではありますが、感想を残しておこうと思います。

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※日本版のポスターはやたらと情報量が多くて、ゴチャゴチャし過ぎ。静かな映画に対してあのポスターは合わないと思います(まぁ、あれくらい乗っけないと人来ないのかもしれないですけど)

解説:

ジェシー・ジェームズの暗殺」「インターステラー」のケイシー・アフレックが主演し、心を閉ざして孤独に生きる男が、兄の死をきっかけに故郷に戻り、甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく姿を描いたヒューマンドラマ。「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本で知られるケネス・ロナーガンが監督・脚本を務め、第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。アフレックが主演男優賞、ロナーガン監督が脚本賞を受賞した。プロデューサーにマット・デイモン、主人公の元妻役で「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズ、兄役で「キャロル」のカイル・チャンドラーが共演。アメリカ、ボストン郊外で便利屋として生計を立てるリーは、兄ジョーの訃報を受けて故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。遺言でジョーの16歳の息子パトリックの後見人を任されたリーだったが、故郷の町に留まることはリーにとって忘れられない過去の悲劇と向き合うことでもあった。(映画.comより抜粋)


アカデミー主演男優賞受賞『マンチェスター・バイ・ザ・シー』予告編

www.manchesterbythesea.jp

 

感想:

製作マット・デイモンで、本来が彼が主演も務める予定となっていた本作。諸々の事情により主演を下りることになった彼が後任として指名したのは、親友であるベン・アフレックの弟=ケイシー・アフレック。「この映画をきっかけに不遇な境遇に別れを告げてほしい」。そんなマットの熱い友情が実を結んだだけでなく、作品としても高い評価を得た本作。アカデミー賞では6部門にノミネートされ、脚本賞主演男優賞を受賞しました。特に前段のような事情で主演を任されたケイシー・アフレックの受賞コメントには、多くのアカデミー会員たちがスタンディングオベーションでこたえていたのが印象的でしたね。

そんなわけで公開前から割と話題だった「マンチェスター・バイ・ザ・シー」ですが、やはり日本公開ではパンチが足りないのか、現在都内での公開は恵比寿ガーデンシネマと有楽町ヒューマントラストシネマのみ。公開規模の小ささは寂しい限りですが、映画の内容的にも「万民向け」とは言いづらいところもあって、致し方なしでしょうか。

私は恵比寿で拝見しましたが、客席は8割方埋まっているなど、なかなか好評な様子でした(公開が2館だけだからというのを差し引いても)。

 

ケイシー・アフレック演じるリーの佇まい。

映画はケイシー・アフレック演じるリーという男が雪かきをしている...というなんともぼんやりしたシーンから始まります。その後彼がどんな仕事をして生計を立てているのかが散発的に描かれるのですが、そこでの彼の様子が少し変。会話には生気がなく、目も虚ろ。パッと見ただけで「何か問題を抱えている」ことが分かります。

とはいえ、それは分かりやすい「不自然さ」ではなく、あくまでも社会に「適応した」うえで、その社会に「居場所がない」ような異物感。そのバランスを保った佇まいに、ケイシー・アフレックがこの役にかける気合が伝わってきます。

物語の主役はこのリー。彼が抱える問題とそのあらましが物語が進むにつれ明らかになっていく構造になっています。

 

■静かでゆっくりとした時間経過

兄の訃報を受けて地元に帰るにことになるリー。彼の地元が「マンチェスター・バイ・ザ・シー」という都市であることがここで初めて分かります。この静かな田舎町は、ボストン市民にとっての静養所となっている場所。どこかのどかな雰囲気があります。物語もそんな街の雰囲気に倣ってか、どこかゆっくりと進んでいきます。映画開始からかなり時間が経過しても、目に見える事件は起きません。ただこの町でのリーと甥っ子のパトリック、その周りの人々の日常が淡々と描かれていくのです。もしかしたら人によってはこの「何も起きない時間経過」が辛さを感じる要因になるかもしれません。

 

■継続する緊張感

一件静かに見える物語。しかし合間合間に挟み込まれるリーの「フラッシュバック」が物語に対する没入感を失わせません。彼自身が回想する「過去の自分」を見る限り、リーは元々「明るい性格」の人物でした。家族との関係も良好な「普通」の父親だったはずのリー。そんな彼がなぜ「現在の人柄になってしまったのか」。そのきっかけとなる「事件」がジワジワと明かされていくこともあって、物語は常に緊張感を保っています。

また、リー自身の「不安定さ」も、我々に緊張感を強います。酒場では誰彼かまわず喧嘩をふっかけるリー。彼は「他人からの視線」や「陰口」に酷く怯えています。また長らく会っていなかった甥っ子であるパトリックの「後見人」を務めることになったことも、彼を精神的に追い詰めていきます。

「不安定」なリーがいつ「爆発する」かは誰にも予見できません。だからこそ、リーが画面に映っている間、我々は常に緊張を強いられることになります。(実際リーが突如として”キレる”シーンも何度か挿入されます)

この「緊張感」は計算された演出のように思います。物語の中心テーマとしてある「ほんの些細なきまぐれや不注意が人生を狂わせる」ということを象徴させるようなモチーフが、ところどころに登場するからです。その際たるものが「車」であるように思います。

 

■多用される「車内」映像

本作で印象的なもののひとつが「車内」映像の多さです。田舎故に「車」での移動がマスト、自然と「車内」での会話シーンが増えるのは仕方ない部分もありますが、とはいえその登場回数の多さは群を抜いています。パトリックと共に最初に病院に向かうシーンでは、ちょっとした言葉の行き違いからパトリックが車を下りる瞬間に車を発車させようとして、あわや事故に!というシーンがあるように、「リーの不安定さ」は「車の運転」にも如実に現れています。

とかく急発進や急ブレーキを使用したり、よそ見運転をしたりする彼の運転を間近で見せられることは「もしかしたらいつか車で大事故が起きるのでは?」という想像を働かされます。(結果としてこれはミスリードに終わりますが)

先ほども触れた「ほんの些細なきまぐれや不注意が人生を狂わせる」というテーマ。その中には「車の運転ミスによる過失事故」というものも含まれます。監督の前作「マーガレット」では、「それ」が「物語の起点」になることを考えても、この執拗な「車」映像の多用も意図的なものでは?と思えます。

 

■赦しではなく、断罪されたい男。

自身の「うっかり」ミスによって、信じられない「大参事」を引き起こしてしまったリー。彼の「心が壊れてしまった」のは、そのことがきっかけでした。しかし「うっかり」ミスだったことで、彼は「罪に問われず」結果として「誰からも罪に対する裁きを受けられない状況」になってしまったことが、物語中盤に明かされます。

自殺してしまいたいほどの「罪」を抱えながら、彼が自殺できないのは、恐らく自殺すら「自らに赦しを与える行為」だと考えてしまっているからではないでしょうか。それほどに彼の心に巣食う闇は深く、重いものです。

物語終盤。ある重要人物から「赦し」を得るリー。しかし彼はそれを全くもって受け止めきれません。彼が欲しいのは「赦し」ではなく、「断罪」なのです。強いて言うのなら「断罪」のみが彼にとっての「赦し」になるのです。しかし、それを与えてくれる存在は、今はどこにもいません。

 

■兄が与えた「断罪」

ここでふと思ったのは、兄がリーに残した遺言とは、「赦し」ではなく「断罪」だったのではということです。不治の病に侵され、余命5~10年と診断されていた兄。彼がリーに全く相談することなく、自身の息子の後見人にリーを据えたのは、彼を「罪を背負った街」である「マンチェスター・バイ・ザ・シー」に引き戻し、改めて「罪と向き合う時間」を作らせる為だったのではと思えるのです。

彼にとって「他者からの赦し」は真の意味での「赦し」にはならない。彼にとって大事なのは、「自分の罪」と向き合い「自分自身を断罪」し「自分自身を赦すこと」なのだと兄は気づいていた。だからこそ、彼をこの街に引き戻す方法を算段した。そんな風に思えて仕方ないのです。

 

■救いもない、赦しもない、ただ「解」はある。

映画は最後に至るまで、リーに分かりやすい形での「赦し」は与えません。ただし、自らの「罪」と向き合ったことで、彼は改めて自分自身の「傷」が癒えないことを自覚し、その上でほんの少しだけ「前に進むこと」が出来るようになります。

その「解」が「新しい家」であり、そこに甥っ子であるパトリックが「遊びに来る部屋を用意する」ことでもあります。

「人生はオペラではない」これは監督の前作「マーガレット」の中で使用された台詞とのことですが、

(詳しくは下記にて町山さんが解説されています)

tomomachi.stores.jp

正しくその思想を反映するように、この作品のエンディングにもいわゆる「劇映画的」な「感動のエンディング」は用意されていません。ただし、それで良いのです。

この映画に限らず、多くの人が多かれ少なかれ「罪」を背負って生きているはず。そしてそれらの「罪」には、分かりやすい形では「赦し」は与えられないし、「断罪」もされません。そうなればこの作品のリーのように「罪」を「癒えない傷」として受け入れた上で、進んでいくしかない。そんな「解」を与えてくれる作品でした。

静かで、何も具体的な事件が起きないこの映画が、それでいて「深い感動」を与えてくれるのは、そんな我々の人生においても「普遍的なテーマ」を伝えてくれているからだと思うのです。

個人的には今年見た中では「沈黙-サイレンスー」に並ぶ傑作でした。おすすめです!

 

Fateの話をしようじゃないか、という雑談(後篇)~「エミヤシロウ」の「Brave Shine」~

※注:本文は「Fate/stay night」および「Fate/hollow ataraxia」「Fate/Zero」更にはTYPE-MOON作品に関してのハッキリとしたネタバレが含まれているので、同作品を未プレイ・ならびに「これからプレイしようとしいる人」はまず、一通りプレイしてからお読みいただけると良いと思います。

 

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Fate/Stay night」という作品は、セイバーをヒロインとする「Fate」、遠坂凛をヒロインとする「Unlimited Blade Works」、間桐桜をヒロインとする「Heven's Feel」の3篇にて構成されている。

「ストーリー忘れちまった!」という貴兄は下記にて簡潔にまとめられているので、参照されたし(当然ネタバレ全開なのでお気を付け下さい)。

gamy.jp

衛宮士郎の「歪み」

全てのシナリオで共通しているのは、主人公が衛宮士郎である...ということ。それだけでなくシナリオを進めるたびに士郎という人が「どういう人物」であるのかが明らかになる。それと同時に彼が抱える「歪み」が明らかになっていき、同時にそれに対する「解決策」を見出していく...という構造になっている。「士郎は主人公ではなくメインヒロイン」なんていう名言も昔あったけれど、言い得て妙で各エピソードにおいて、其々のヒロインと触れ合うことが、彼自身に「救い」を与えていく。そういう独特なシナリオ構造がこの作品にはある。

士郎が抱える「歪み」とは「正義の味方になる」という目的に起因する。義父であり、自分の命を「救ってくれた」衛宮切嗣から託されたこの「願い」は、切嗣が考えるよりももっと「重要な事柄」として士郎には捉えられてしまった。「冬木の大火災」によって「生き残った」彼は「生き残ってしまったことに苦しみを感じる」「サバイバーズズギルド」に苦しんでいる。その苦しみは、本来であれば「息をしているのを苦しく」感じるほど。士郎のそういった現状は、実はアニメを見ているだけでは、分かり辛い要素だったりする。

TYPE-MOONエースvol.9のインタビューによると士郎はきのこ氏曰く「壊れている奴」「士郎は人間にあこがれているロボットみたいなヤツ」。

  • そもそも生きるのが辛い人間。本来は息をしているだけでも苦しい人間がどうにかして人前で笑顔を作ろうとしているというのが「Fate」の根幹にはあると三浦氏(監督)に語ったそうだ。また最初に絵コンテを上げたときに「士郎をあまり幸せそうにみせないでほしい」とも三浦氏は言われたらしい。天涯孤独の身ではありますが、大河や桜といった心許せる人たちに囲まれて、充実した生活を送っています。しかし、そんな状況にあっても真に満たされてはいないことを匂わせてほしいと。

    衛宮士郎 - TYPE-MOON Wiki

「自分の人生」に「意味」や「目的」を見出せない。故に切嗣から与えられた「正義の味方」という「生き方」に固執する。 「自らの生」へ執着出来ないから、「他者の生」に執着する。「自分の為に生きる」のではなく「他者の為に生きる」ことを突き詰めようとしてしまう...。そんな彼の「あり方」までは切嗣も読み解けなかった。(とはいえそんな彼の在り方はセイバー=アルトリアと近くもあり。故に彼とアルトリアは"最も愛称の良いコンビ"とも呼ばれるのだろう。まま、それはまた別の話。)

結果として切嗣の「願い」を100%引き受けた彼は「正義の味方になる」ため「自分以外の誰か」を守り続け、最終的には「英霊」にまでなってしまう。「アーチャー=エミヤ」と「衛宮士郎」の対峙。それもまた「Stay night」という作品における重要なパートの一つとなっている。「自分自身のあり方」そして「その行く末」と対峙する事は、正しく「自問自答」と言い換えても良いだろう。全3章の中でも2章「UBW」が最も高い人気を誇るのも、この章に主人公たる「衛宮士郎」の凡そ全ての要素が詰まっているからだろう。

■「エミヤ」と「士郎」を分かつもの。

「自分自身=アーチャー」との対峙が最大のポイントとして設定されているのは第2章にあたる「Unlimied Brade Works」。この章では初めて「アーチャー=エミヤ」であること、そして何故「士郎」が「エミヤ」という「英霊」になったのかが明かされる。士郎が「正義の味方」になることを追い求めた結末としての「英霊化」。「英霊」になるということは「世界の守り人」として永久に「使役」される羽目になるということ。しかし士郎は「正義の味方になること」そして「恒久的な世界平和」を実現するために、それを受け入れる。

しかし使役される度に無駄な戦いを繰り返し「世界平和」という理想へとたどり着けない現実は士郎の望んだ「願い」とも「希望」ともほど遠いものだった。「自分勝手な都合」で争いを始め、いざとなると平然と自分を裏切る「勝手な人間たち」にうんざりする日々。数千回、数万回と繰り返される争い、それに加わる自分。叶わぬ「願い」。いつしか英霊「エミヤ」は、望んだ「願いを諦めた」。そしてこの「輪廻」へと追い込んだ自分自身を「恨む」ようになる。英霊「エミヤ」の願いは、過去の「自分を殺す」ないしは「説き伏せて夢を諦めさせること」に変わった。何度となく英霊として使役される中で、いずれ「自分自身と出会う日」を待ちわびながら。

UBW」は士郎が「エミヤ」との問いかけを通して自らの夢の「矛盾」や「未熟」さに気付きながら、改めてそれを「再肯定」するまでを描いた物語。とはいえ、ただ「再肯定」するだけでは士郎は「エミヤ」と同じ道を辿ってしまう。そこで重要になる要素は遠坂凛だ。

・士郎は凛が側にいる限り、エミヤになることはないとされている。つまり、どのルートでも凛と決別しない限り、その後に士郎がエミヤになることはない。またこれは、アーチャーにとって凛に召喚されたことが、遠回りではあるが救済となった事を意味する。逆に言えば、凛に召喚された彼は、生前は凛と決別したということになる。

エミヤ - TYPE-MOON Wiki

 英霊となったエミヤと士郎とは、既に「別の人間」なのだそうだが、「エミヤとなる前の士郎」も「凛には出会っている」らしい(ややこしい)。にも拘わらず彼が「英霊」となってしまったのは、どこかのタイミングで「凛と袂を分かったから」と思われる。「UBW」では「エミヤ」と「士郎」とが幾度となくぶつかり合うなかで、両者を分かつ鍵が「凛」であることが明らかになる。その中で「エミヤ」は、「士郎」が「凛」と離れる事が無ければ「自分」にならない事を理解し、「自分自身」のこれからを「凛」に託して消失する。とはいえ「エミヤ」の運命は何も変わらない。「人類の守護者」である枷は未来永劫エミヤを縛り、彼は争いが起こるたびに使役される。それでも自分自身の人生を呪わず肯定できるようになったからこそ、彼は「UBW」のラストシーンで

「それでも───俺は、間違えてなどいなかった───」

と自分自身を認めることが出来るようになる。それは「士郎」にとってだけでなく「エミヤ」にとっても凛との再会が「救い」となったことを示す証明でもある。

 

■「Brave Shine

アニメ版(2014~2015年版)「UBW」の主題歌として採用されたAimerの「Brave Shine」。「自分自身の声が出なくなった体験を元に詩を書いた」と彼女は語っていたが、それだけでなく明確に「UBW」の世界観が反映された素晴らしい歌詞だと感じたので、ここではその歌詞を解体してみたい。

”左手に隠した 願いは願いのままで
覚めない幻見てた
右手には空の記憶 誰もしらない世界の果て
やまない雨にうたれていた”
 
唄い出し部分。
注目したいのは「左手」と「右手」というモチーフ。ご存じの通り「アーチャー=エミヤ」は「弓兵」のサーヴァントでありながら「剣製」に特化した自身の魔術適正を反映させて干将(かんしょう)・莫耶(ばくや)という夫婦剣を主な武器として使用する。それぞれ陽と陰の性質を持つこの双剣はエミヤと士郎を象徴する存在。また同一人物でありながら「相反する」「理想」を持つ「エミヤ」と「士郎」の抱える「対立」や「矛盾」を象徴する存在でもある。
また「Heaven's Feel」篇において左腕を失った士郎は、アーチャーの左腕を自分自身に移植することになる。そう考えれば「左手」は「エミヤ」の視点、「右手」は「士郎」の視点という風にも受け取れる。
「左手に隠した願いは願いのままで 覚めない幻(ゆめ)を見てた」
とはまさしく「エミヤ」が歩んだ道のりに似ている。「世界平和」=「願い」を抱えて、「英霊としての日々」=「覚めない幻(ゆめ)」を見ていたのは、英霊となったばかりの「エミヤ」だろう。
「右手には空の記憶 誰もしらない世界の果て やまない雨にうたれていた」
衛宮士郎」となる以前の記憶を意図的に「消失」した士郎。故に彼は「空の記憶」を抱えている。「世界の果て」とは極東である日本。「やまない雨」は「冬木の大火災」時に士郎が切嗣に発見された際の天候と一致する。
 
”守りたいものを守れる強さ
それを信じられなくなる弱さ
すべてを受け入れて 未来を探す”
 
「守りたいものを守れる強さ」と「それを信じられなくなる弱さ」は「エミヤ」が併せ持つもの。それらを「すべて受け入れて」「未来(あした)」を探すのは「士郎」の視点。
 
Brave shine 手を伸ばせばまだ
Stay the night 傷だらけの夜
You save my life かざした刃の先に想いを重ねた
祈りは時を超えて”
 
「Stay the night」はもちろん「Fate/stay night」にかけたもの。「かざした刃の先に想いを重ねた」のは「士郎」とエミヤ」。それぞれの「刃」を重ねることで、それぞれの「想い」を理解した彼ら。その祈りは「時を超えて」果たされることになる。
 
”光ること忘れた 青い星が残してく
消えない影見てた
すれ違う赤の軌道 何も知らない子供のまま
明けない夜を彷徨ってた”
 
「青い星」に関しては厳密には分からないが、「青」が連想させるのは「セイバー」。同時に「赤の軌道」は「赤」がイメージカラーの「凛」を思い起こさせる。「エミヤ」は「士郎」と同じく第5次聖杯戦争を体験していることから考えて、彼が「過去」を思い起こしているようにも思える。「何も知らない子供」とはかつての「自分自身」と捉えられる。
 
”失くせないものを失くした弱さ
何も信じられなくなる脆さ
立てなくなっても 運命は進む”
 
「失くせないもの」とは自分自身がかつて頂いた「理想」。それを「失くし」「何も信じられなく」なったのは「エミヤ」。しかし彼が「立てなくなって」も、「サーヴァントとして使役される」「運命(さだめ)」を覆すことはできない。
 
”Break down 崩れ堕ちてゆく星座が 傷つけあう夜
You're breaking dawn 交わした約束の中に
独りを支えた確かな理想を添えて”
 
「交わした約束(ことば)」とは切嗣と交わした約束だろう。「じいさんの代わりに正義の味方になる」。それは独りぼっちの士郎にとって、その空虚を埋める要因となった。「確かな理想(ゆめ)」とは「正義の味方になる」という「夢」。また「理想」と書いて「夢」と読ませるのは、士郎の体内に埋め込まれたエクスカリバーの鞘「全ては遠き理想郷(アヴァロン)」を思い起こさせる。この鞘の存在が、士郎をセイバーへと引合す運命のきっかけとなることを考えても、この歌詞は意味深だ。
 
”守りたいものを守れるのなら
すべてを受け入れて 未来を探す
夜明けを灯す”
 
「守りたいものを守れる」可能性。自分が「英霊」とならずに「正義の味方」を目指す「未来」。それがあるのなら、自分の運命を「受け入れて」新たな「未来(あした)」を探すことが出来る。士郎との対峙、凛との邂逅から得た「エミヤ」の解。それは二人の「夜明けを灯す」こと。ギルガメッシュにとどめの一撃を加え、士郎を守ったエミヤ。彼は自らの運命を受け入れ、士郎の後身を託しながら、笑顔で凛に別れを告げる。朝焼けの中で。
 
Brave shine 手を伸ばせばまだ
Stay the night 傷だらけの夜
You save my life 重ねた涙の果てに光を見つけた
祈りは時を超えて
 
「英霊」としての日々に戻った「エミヤ」。彼は未だ夜の中で戦い続けている。しかしそんな変わらない日々でも彼は「見つけた」「光」を胸に戦い続ける。
「見つけた」「光」とは、凛のこと。彼女と共にある限り「士郎」は「エミヤ」にはならない。それは「士郎」を、ひいては「エミヤ」を救うことになる「光」。故に「エミヤ」は「You Save my life」と語りかける。そして「エミヤ」は「光=凛」へと「希望」を託す。彼女が放つBrave shineに願いを託して。英霊として彷徨う中でようやく見つけた「希望の光」。だからこそこの歌詞は「My brave shineという言葉で閉じられる。「それでも───俺は、間違えてなどいなかった───」
そう彼が自分自身を認めるために必要だった「光」。それを手にしたことで、この物語は終わりを迎える。
 
というわけで、3回に渡ってFateのお話をさせていただきました。とりとめのない内容ですみません。足りない部分などは、気が向いたときに加筆修正していきます。

Fateの話をしようじゃないか、という雑談(中篇)~empty 空っぽの人間~「Fate/Zero」の話

※注:本文は「Fate/stay night」および「Fate/hollow ataraxia」「Fate/Zero」更にはTYPE-MOON作品に関してのハッキリとしたネタバレが含まれているので、同作品を未プレイ・ならびに「これからプレイしようとしいる人」はまず、一通りプレイしてからお読みいただけると良いと思います。

 

 

まずは前後編にする予定が「中編」が加わってしまったことに関して。本来であれば、「Fate/Stay night」と「衛宮士郎」の話をして終わる予定だったのだけど、その前提として「Fate/Zero」の話もしておかねばと思い、こういった形にさせていただいた。

...というか話がしたくなったというだけ。

1編増えてしまったけど、懲りずにお付き合い頂けたら有り難い。

さて、「Fate/Zero」(以下Zero)は「Fate/Stay night」(以下SN)の前日譚と言えるお話。「SN」が「第5次聖杯戦争」を描く物語とすれば、「Zero」は「第4次聖杯戦争」を描いた物語だった。

また、「SN」において主人公である衛宮士郎、セイバー、藤村大河といった登場人物の「回想」にしか登場しなかった士郎の「義父」=衛宮切嗣(キリツグ)。彼を主人公とし、彼がいかにして「第4次聖杯戦争」を戦い、いかにして「士郎と出会ったのか」までを描く物語でもあった。

「SN」を知っていれば、この物語が「バッドエンド」へと突き進む物語ということは自明の理。そういう意味では「Fate=悲劇的な運命・逃れられぬ運命」というタイトルに最も見合った作品でもある。

 

「Zero」において特徴的なのは、登場人物のほとんどが「目的」を大前提として生きている(あるいは生かされている)「空っぽな人間」であるというところだろう。

主人公チーム=セイバーチームだけ見てみても、彼ら彼女らは皆「空っぽ」だ。

衛宮切嗣「正義の味方」になり「恒久的な世界平和」を実現するため、自らの近しい人物を容赦なく切り捨ててきた人物。「大」を救うために「小」を捨てる...という選択は、いつしか彼から「人間味」を喪失させ、「心を破壊」していった。また、どれだけその「選択」を取っても自らの「理想」へと近づいていかないことも、彼が「壊れる」要因となっていった。いつしか自らの力のみでの「理想」の実現に限界を感じた切嗣は「アインツベルンの秘術」と、それに伴う「全ての願いを叶える願望器=聖杯」の存在を知る。「過去すら改竄することが可能」な聖杯の力を以てすれば、己の「理想」を叶えられる。そう信じた彼は、いつしか守るべく「他者」のために「自分」をないがしろにする人間になっていった。最初に願った「正義の味方」とは遠い「目標」は、彼にとっての「理想」とはほど遠い、「目的」へと変わっていた。彼はいつしか「目的」のために生きる「空っぽな人間」になっていた。

切嗣の妻であるアイリスフィール・フォン・アインツベルンは、アインツベルンが作り出した「ホムンクルス」であり、「聖杯」にとっての「外装」に過ぎない。もとより「余分」な存在として生み出され、短い生涯を以て死する運命を持ち、それを自覚する彼女もまた「空っぽな存在」であった。

切嗣につき従う久宇舞弥。紛争地帯に産まれ、自らの本名も知らぬまま少年兵(女性だが)として戦地を転戦。隊内で度重なる虐待、暴行(性的を含む)を受けた彼女も「心が殺された」人物であったが、その最中切嗣によって拾われた。その際に与えられた「仮の名前」である「久宇舞弥」を「本名」として受け入れた彼女は、自らの生を「切嗣の道具」として使うことを願う人物。自らの生に「願い」も「望み」も持たず(というよりも持てない)彼女は、正しく「空っぽな人間」と呼べるだろう。

そして、彼らのサーヴァントである「セイバー」ことアルトリア・ペンドラゴンも「空っぽな人間」。祖国「ブリテン復興」のため、「自分」ではない人物を「王として選出し直すため」に「聖杯」を求める彼女は、「国」や「国民」という大枠を大事にするあまり「自分自身」や「臣下」や「親族」をないがしろにした人物だった。彼女の「崇高な姿勢」は多くの臣下から愛され、同時に憎まれた。それを認識しつつも、しかし「聖杯」という「目的」のためにガムシャラに戦い続けたアルトリア。そこには「国王」としての義務はあっても、「人間」としての欲望がなかった(その本質と問題点は聖杯問答内でイスカンダルによって暴かれるわけだが)。そんな彼女は「空っぽ」と呼ばれても仕方のない人物だった。

その他の登場人物に関しても同じ。

魔術師として「深淵」を目指す遠坂時臣やケイネス・エルメロイ・アーチボルトも「魔術師」や「家」という「目的」の為に自らの「人間性を捨てた」人々だった。そのあり方は配偶者である遠坂葵や、婚約者であるソラウへも影響を与え、結果彼女たちの在り方も「ゆがめる」ことになってしまった。

「幼馴染への恋愛感情」や「自分自身が幸せだった日々を取り戻す」ために闘った間桐雁夜。しかしその価値観は一方的なもの。その一方的な価値観を対象に求め続け、それが対象へは一向に伝わらない彼もまた「空虚な目的」のために生き、死んでいく「空っぽな人間」だろう。

「人を殺すこと」にしか「生きがい」を見出せない雨生龍之介は明確に「空っぽ」であり、「自らの生きる理由を求め続ける」ものの「その回答が見いだせない」言峰綺礼も分かりやすいほどに「空っぽ」だ。

また「魔術師としての自らの実力を示し」「自分をバカにしている連中を見返す」という「矮小な願い」を求めるウェイバー・ベルベットも、「本質的な目的」を持たない「空っぽな人間」と言える。

ことほどさように「空っぽ人間」たちが、その「空っぽ」を埋めるために「聖杯」を求め、殺しあう物語が「Fate/Zero」だった。そこには「イデオロギー」はなく、故に戦いは凄惨を極めた。最終的に生き残った人間は3名。彼らの内誰も「聖杯」を手中に収めた者はおらず。そして「聖杯」自体も「願望器」からはほど遠い存在であることが明かされることになる。ある種「無為に終わった」聖杯戦争

しかしながらこの「聖杯戦争」が全くもって「徒労」であったかと、いうとそうではない。少なくとも、生き残った3名は、それぞれに「空っぽ」を埋める「解」を戦いの中で得ることになったのだから。

戦時、唯一無傷で生き残ったウェイバー・ベルベットは、最終局面においてライダー=イスカンダルと「主従の逆転」を行う。「生きろ、ウェイバー。すべてを見届け、そして生き存えて語るのだ。貴様の王の在り方を。このイスカンダルの疾走を」そんな主の言葉を得たウェイバーは、どこか投げやりだった「自らの生」への執着を知る。「生きろ」という「命」に従った彼が、決してかなわぬはずのギルガメッシュへも毅然と立ち向かうのは、彼がこの戦いを以て「一つの成長を迎えた」ことを現す要因だろう。

曲者だらけの「Zero」のチームの中で、唯一爽やかで「主人公然」としたチームだったライダーチーム。故にそのマスターであるウェイバーも、物語内では「唯一」と言って良いほど、ポジティブな「解」を得た人物と言える。

真逆に「ネガティヴ」な「解」を得てしまったのが言峰綺礼。「聖職者」としての在り方を愛し望みながら、それでも埋められぬ「空虚」を抱えていた彼が闘いの果てに理解したのは、「他者の不幸」を「愉悦」と捉える自分自身の「性質」だった。「聖杯」を穢し、満たしている「この世の全ての悪=アンリマユ」へと魅入られた彼は、本来死んでいたはずの肉体を「アンリマユ」によって生かされることになる。それは来たるべき次の聖杯戦争において、彼が主軸となって「アンリマユ」を起動させるため「聖杯」が選んだ采配だった。「神」と「聖杯」と「悪」への捻れた「信仰」を肯定「された」ことで、決定的に「狂ってしまった」言峰。彼がその「解」を今一度ぶつけるのは、ここから更に10年後となる。

自らの「願い」の決定的な「矛盾」を「解」として得てしまった衛宮切嗣。「聖杯」の役割を理解したうえで、破壊を試みるものの、それがかえって「冬木の大火災」を起こす要因にもなってしまう。「大勢を救うため」に「少数を切り捨ててきた」切嗣にとって、「愛すべき少数=アイリスフィールやイリヤ」を切り捨てたにも関わらず、「大勢の命が犠牲となった」「冬木の大火災」を起こしてしまったという事実は、それまでの「理想」や「思想」を根底から覆す事件となった。必死で生存者を求める亡者となった切嗣の目には、もはや言峰の姿は映らず。久宇舞弥が愛した「苛烈な切嗣」は、この時を以て完全に「死滅」した。大火災の中からようやくたった一人の生存者=士郎を見つけ出した切嗣。その瞬間にタイマーが0になるのは、「魔術師」「衛宮切嗣」の「戦い」と「理想」が「終わったこと」を示すためだろう。ただし同時にこの0は、新たな「物語」のスタートの合図でもある。

切嗣によって救われたことで、「それまでの人生」を切り離し、「衛宮士郎」としての人生をスタートさせた一人の少年。彼が切嗣の「意志」と「願い」を継ぎ、「正義の味方」となることが、切嗣にとっての「救い」にもなった。

しかし、士郎にとってこの選択は「呪い」にも等しいものとなる。「正義の味方になる」と誓ったその日から、士郎もまた「空っぽの人間」として生きていくこと強いられるからだ。「自分以外」の「誰か」の生命のために「自分をぞんざいに扱う」あり方は、他人からすれば「苛烈」で「歪」な生き方。

ただし士郎がそんな「歪」な生き方を選んだからこそ、「Fate/stay night」という物語は動き出す。

衛宮士郎という人物が選んだ「選択」によって、様々な可能性が生まれる世界。それを前提にして繰り広げられる戦いは「stay night」という物語が非常に「個人的な物語」であることを示す要因でもある。

次回「後編」では、そんな「Stay night」に関して、触れてみたいと思う。

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Fateの話をしようじゃないか、という雑談(前篇)

※注:本文は「Fate/staynight」および「Fate/hollowataraxia」更にはTYPE-MOON作品に関しての雑なネタバレが含まれる可能性が極めて高いので、同作品を未プレイ・ならびに「これからプレイしようとしている人」はまず、一通りプレイしてからお読みいただけると良いと思います。

 

Fateがブームみたいだ。

唐突になんの話かと言われればそれまでだけども、仕事柄時折足を運ぶ秋葉原の街を歩けば、この空気感が伝わるんじゃないかなと思う。

秋葉原はことオタクムーブメントにおいては、常に時代の発信基地だ。この街をフラフラと数十分歩くだけでも、その時なにが「来ているのか」がだいたい分かる。それがこの町が、こと「オタク産業」においては最重要視される要因だ。この町で愛されれば自然と「圧倒的マジョリティ」になり、「圧倒的なマジョリティ」となれば自然とこの町にも愛される。オタク同士による「圧倒的な補完関係」がこの街にはある。

Fateブームの要因は、スマートフォンアプリ「Fate/Grand order」にあるのだろう。2015年にリリースされたこのゲームアプリは、当初こそ色々と問題を抱えたものだったみたいだが、今は「携帯ゲーム市場」で一つの王国を築きつつある。今なお戦国時代といえる同市場において、このアプリは売上額だけで見ればちょっとした歴史を作ろうとしているらしい。

過去に「実在」したか、あるいは「神話上で語られる」「偉人」を、「サーヴァント」として使役し、「壮大な戦い」に挑む。こと「伝記」や「歴史」好きが多いオタク層にはバッチリとハマった。とはいえ、「Fate」の基本プロットは発表された2004年から大きく変貌はしていない。強いて言うならば舞台が果てしなく「壮大」になったくらいだろう(なんといっても最初の物語は冬木という「1都市」で完結するお話だった)。そんなFateがここまで大きなムーブメントになったのは、ちょっぴり「意外」でもあり。あるいは「必然」でもあるようにも思える。今日はその「必然」に至る昔話をちょっとしてみたい。なに、なんてことない雑談なので、読んで全く得はしないと思うけども。

 

ちょっと昔話をしよう。

90年代末~2000年代前半。「仁義なきゲーム戦争」には一応の区切りが付きつつあった。「家庭向けゲーム機」という独自の地平を走り抜く任天堂。それとは別の、いわば「オタクがプレイするゲーム機」の市場をSONYという強大な敵と争い続けたSEGAはいよいよ敗北の時を迎えようとしていた。98年には次世代機「ドリームキャスト」を発表するも、「プレイステーション2」に対して一度も優位性を保てぬまま、2002年には完全敗北。以降は(現在にいたるまで)サードパーティーとしての生活を余儀なくされている。そんなSEGAに対し、SONYが完全勝利を達成した、そんな時代でもあった。(因みに著者はSEGA信者)

とはいえ、厳しいレギュレーションを保つ「プレイステーション」では、「エロ」や「バイオレンス」を過剰に扱った作品はリリースされず、「それらの作品」を「求める客」や、「そういった作品」を「作りたいクリエイター」は別の「大陸」を求めた。

その行き先として彼らが選んだ新天地が「18禁PCゲーム」という場所だった。

90年代後半から00年代初頭という、極めて限られた期間ではあるものの、この市場に「様々な才能」が集まり、凌ぎを削ったのは、決して偶然ではない。時代が彼らの「居場所」をここに定めたのだろう。

99年にはD・Oから「加奈~妹~」が発売。これはこの時期から始まる「泣きゲー」ブームの発足に深く関与する作品...というだけでなく、後に星空ぷらねっと」「家族計画」「CROSS†CHANNELそしてライトノベル人類は衰退しましたを手掛けることになる田中ロミオ山田一)氏の商業デビュー作となる。

同じく99年にはKeyからKanonが発売される。これが「泣きゲーブーム」の決定打となる。因みにこちらは、後にAIR」「CLANNAD」「リトルバスターズ!を手掛ける麻枝准氏の代表作でもある。

翌年2000年には、ニトロプラス「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」を発表。もはや「エロ」の要素を度外視した「萌えゲー」ならぬ「燃えゲー」の代名詞となった本作のシナリオを担当したのは虚淵玄氏。氏はその後も吸血殲鬼ヴェドゴニア」や「鬼哭街」「沙耶の唄といった強烈で独特な作品を世に送り出した。その後まどか☆マギカそしてFate/Zeroの原作・シナリオを担当した...ということはもはや説明不要だろう。

2002年にはライアーソフト腐り姫をリリース。商業的な成功を収められたわけではなかったが、「エロティック伝記ホラー」という独特な世界観が主に「クリエイター」から熱く支持され、生産枚数が少なく、追加生産も無かった事から、後にソフトが「高騰化」する現象が起きた。同作のシナリオを担当したのは星空めてお氏。氏はその後も「児童文学」と「ミステリー」と「難解なゲーム性」を融合させた意欲作「Forest」を作り出すなど、意欲的に活動。近年では「世界征服~謀略のズヴィズダー~」のシナリオ構成・脚本を担当。現在はTYPE-MOONに所属している。

同じく2002年には戯画から「Ripple」が発売される。こちらのシナリオを担当したのは丸戸史明氏。氏はこの後「ショコラ」「パルフェ」「この青空に約束を」「世界で一番NGな恋」などを手がけ業界を代表するシナリオライターとなって行く。現在は原作を務めるライトノベル冴えない彼女の育て方が絶賛アニメ放送中だ。

年が明けて2003年にはきゃんでぃそふとから「姉、ちゃんとしようよっ!」が発売される。「姉萌え」という独特な視点だけでなく、軽妙なテンポでの掛け合いが人気となったこの作品のシナリオをてがけたのはタカヒロ氏。後につよきすを同レーベルで大ヒットさせたのち、自社レーベル「みなとそふと」を立ち上げ、君が主で執事が俺で真剣で私に恋しなさい!を手掛けた。現在は結城友奈は勇者であるの企画原案やアカメが斬る!の原作を務めるなど、こちらも商業の最先端で活躍中である。

このように時代はかくも「偉大」なクリエイターを数多現代に誕生させた。

そして2004年のFateである。

Fate」シリーズの原点となるFate/Stay nightが発表されたのは2004年。同人サークル「TYPE-MOON」のオリジナル作品として2作目、そして商業デビュー作となった作品だった。

TYPE-MOON」がレーベルとして発表した1作目は月姫。2000年に「同人作品」としてリリースされた本作は、「同人」というベースで発表された作品とは思えないクオリティ、「強烈なバイオレンス」と「容赦のないシナリオ」、そして「深く作り込まれた世界観」とそれを解説する「公式の副読本」の存在が多くの信者を生み出した。そんな「知る人ぞ知る」同人サークルTYPE-MOONの商業デビュー作である「Fate」は多くの期待を集めた。

当時、某同人店でバイトをしていた著者は、この業界の成り行きにはてんで疎かったのだが、発売前夜の「ソワソワ」をなんとなく覚えている。入荷した「Fate/stay night」を見つめる店員の瞳はキラキラと輝き、その期待を隠そうともしなかった。

「悪いことは言わないから君も買った方が良い。売り切れるだろうから、取り置きしておいてあげるから」

そう言われたボクは、バイトの先輩の言葉に特に疑問も持たず頷いた。大学生にしちゃあ身入りの良いバイトだったから、これくらいは買ってもなんともなかった。今にして思えば、「バイオレンス」と「暗いシナリオ」を嫌うボクが、自主的にこの作品を買うとは到底思えず、バイト先の先輩には感謝するばかりだ。ありがとう名も覚えていない先輩よ。あなたのおかげでボクは未だに「Fate」と仲良くしています。

さて、「Fate/stay night」がどのような評価を得たのか...に関しては、敢えて語るまでもないだろう。

同人サークルの商業デビュー作。しかも「PCゲーム」というニッチな枠組みの中でも更に「18禁ゲーム」というハイパーニッチな市場で販売されたにもかかわらず、販売本数は40万本を超えた。これは同市場の歴史に残る売り上げ記録だそうだ(因みに現在の一般ゲーム業界では50万本売れたら大ヒットである。そう考えればこの数字がいかに凄いかわかるはずだ)。

因みに前述の田中ロミオ氏はFate「日常の背後に潜む魔術的闘争を少年漫画仕立てに描いた傑作」と評している。

sube4.hatenadiary.jp

正しく言い得て妙で、「Fate」は「エロゲー」の皮を被った「少年漫画」であった。「自分の生きる意味」に苦悩する少年が、運命的な「出会い」を通じ「戦い」へと誘われる。そこで出会う「強敵」との戦いが少年を成長させる。その中では「美少女たち」との出会いや別れもある。心ふるわせる燃える展開があり、胸かきむしる切ない展開もある。

彼が最終的に向かい合う敵は「父」であったり「父的な何か」であったり「自分自身」であったりする(この辺は後編で書きます)

徹底的に一人の少年の「葛藤」と「苦悩」と「成長」を描くための物語。それが「Fate」であった。

とはいえ、この作品には圧倒的に欠けているものがあった。それは「スケール」だ。最終的には「全人類の存亡」に関わるような大事件へと発展していく「聖杯戦争」ではあるが、舞台はあくまでも「冬木市」という1都市。その都市で行われたわずかな時期のミニマムな物語が「Fate」の全てでもある。

また登場する「英雄」(作品内では英霊と呼ぶ)のバックボーンや、彼ら独自のキャラクターを存分に生かせている...とも言い難かった。

冬木市」という限定された「街」で行われる「戦争」は、やはり「戦争」と呼ぶには少しミニマムで、なおかつその「戦争」の期間の短さも相まって、彼らの内面を掘り下げるには至らなかった。(とはいえ、そこに着目していたら、Fateは少し毛色の違う物語になっていたはずだ。そこに関しても後編で触れます)

とはいえ、題材として「Fate」が持つ魅力は抜群。まだまだ色々な切り口で物語を描けるはず。

そこで敢えてこの「stay night」の「前日譚」を描こうというプロジェクトが立ち上がった。これが「Fate」におけるとても大きな転機だったと思う。

その「前日譚」=「Fate/zero」の原作者は、シリーズのメインシナリオライターである奈須きのこ氏ではなく、盟友である虚淵玄氏が務めた。氏の描いた「第4次聖杯戦争」は、「stay night」で描かれた少年漫画的な「第5次聖杯戦争」とはちょっと趣の異なる、とってもビターな物語になった。

「どう物語を描いてもバッドエンドになる」ことに苦悩する作家であった虚淵氏と「どう描いてもバッドエンドにしかなりえない」「第4次聖杯戦争」という題材はぴったりマッチした。

「人間臭さのある登場人物」、前作よりも更に「英雄然」としている「サーヴァント」。そして「容赦のないシナリオ」。

かくして「Fate」はその物語に大きな「スケール感」を得た。

物語の「前日譚」は、設定と世界観に「深み」を与えた。

また様々なアプローチで発揮された「サーヴァントの魅力」は、作品に対する「自由な目線」も与えた。

かくして、この「深み」が、後に続く「Fate」シリーズの「自由性」、ひいては「Grand order」に至る道筋を作ったのではないかと思えるわけだ。

Fate/Zero」の存在は、「Fate」というシリーズの起爆剤になっただけでなく、一人のシナリオライターの生命も救った。

「何を書いてもBADENDになる」ことへの苦悩を感じていた虚淵氏は、一時は真剣に「筆を折る」ことも考えていたらしい。しかし「Fate/zero」の執筆が、再び筆を執り続けることへの大きなモチベーションになったのだそうだ。ともすれば「Fate/Zero」が無ければ「まどか☆マギカ」がこの世に生まれなかった可能性もあるというわけだ。

すなわちこの出会いは、両者にとって「最良の縁」だったと言えるのでは?と思えるわけだ。

 

00年代の「エロゲー」、という不毛の地で出会った「若き才能たち」。彼らがその時代の作品を通して強く「共鳴」し、結果として「大きなカルチャー」を現在、共に形作っていること。

それは、この時代を見つめてきた当事者の一人として、なんだかとても感慨深く感じる現象でもある。「Fate」のブームは、そんな感傷を引き起こすファクターにもなっている。

 

→さて、後編ではもう少し「Fate」という物語の構造を掘り下げてみたいなぁと思います。駄文ですみませんがもしよければ引き続きお読み頂ければ幸いですm(__)m

 

Fate/Zero Blu-ray Disc BoxStandard Edition

 

浦和レッズ2016のまとめ と 2017展望

尊敬するブロガー様に倣い、セルフインタビュー形式でお送りいたしますw

 

ーまずは2016シーズンの感想をざっくりと。

ACL、リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯と4つのタイトルを戦って、ルヴァンカップを制覇。リーグ戦は勝ち点74で年間1位。ACL天皇杯は共にベスト16進出もPK戦で敗退。最後の最後の1戦で印象が良くないのも確かですが、個人的には十分満足といえる1年だったという気がします。今は。」

 

ー本音のところを簡潔に。

「ええ加減きっちり締めてくれないと、胃痛で死ぬ。」

 

ーレギュレーションにはやはり不満が?

「いかに糞みたいなレギュレーションでも、シーズン開始前に確定している以上、そこにアジャストせねばなりません。どれだけ不満に思おうが、そこで結果を出せない限り何も言えませんので。」

 

ーこちらも本音は。

「勝ち点差15って5ゲーム分なんすけど、それが無になるってどういうことなん(迫真)?」

 

ー4シーズン目となったミシャ政権ですが評価は。

「1年目を除いて、やっていることに大きな変化はありません。強いて言うなら選手の起用法・守備のやり方に一定の進歩はあった気はします。」

 

ー選手の起用法の変化とは。

「今までは自分の要望で獲得した選手でも、一定の水準に達しない限りは起用を避けてきました。今現在もその要素は十分に残ってはいますが。とはいえオリンピックを含めた過密日程の影響で、起用する選手の枠を自ら拡大せざるを得なくなった。その中で高木や駒井といった若手選手を積極的に起用し、彼らがある程度モノになりました。実のところこの二人はシーズンの戦力として非常に重要だった。終盤に李や宇賀神が負傷した穴を彼らが埋めたわけですから。」

 

ーとはいえ高木、駒井はミシャの基準に達したわけではない?

「自分はミシャ本人ではないのでハッキリとした回答は示せません。ただ、恐らくこの二人はまだ合格点には達していない感はあります。例えば高木は個人としての技術は高いのですが、反面浦和のシャドーに求められる『トランジションとしての仕事』を十分にこなせていない。駒井は1対1の体勢でこそ真価を発揮するアタッカーですが、1対1になる前からドリブルを仕掛けようとする気がある。ポジショニングに修正が必要なんです。

あとこれは完全に余談ですけど、”小柄なアタッカー”ばかり取るので、ミシャはそういう選手が好き・・・というレッテルを貼られることが多いですよね。ただ、僕個人としては単純に”スキルフルな選手”が好きなんじゃないかな?と思っています。で、その水準に合わせて獲得した選手が”小柄である”というだけのような気はしてます。『卵が先か、鶏が先か』みたいな話ですけど。だからまぁ同じポジションで、同じ仕事が出来そうな、サイズのある選手がいたら普通に取りに行くわけです。それがラファ・シルバや菊池じゃないかなと。」

 

ー守備のやり方の変化とは。

「1年目はリトリート。翌年から主導権を取るべく積極的なプレッシングを試みていますが、2~3年目は世界的な『ゲーゲンプレッシング』流行の影響を受け過ぎて、自滅しました。特に夏場はダメだった。今年はちょっと冷静になったというか。もちろん奪われたら『即時奪回を目指す』という狙いは変わらないのですが、相手がボールキープしている時にやみくもにプレッシングを掛けにいく...というシーンは減りました。前線がファーストディフェンダーとなる、ボールを軸にした守備が出来ていたような印象があります。それが年間勝ち点1位の要因にもなっているかと。」

 

ーもう少し詳しく。

「以前までは『即時奪回』に拘るシーンが目立っていました。それも病的に。『奪われたらすぐ奪い返す』をお題目のようの唱え、実行していました。もちろん実れば問題ないのですが、実際には人数をかけたプレスが外され、その裏に空いたスペースにパスを通される…という目を覆いたくなるようなディフェンスが散見されました。何故そんなことになるかと言うと、浦和の可変システムとゲーゲンプレッシングの相性が良くないから...だと思います。」

 

ー相性とは。

「浦和は攻撃時と、守備時でシステムを変えるチームである・・・というのはもはや説明不要とは思いますが一応以前作った図をここでも再利用しましょう」

基本形 3-4-2-1

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攻撃時4-1-4-1

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「守備時には基本形に戻して、実質3バック+2WBでガッチリ守る。攻撃時には4バックに変更して、中盤をあえて空洞化させ、前線に厚みを与え、敵陣でのポゼッションを高める...という狙いがあります。この辺の切り替えはオートメーション化してはいますが、あくまでも『ボールが切れた段階』で切り替えるのが原則になっています。

ただし問題となるのは、(当たり前ですけど)守備のシーンでは必ずしも『基本形には戻りきれない』事が多々起こり得る...ということ。攻撃時全てのシーンをシュートで終われればその限りではないのですが、どこかしらでパスを相手にインターセプトされたり、ドリブルをカットされるシーンが当然出てくる。そうなると...」

 

ー『攻撃型』布陣のままで守備をする必要があります。

「一見して分かる通り、浦和の攻撃形は中盤が空洞化しています。ポゼッションを取っている段階では、前線5枚は横並びで、バイタルエリア付近にいることがほとんどです。すると、もしもボランチの位置からのボールをパスカットされた場合、空洞化した中盤(柏木の両隣)に容易にパスを出されてしまう。」

 

ーリスクが高いと。

「この事態は攻守でフォーメーションを切り替えるからこそ起こるエラーです。これを防ぐ選択肢は数パターンありますが、これまでミシャが選択していたのは、『即時奪回』を基本とした『プレッシング』でした。プレッシングを選択するメリットとしては、もしも前線のプレスでボールが奪えればそのまま攻撃が続行できるという点。或いは奪うまでいかずとも『相手のカウンターを止める』か『ボールを切る』ことで、フォーメーションを戻す時間が取れることです。」

 

ーしかし、実際にはプレスが外されての失点も多かった。

「結果的には十分にプレスのかからないシーンも多かった。故にその弱点をピンポイントで狙われて、カウンターから失点という形が相次いだのが2015シーズンでした。」

 

ーそれは何故?

「プレスの実行レベルが低かった...と言わざるを得ません。戦術というよりも、『個人の感覚』と『頑張り』に支えられているようなプレス守備だったので。例えばファーストディフェンダーが既に縦のコースを限定しているにも関わらず、もう一人のディフェンダーが同じコースに入ってしまい、相手に中央へ展開される余地を与えてしまったり逆もまた然り。『奪いたいのか、切りたいのか』がはっきりしない守備になって、そこの隙を突かれている印象がありました。本来プレスに関与しなくてもいい選手まで引っ張られ、結果的に柏木の横以外にもスペースを作ってしまったり。」

 

ー槙野が上がりすぎていて、左サイドの広大なスペースを悠々とカウンターに使用される、という悲しいシーンもありました。主にガンバのパトリックに。

「そういうことがこのチームでは起こり得るわけです。何故ならチームがボールを持っている際には、『前線で数的優位を生かして、ポゼッションを展開すること』...を求められるからです。守備的なリスクを背負ってでも繋ぐ。前線の人数よりも、相手の人数が多いと踏んだら、後ろの選手たちも参加して、敵陣でのポゼッションを継続することが求められます。ということはなんとしてもシュートで終わる、あるいはボールを切るプレーで『常に自分たちの時間で終わらせること』が大事になります。しかし、それを90分続けられるチームは世界的にも稀有でしょう。ということはプレッシングを戦術として体系化するか、あるいはリトリート含めたリスクマネージメントを考えるほかない。」

 

ー2016年に関しては、そこに一定の進歩があった。

 「戦術的な進歩とはちょっと違いますが。先ほども書きましたが、やみくもに飛び込まなくなったし、群がらなくなった。パスミスが相手にわたってしまった場合には、ボール保持者に対峙するプレイヤーがファーストディフェンダーとなって獲りに行く。これ自体は変わっていませんが、プレイの優先事項としては『ボールを奪回すること』というよりも、『相手に前にボールを出させない事』に変化していました。またファーストディフェンダーをむやみにフォローしようとする選手も減り、まずは自陣への回帰を進め、ボールを獲れそうな追い込み方かどうかを見極め、『獲れる』と踏んだならばフォローにいく...など、守備に関する取捨選択が明文化していました。」

 

ーそれはミシャの指導?

「すみません。そこが今一つ分からないのですが、相手がボール保持している場合のゾーンディフェンスの方法などは、定石通りのものでもあるので、何かしらの指導強化はあったのでは?と思います。ただし、終盤の試合...特に大事な試合になればなるほど(ルヴァンカップ決勝ガンバ戦・最終節マリノス戦・CS鹿島戦など)以前の悪癖が露呈し、同じパターンで失点を繰り返してしまいました。ですので、戦術としての徹底が為されていたのかは怪しい部分もあります。とはいえサッカーはピッチで選手がやるもの。厳しい局面と焦りから、選手本人に旧来の悪癖が出て、そのような守備方法を取ってしまった可能性も否めないので、一概に監督の責任...とも言い切れないのですけど。ただ結果的に2016年の最も勝たなければならない試合でそれが出てしまったので、勝負弱い監督...というレッテルを拭うことが出来ませんでした。なんとも残念です。」

 

ーピッチ外に関しては。

三菱自工のゴタゴタで散々煽られたりしたわけですが、その動揺がピッチ上には反映されなくて助かりました。うまくマネージメントしてくれた淵田さん始め経営陣には敬意を示したいです。逆に淵田さんは胃の痛い日々だったでしょうけど。」

 

ーサポーターとして今回の件はどのように見ていましたが。

「そもそも犬飼社長時代に、三菱とは一定の距離感を取る取組をしている事を知っていたので、古株のサポーターほど動揺しなかったのではないでしょうか。『広告料』という名目で多くのJリーグチームが受けている『赤字補てん』契約に関しても、『うちは赤字無いのでいりまへん。もっとお金くれるスポンサーに広告枠使います』と突っぱねて、自工の人間に歯ぎしりさせた一件とかリアルタイムで見ていたので。逆に煽ってくるマスコミとかを見ながら『ホント、メシのタネが無いのね』と思っていました。」

 

ー補強に関しては。

 「ほぼほぼ期待通りの活躍でした。遠藤は即戦力の期待通りの活躍。駒井も終盤には定位置を奪取しました。イリッチに関しては残念なアレですけども」

 

ー課題に関しては。

「前述しましたが、やはり老朽化してきた可変システムでしょう。ここに手を入れない限り、新たな一歩は見えないと思います。」

 

ー老朽化とは。

「元々はフォーメーション界で圧倒的マジョリティだった4-4-2を攻略するために考案されたシステムだったわけですが、今では『多数のシステムを併用する』チームが増えた。よって浦和に抵抗してシステムを変化出来るチームが普通にあるわけです。その中でこの可変システムを使用していくメリットが少なくなっています。」

 

ー数少ないメリットとはどのようなものでしょう。

「相手が自分のチームのシステムに合わせる...ということは、相手の形をこちらが強制できるということでもある。相手のシステムをコントロールできる...というのは使い様によってはメリットになり得ます。あるいは相手をこちらの形に沿わせることで、精神的優位に立てる...という目に見えないメリットもあるかもしれません。

あとは相手を自陣に追い込むことで、ポゼッションを確保できるくらいですけど、準備万端の相手エリアでポゼッションすることに、現代サッカー的にはまったく旨味を感じません。いかに早く敵ゴールに近づくが近年ポイントになりつつありますからね。

ただ、問題なのはミシャが『相手陣でポゼッションを取ること』に『旨味』を感じているところです。。」

 

ーというと?

「年度頭にミシャが所信表明を出すんですが、そこに昨年のベストゲームが1stステージの横浜戦と書いていまして。その理由が『相手陣内で最もゲームを支配したゲームだから』と言ってるんですよね。」

www.urawa-reds.co.jp

今シーズン、戦い方としては、相手のピッチで攻撃も守備も試合を進めたいと思っています。自陣でプレーする時間を少なくした戦い方を考えています。昨年のアウェイの横浜F・マリノス戦は0-0で終えました。見方によってはマリノスがいい守備をしたというのがあったのは私は残念でした。私はあの試合に見えたものは、監督をしていてベストに近いと思える試合でした。あの試合、マリノスは確かコーナーキックがなかったと思いますし、おそらく我々のピッチでのフリーキックもほぼありませんでした。そしてシュートも記憶がある限る1本か2本だったと思います。80パーセントくらい相手ピッチでのゲームでした。やはり内容、精度の部分では、もう少し求められるものがあってもよかったと思いますが、試合をするにあたって、我々の意図、やり方というものは、非常に興味深いものがありました。あの試合、マリノスが無失点で抑えたということで、マリノスの守備を評価する方も多かったと思いますが、私が見る限り、良い守備をしていたのは、むしろ我々だったと私は評価しています。相手ピッチでボールを奪い、攻撃を仕掛けることを繰り返しすることができました。自陣にリトリートして、ブロックを作って守るのがいい守備だと思われがちかもしれませんが、今のサッカーのトレンドを見ても、いかに相手ピッチでボールを奪うかということ思います。

コンビネーションの精度、フィニッシュの精度というものは上げていかなければいけないと思いますが、あの試合のように、相手ピッチでボールを奪うことを常にできるようなチームになっていけば、今シーズンも我々にとっていいシーズンになるのではないかと思います」

 「まぁこれはあの試合に対して不満を示したり、マリノスの守備を褒めたりしたマスコミに対しての意趣返しという印象が強いんですが(笑)。ただこの理屈の根底にあるのは『相手陣内でポゼッションしてんのやからええやん』といういわゆる『糞ポゼッション』に対する信仰でして。それに対してはうう~ん、と言わざるを得ない感じはあります。」

 

ーもう少し詳しく。

「先ほども書いた通り、現代サッカーでは『いかに相手のゴールに早く近づくか』ということが重視されています。それに倣って守備戦術も発展し、いかに『良い守備」をしてそこから『時間をかけず』に攻めるか。要するに『攻守の切り替え』が重視されています。と、なると遅攻では単純に間に合わない。相手ゴールに近づくまでに余分なパスを2~3本使うだけで、相手は守備ブロックを構築できてしまいますから。まだJでは未発達ではありますが、これからどんどんと『素早く、なおかつ正確に攻守を切り替える』チームが増えていくはずなので、より一層考え方を変えていかないといけないと思います。ただ浦和に関しては今後どうなるのかはまだ良く分かりません。」

 

ーそれでは続けて来季の展望を。まずは補強から。

「相手に対策された際の手数が少なかったので、それ用の選手を補強したという感じでしょうか。フォーメーション選択の柔軟性が無いに等しいので、逆に状況に応じてそれにあった選手を入れて何とかしようという感じだと思います。

ラファエル・シルバはカウンター時のスピード、オナイウは放り込む時のターゲット。長澤は武藤、矢島は柏木、菊池は関根・宇賀神のそれぞれバックアッパーです。もちろんそれ以上の可能性を秘めた選手たちだと信じていますけども。特にオナイウとか、うちのFW陣には無い武器をもった選手なので、非常に期待しています。

本当は戦術を改革することから考えてほしいです(笑)。とはいえ攻撃が手詰まりになった際の手を考えてくれていることに関しては良かったなぁと。」

 

ー戦術に関しては。

「キャンプの情報を見ている限りでは、大きな変化はないでしょう。まがりなりにも昨年は勝ち点1位ですので、大きく変化させる必要は無いんでしょうけど。

ただ練習試合とかの情報を見ていると、ラファ・シルバの1トップに興梠、武藤のシャドーを試しているのが興味深いですね。先ほど指摘したとおり、現行システムの難点は攻撃時に柏木の両脇が空いてしまうことです。そこを誰かがカバーしない限り延々とこの弱点を相手に突かれ続けます。そこをカバーすべきなのは、両WB・両SB・2シャドーのどこかになるはずですが、ミシャはシャドーにその役割を託すのかもしれません。

個人的には悪くない選択だなと思います。興梠・武藤ともにボールキープに長けていて、運動量も豊富、そして縦への意識が強い選手です。両選手ともに前所属チームでは攻撃的MFを任されていた時期もありますし、おそらくCH的な役割の適正も高い二人だと思います。二人が場合によっては低めの位置取りをとって、柏木からのボールを正確に前へと運ぶ役割を果たしてくれれば、より高いポゼッションが保障できると思います。ただし守備的なタスクを任せると二人の高い得点能力が存分に生かせない気はするので、良し悪しだとは思いますが。反面二人が攻守に走り回ることで、攻撃にダイナミズムが生まれる予感はあります。二人ともスペースを見つけて、そこに駆け込む能力は高い選手なので。またこういった役割をシャドーに課すようだと、李や長澤も十分に活躍できると思いますし、菊池のシャドーでの起用も見えてくる気がします。

またラファ・シルバも現在の面子では繊細な動き出しとボールタッチが必要なシャドーでプレーするよりも、相手の隙間を狙って動き出せる1トップの方が能力を存分に発揮できるかもしれません。今の所ポストワークも問題なくこなしているとのことですし。とはいえ、ポストワーカータイプではないので、味方が作り出したスペースを再三の動きだしで突っつき続けるのが主な役目になりそうですが。

ただしシャドーのポジションの選手が守備的なタスクをこなすようになるとすれば、WBの選手は、より攻撃で『決定的な仕事』をこなす必要性が生まれます。実質的には3トップのウィングのような役割になるはずなので。そうなると宇賀神・関根にはシュートの決定力も求められるわけですが、そこには根本的な意識改革が必要になってくる気はします。二人ともシュートの意識がそこまで高くないので。

もし、本格的にこのスカッドで戦うのであれば、思い切ってWGに得点力の高い武藤や、ラファ・シルバを起用して欲しいです。中盤で圧力を高め、奪ったら即両サイドに展開するような攻撃ができれば、アジアでも十分に戦えると思うのですが。」

 

ー最後にこのスタイルはいかがですか。

「噂通りこっ恥ずかしいので、もうやめます」

 

さよならを教えて 浦和レッズ”超個人的”選手名鑑2017(レンタル放出組)

さよなら...今、全ての人に贈る最後の言葉...。

戸川純というよりも、CRAFTWORK的なそれ。


さよならを教えて FULLver.

 

すんません、出オチです。.

...いや、こういう陰惨な曲と記事が全然関係ないので、もう少し素敵な曲を冒頭に貼ります。


never young beach - 明るい未来(official video)

ええな、このバンド。

明るいかまボイラー的な(伝わらない例え)。

 

さて今年も色々な別れがございました。

願わくば新天地で素晴らしい未来がありますように。ゴッドブレスユー。

 

ー 大谷幸輝 GK →アルビレックス新潟へ完全移籍

遂に来てしまった。とはいえ20代の働き盛りのGKをベンチに置いておくのは、チームのためにも、本人のためにもよろしくはない。昨年はいよいよ第2GKとしての地位を安定させ、特にルヴァンカップではチームを決勝に導く大きな役割を果たした。浦和生え抜きGKらしく、セービング・シュートストップは高水準。ハイボール処理もまぁまぁ。足元は普通。では西川を超えられるポイントがあるのか、と問われるとそこは難しいところ。なんにせよ、戦力としてきちんと活躍できるクラブに行くのは何も悪くはない。さらば、モノノフよ。私は君のことが好きだった。新潟で愛してもらってくれ。

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- 加賀健一 DF(RB/RWB) →モンテディオ山形へ完全移籍

予想通りミシャ式RBへの適応に苦しんだ。このポジションでプレーするには攻撃力とアジリティが物足らず、結果として森脇のバックアッパーを務める...までの信頼を得られなかった。ようやくベンチ入り出来るようになったか?と思いきや怪我してしまうなど、ついていない部分もあった。この辺は石原とも被るが。今シーズンは「狂ったように浦和を集めている」モンテディオに活躍の場を移すことになる。4バックの右SBないしはスイーパーとしてならまだまだ出番はあるはずで、今度こそ真価を発揮できるはず。

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ー 永田充 DF(CB)→東京ヴェルディに完全移籍

ミッツンバウアーも昨シーズンはほとんど出番なし。現代型リベロたる遠藤にその座を奪われてしまった。とにかく出来るポジションが一つだけ、というのがミシャ的には使いづらかった。足元の技術は確かなので、せめてボランチなどが出来れば延命できたはずなのだが。あとは怪我の多さにも悩まされた。ヴェルディがどのようなサッカーを志向していくのかは分からないが、J2というカテゴリーで「前線にボールをけり込むマシーン」と化したとき、もしかしたら真価を発揮するのかもしれない。本人がどう思うかは分からないが。

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- 岡本拓也 DF(RB/RWB/CB)→湘南ベルマーレ期限付き移籍延長

タイトでハードなディフェンスと、運動量。そして意外な攻撃性能を持つ、浦和ユースの秘蔵っ子。フィンケに見出された逸材も浦和ではなかなか定位置を奪えずにいたが、湘南ではしっかりとポジションを確保。得点まで決めた。恐らくチョウ・キジェ監督のイケイケサッカーとは相性が良いのだろう。よくよく考えるとあの強かった浦和ユースと雰囲気が似たチームだ。だからこそ、直輝も蘇りつつあるのかも。なんにせよこのポジションの有望株をみすみす手放すのはバカらしいので、今年もチョウ軍曹のもと鍛錬に励んでもらおう。

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- 橋本和 DF(LWB/LB) →ヴィッセル神戸へ完全移籍

もったいない あぁもったいない もったいない。何故手放した!と嘆かざるを得ない。浦和に絶対的に足りない「クロス制度」を持った高性能の左WBだったのに!!!案の定神戸では早々に定位置確保すると、2ndステージの躍進にしっかりと貢献していた。峻希と両翼を組むとかなんの冗談か。「浦和よ こいつらを手放すとは 正気か」コンビという感じ。とはいえ、浦和においてのライバルは宇賀神ではなく、槙野になってしまっていて、それは恐らくWBとしては「ドリブルの精度」が不足している、というミシャの判断だったのだろう。理解は出来ないが納得するほかない。お願いだから活躍しないでくれ。浦和戦では。

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- 茂木力也 DF(CB/RB)→モンテディオ山形期限付き移籍

「浦和の選手を狂ったように(以下略)」戦略によって山形へと招集された浦和ユース育ちのDF。昨シーズンは愛媛にレンタル。良い日本人選手の少ないポジションとはいえ、いきなり33試合に出場と定位置を確保。愛媛の監督と共に山形に向かうということで、かなり木山っちに気に入られたということだろう。足元の技術確かなリベロタイプ。

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- 斉藤翔太 MF(OMF/CMF/ST)→水戸ホーリーホックへの期限付き移籍延長

試合経験を積む為に行ったJ2でなんと公式戦出場なし、と悔しい結果に。大変申し訳ないが水戸の試合は全く追っていないので出られなかった理由が皆目検討つかないが、単純に同ポジションの選手との戦いに敗れたということなのか。スピード豊かなアタッカーという印象があるものの、まだプロのピッチで何が出来るのかは未知数。とはいえ契約延長しての期限付き延長ということは浦和首脳陣もなんらかの可能性は見ているということなのか。

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- 山田直輝 MF(OMF/CMF/ST)→湘南ベルマーレ期限付き移籍延長

「浦和のハート」は昨シーズン終盤、ようやくその真価を見せつけた。ボールに触り動き回ることで真価を発揮するこのMFは、チョウ監督の要望にようやく合致。名古屋戦では残留への希望を捨てきれない敵チームを超絶シュートで沈黙させ「名古屋絶対殺すマン」としての面子を保った。名古屋サポからすればたまらんだろうが。正直終盤での動きを見ている限り、直輝は「ほぼ」絶好調時に近いコンディションになっているように思える。とにかくタフネスに動き、走るアグレッシブさが帰ってきた。かつては「和製スコールズ」と呼ばれたMFが、今シーズンJ2でどのような活躍を見せるのか、湘南からは目を離せない。そして、我々はやはり直輝の帰還を待ち続けている。

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- 石原直樹 FW(ST/CF)→ベガルタ仙台期限付き移籍

う~ん、この期限付きはどう判断すべきか。恐らく契約が残っているからなんだろうが。試合に出始めたタイミングでの怪我がキャリアを狂わしてしまった感はぬぐえない。興梠と同じく色々なことが出来る選手だと思うので、まだチャンスはあると思うのだが。反面今年は同じポジションにライバルが多すぎる。まずはチームでベンチを温めるよりも、試合勘を取り戻してほしいチームの気持ちと、主力FW二人を失った仙台との意向が合致した...というところ。役割がはっきりしている仙台であれば、大きな戦力になる気がする。

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- 阪野豊史 FW(CF)→モンテディオ山形へ完全移籍

「とにかく狂った(以下略)」戦略第3の刺客。栃木では今一つなシーズンを過ごすも、昨年は愛媛でキャリア初となる二桁得点を記録。とはいえやはり浦和では使い所の難しい選手で、モンテディオに新天地を求めた。なんとなく限られたチャンスを押し込むことにかけてはセンスがあるFWのような感じはするので、カウンター志向のチームには合致する戦力だと思う。J1上位のアタッカーには、残念ながら至ってはいないので、己の長所を磨いて頑張ってほしい。

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タイトル?なにそれおいしいの?? 浦和レッズ”超個人的”選手名鑑2017

ハッピーニューイヤーーーーーー!!!!

YEAH!!!!!!!

FUUUUUUUU!!!!!!!!

今年もよろしく!!!

....いやSHI☆KU☆YORO!!

イエァァァァァァァァァァアァァァァァ!!!!!

ヒャッホーーーーーイ!!!!!!新年!新年!新年!しんねーん!!!

 

 

 

 

.........ハァ...ハァ...っ...ハァ...

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■毎年恒例の言い訳

そもそも本来はサッカーブログであるにも関わらず、昨年上げた記事はひとつだけという体たらく。

まぁ今年も同じ感じだと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。

 

■昨年を振り返って

...え?...嫌ですけど(怪訝そうな顔をしながら)。

私、常に未来しか見つめていないので!!(清々しい表情で)

それでは早速、今シーズンの愉快な仲間たちを紹介するぜ!!

カモ━━━━щ(゚д゚щ)━━━━ン!!

※昨シーズンを最後にチームを離れた選手に関しては、別項にて触れさせて頂きますm(__)m

 

1 西川周作 GK

昨年も安定...と言ってしまうからいけないのだろうが、ハイレベルなところで安定していた。怪我らしい怪我をしないのはもちろん、セービングも、シュートストップも、キック精度も極めて高水準だった。とはいえ、人間慣れというのは怖いもので、彼のクオリティに慣れてくると次第に「ダメなところ」ばかりが目につき、終いには「いい加減PK止めろや!」などと野次る輩が出る始末。恐ろしや恐ろしや。

確かに被PKに対してのストップ率は異様に低かったが、昨年は大舞台でようやくストップしてみせて、面目躍如となった。よかった。

技術的なところがクローズアップされがち(特に足元)なプレイヤーなんだが、個人的には「危機察知能力の高さ」こそが彼が秀でたプレイヤーである証明なのでは?と思う。棋士で言うところの「一手先を読む」ではないけれど、相手のやりたいこと、やりそうなことを先読みしていて、事前にコースをつぶすことで、危機を回避する、というシーンが非常に多かった。以前はその先読みが失敗して大ピンチ、ということもあったけれど、ここ最近は「読みの取捨選択」が的確になってきているように思える。それが代表定着にも影響しているような、いないような。

あとキック「精度」ばかりに注目が行くけど、単純に「蹴っ飛ばす」能力が高い選手だと思うので、前線に起点がいたら、もっと彼のキックが戦力になるのになぁ...とは思う。例えばウタカとかウタカとか。

何はともあれ、今年も彼のニッカニカの笑顔をたくさん見たいし、見られるシーズンになればいいなぁと心から思う。

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23 岩舘直 GK

昨年は西川、大谷に続く第3GKという立場。とはいえ第2GKの大谷ですらなかなか出番を得られない中ではやはり厳しいシーズンで、ほとんどプレイするシーンを見ないまま大怪我...という残念なシーズンになってしまった。というわけでプレイに関してはなんら語ることはないが、なかなか良いあんちゃんらしく、特に関根とは仲良しということなので、関根の調教をしつつ(されつつ?)まずは初出場を目指してほしい...がライバルは榎本という....。ふむー。

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25 榎本哲也 GK New!

横浜Fマリノスの正守護神が浦和のサブGKに。何とも由々しき事態ではあるが、我々としては大歓迎。Jリーグの歴代GKでも「第2位の防御率」の持ち主という数字上での信頼性は半端ない。これまでも榎本達也や(苗字が一緒なだけで兄弟とかではない)飯倉大樹というライバルと切磋琢磨しながら、定位置を取ったり取られたりという現役生活を送っているので、メンタリティも問題ない。ハードな日程を勝ち抜くためには、こういったベテランの存在はとても大事になってくるはず。大谷はなんだ、また回収すればよいのだ(暴言)。一つ心配なのは、今まで「低いラインで徹底抗戦」のマリノスにいた...ということ。自身の前に広大に広がるスペースに動揺するか、そこをストレッチ場として使えるかで将来が変わる。あと顔は西川系。

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28 福島春樹 GK 

「大学No1GK」の肩書をもって入団も、まぁ将来への投資枠。ということで昨年は早速武者修行として野人GMの待つ鳥取へ。流石の実力ですぐさま定位置確保するもその後怪我とちょっぴり不幸なシーズンとなった。今年浦和で第2GKの位置を狙うのか、あるいはまたしてもどこかにレンタルされるのか。どちらにせよすぐさま定位置確保とはいかないだろうから、まずは経験を積んでほしいところ。キックの精度に自信あるという噂。あと顔通りのうるささらしい。

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4 那須大亮 DF(CB/RB)

アテネ世代を代表する鉄人DFも、遠藤の加入もあり昨年は大きく出場試合数を減らす結果に。とはいえ流石ベテラン。腐らず準備を続けてくれたおかげで、オリンピック後調子を崩した遠藤の代わりに出場すると抜群の安定感を発揮。バリバリに試合に出ている時とそん色のない活躍を見せてくれた。そんなプロとして手本となる姿勢は高木や駒井などの若手にも好影響を与えたらしい。個人的には森脇とのかみ合わせがすごく良かった印象がある。彼が森脇の裏をバランスよくにフォローしたり、あるいは中央において柏木のフォローに入ってくれることで、森脇が高い位置でボール持つシーンが増えていた印象がある。あるいは中央で手詰まりな時には果敢にドリブルで打開を試みたりととても好印象なプレイが目立った。とはいえ、遠藤が復調した後は再びサブに。これほどのDFであれば欲しがるチームは数多あると思ったが普通に残留。単純に複数年契約なのかもしれないが。

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5 槙野智章 DF(CB/LB)

2016年はここ数年のアグレッシブなプレイスタイルからすると自重を覚えたシーズンだった。これはミシャの指導というよりは代表での定位置確保の為なのかもしれないが。とはいえそれが良い方向に働いたのかどうかはなんともいえない。少なくとも浦和でのプレーの質という面では、例年に比べると少し物足りない印象があったのも事実。元々決して器用なプレイヤーではなく、だからこそ強みで勝負してきた選手だけにベターな選手になろうとしてもそれが良い方向に向くのかは分からん...という感じ。実際代表での定位置も失ってしまったしなぁ。個人的にはもっと横幅を使える選手になってくれたら良いのになぁと思う。サイドを突破していくか、中にカットインしてシュートだけでなく、味方をサポートする位置取りを取ったり、あえて味方を走らせたりとか。とはいえ槙野以上の選手がいるわけでもなく、尚且つ槙野がダメな選手というわけでもないので、とにかく彼が本来の力を発揮できるシーンが増えてほしいとは思う。そのためには自身の意識改革も必要とは思うが。

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6 遠藤航 DF(CB/RB/DMF)

世代を代表する若きDFリーダーは浦和でもすぐに守備の中心に。年齢を感じさせない落ち着き払った対応、的確な判断は局面局面でチームを救った。しかしリーグ戦だけでなく、ACLとオリンピック、時々フル代表という4足のわらじは流石の遠藤も未体験ゾーン。徐々にクオリティを落とし、終盤は自慢のデュエルであっさり負けたり、相手カウンターに脆くも崩れたりというシーンが目立った。特に気になるのは、カウンター対応時のスピードの遅さと対応の怪しさ。そもそもデュエルで振り切られるシーンが前半戦ではそれほど無かったので気にならなかったが、少し相手に対して食いつきすぎるクセがあるようにも思える。この辺は世代代表やフル代表では主にボランチを任せられているから...ということも影響している気はする。とはいえまだ若くいくらでも修正が利く。気になるのは阿部ちゃんの後継者として育てるのか、リベロとして育てるのかというところ。個人的には本格的なCBとして育ってほしいが。

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17 田村友 DF(LB) New!

 九州の盟主からやってきたデカくて厳ついDF。名前が挙がった際にも申し訳ないが全くどんなプレイヤーなのか思い出せなかったが、どうやらJ1昇格後は定位置を手に入れられない日々が続いていたらしい。とはいえ井原おじさんに「日本人離れしたスケール」と評されるサイズと体幹の強さは魅力的。本人は「槙野の位置でチャレンジする」とハッキリと口にしているということで、心強い。補強方針としては、元々ボランチをやっていた、ということでの技術の正確さを含めた獲得なんだろうと思う。恐らく槙野には出来ない仕事が出来そうで、成長力含めればかなり面白い存在になりそうではある。

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31 ブランコ・イリッチ DF(RB)

昨シーズン加入。現役スロベニア代表、チャンピオンズリーグ出場経験者、過去にはリーガでのレギュラー経験あり(ベティス)など鳴り物入りでの加入となったが、結果的には真価を発揮できないシーズンに。個人的にもほとんどプレイを見ていないので、コメントが難しいのだが、ミシャ式における右CBが厳密には「右SBである」ということを理解できていない動きが散見されて、それが最後までなかなか解決できなかったという感じだろう。まぁ、これはミシャ就任後の浦和ではよくおこることで、逆にここをクリアしてスタメンにたどり着いた選手も多い。なのであきらめるのは早計かもしれない。ただ「対人守備が弱い」とか「とにかく足元も怪しい」とか「そもそも戦術理解度が足りていない」なんていうネガティブな意見もチョロチョロと漏れ聞こえてくるだけに、心配ではある。幸いなことは本人が相当図太いのか、あまり周囲の反応を気にしていないところ。今年は全力土下座するくらい...とはいかないまでも普通に「森脇のローテション」として機能してくれれば何も言うことはない。

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 46 森脇良太 DF(RB/RWB)

昨シーズンの森脇をMVPに選ぶ方もいたが、同意したい気持ちが強い。少なくとも昨シーズンに関しては、「浦和の良い試合」は、森脇が良い視界をもってボールをコントロールできている試合だった...と思う。森脇が良いポジショニングを取ることで、柏木・関根が適正なポジションを取れるようになり、結果的にチーム全体の攻撃のギアが入る...というシーンも多く見かけた。本人のキャラクターのせいで誤解されがちだが、森脇は非常に繊細なプレイを得意とする選手。相手からすれば守備の圧力をかけづらいポジションの選手から正確なロングパスやサイドチェンジ、アーリークロスが入ってくるというのは、非常にやっかいなはずである。特に「中央の選手をサポートする為に中央寄りのポジション取り」をする動きが秀逸で、一時「バイエルンの試合を参考にしていた」とミシャが語っていたことから、この動きを勝手に「森脇ロール」と呼んでいた。残念ながら戦術として固定化されていたわけではないらしく、「森脇ロール」を見かける試合が非常に少なかったのだが、こういったシームレスな動きを是非相方槙野にも見習ってほしいところだ。

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3 宇賀神友弥 MF(LWB/RWB/LB)

昨年はCBデビューを果たし、プレーの幅を広げた。が、厳密には左WBから左SBにポジションを変えただけなので、そこまで目新しいことをしたわけではないけれども。それに加えミシャが本職のDFを差し置いてこのポジションにウガを起用したことで、ミシャが「左CBに求めている事」がハッキリと明文化したわけですが。なにはともあれ戦術への適応と柔軟性は相変わらずで、昨シーズンも定位置を失うことなくシーズン終了を迎えた。攻撃の選手という意味では際立った能力があるわけではないが(シュートにパンチがあるのでもっと撃ってほしいとは思う)、アジリティとモビリティと戦術理解度の高さはチームでも屈指で、今年も定位置を譲り渡すことはないだろう。こういう労働者タイプの選手って意外と得難いもので、ドイツだったりイタリアだったりというリーグからお呼びがかかりそうだな...と毎年書いている気がする。今年は久々に似たタイプの菊池というライバルが加入し、良い意味での刺激になりそう。

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7 梅﨑司 MF(LWB/RWB/OMF)

昨季再び靭帯損傷という怪我を負ってしまった。ここは一度やるとどうしても立て続けに怪我してしまうサッカー選手の泣き所だが、本人が明るく振舞っていてくれるので、まだ救われている。個人的には梅﨑というのは特別な選手で、それは2006年以降のどん底の時代を含め、一緒にサバイブしてきた仲間という印象が強いからだろう。今の浦和のメンバーでタイトルを獲ってほしいと思うのは、個人的にはミシャがどうこうではなく、あの暗黒の時代をも「たった一つのタイトル」が救ってくれると思えるからで、そこにはやはり司にもいてほしいと思うのだ。

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10 柏木陽介 MF(CMF/OMF)

一昨年から取り組んできたいわゆる”レジスタ”の仕事もようやく板についてきて、そのポジションで代表にも定着し始めた。にも関わらず、個人的には「早くボランチは止めてほしい」と思ってしまう。少なくとも、今後も柏木のボランチを続けるのであれば、彼が「正確にこのポジションの役割をこなせるような周囲のサポート」が必須だと思う。が、今の所それは選手個々の「感覚」に支えられている所があるので、今後も画期的な改善は難しいように思える。柏木というのは「インスピレーション」に優れた選手で、「ミスの少ない」タイプの選手ではない。前を向いた瞬間に浮かぶ「アイデアの数」とその中で「最良且つ相手を騙す選択肢」を一瞬で決める「判断力」の高さこそが良さなのだと思う。これらの才能はアタッキングサードでこそ活きるもので、だからこそ柏木は相手のゴールに「近い位置」でプレーした方がより輝く。今年はより中盤でのモビリティが高く、柏木よりもボランチ(というかセンターハーフ)適正の高い矢島が帰ってきたので、この際トップ下に戻しませんか?ミシャ監督(という届かぬ願い)。

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14 平川忠亮 MF(RWB/LWB/RB)

遂に最古参になったヒラさん。サッカーというのは好き過ぎない人の方が長続きする...とかあるのだろうか。6番つけてたレジェンドみたいに。流石に出場機会も減ったが、昨季は出場するや否や得点に絡む大活躍。縦に抜くだけの男ではない...というベテランながらの熟練を見せつけ、平川大好きおじさんたちを熱狂させた。<「男は走り!!」昔から技術ではなく体力で勝負してきた選手なのだが、今も持ち味が変わらずで逆に凄いと思う。

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15 長澤和輝 MF(OMF/ST) New!

犬でのリハビリを終え帰ってきた若き司令塔。加入後即レンタルという欧州ビッグクラブみたいな技を炸裂させた時には「山道たん...やるやん」と思ったものだが、文字通り「J2は試運転用に使用しました感」をHPでのコメントでも、加入会見でも出していて、犬サポの心境いかばかりかとも思う。昨年ちょろっとジェフの試合を見た印象では、それほどボールを持ちたがらないタイプに見えた。どちらかというとボールを止めては捌き、動き直し、またもらっては捌きというプレーが得意なよう。ジェフではレンタルにも関わらず10番を背負わされる期待ぶりで、一応その期待に応えるような結果も示した。反面周囲の選手たちが長澤に期待する10番の動きと、本人の得意なプレーとがかみ合っていない印象もあって、本当の意味で真価を発揮できていたようには見えなかった。浦和のシャドーは激戦区だが、求められる仕事と質ががっちりかみ合っている選手なので、恐らくそれなりの出場機会を得ていくだろうと思う。あとはフィニッシュの精度が上がればスタメンも見えてきそう。

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16 青木拓矢 MF(CMF/DMF)

昨年はスタメン機会こそ少ないながらしっかりと出場時間を伸ばした印象がある。元々スケールの大きなボランチで、個人的にはとても評価している選手なだけに、ようやくその真価が発揮できるのではと期待している。とにかくリーチが長く、相手ボールを掻っ攫うのが上手い。またポジショニングも正確なので、中盤のつなぎ役としてはもちろん、攻守転換地点としても非常に重宝する。足の速さは普通。現在は守備固めみたいな起用が多いのだが、本来はドリブルを含めて様々な仕事が出来る選手なので、頭から見たい選手の筆頭である。

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18 駒井善成 MF(RWB/LWB/OMF)

昨季途中から出場機会を掴むと、主に両WBとして定位置をつかんだ。とにかくドリブルで局面打開を試みる典型的なドリブラー。元々技術面ではJ1レベルと言われていただけに、その事実自体への意外性はなかったが、反面課題も露呈された一年だった。京都サポからの取り扱い説明書に「ペナルティエリア外ではメッシ級、ペナルティエリア内ではJFL級」というものもあったけど、少し納得してしまう部分もあった。シュートが下手...という以前にシュートを打たない...或いは打つ準備が出来ていないシーンも多々あり、せっかく突破したのに、それが実らないシーンも多かった。あとはクロスも割とおもちゃだったり、ポジショニングに修正の余地ありだったり、まだまだこれからという印象。とはいえ足元から離れないドリブルはやはり凄まじいので、今後も長所を伸ばしつつ、多数ポジションをこなせるようになれば代表も見えてくる。実家はお武家

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22 阿部勇樹 MF(DMF/CMF/CB/RWB)

昨年遂に通算出場試合500試合を超えた日本サッカー史に残る鉄人も今年36歳になってしまう。もはや大ベテランに差し掛かりながらも、連続試合フル出場記録を作るなど、もはや我々の理解の範疇を超えた活躍を続けているけども、流石にそんな鉄人にも「勤続疲労」の足音は忍び寄っている。特に試合終盤にかけては集中力が途絶えるシーンもあり。そろそろ本気で「阿部ちゃんを休ませつつ」の運用に本腰を入れ始める必要はある。とはいえ、DMFとしての完成度・戦術理解度の高さ・運動量と未だに並び立つ選手が育っていないのも事実で、頭の痛いところでもある。長谷部はよ。

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24 関根貴大 MF(RWB/LWB

個人的には昨シーズン最も成長を感じた選手だった。サイドからの突破にしか興味のなかった若者が、対面する相手との駆け引きが出来るようになった。ポジショニングが良くなったことで常に相手の裏をかくプレイが出来るようになった。その修正は守備にも生かされ、結果としてチームに大きく貢献する選手になったように思う。もちろんスピードを生かしたドリブル突破も健在。今のところ「サイドのプレイヤー」としては関根は頭一つ抜けた存在で、この定位置を駒井や他の選手が奪うには、関根以上の努力と研鑚が必要。あと、あのチャントは音程だけ修正してあげれば悪くないと思うの。

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26 伊藤涼太郎 MF(OMF/CMF/ST)

昨シーズン加入の新人ながら9節の名古屋戦では柏木に代わり出場。ボランチとしては危うさを見せながらも、ポジションをSTに移してからは見事なボールさばきと技術の高さを見せつけ「流石ヤマさんが引っ張ってきた逸材だけある」と我々を歓喜させた。が、その後はポジション争いを抜け出せず。やはり技術はもはやJ1レベルとはいえ、線の細さは目立つところもあり、しばらくはそこの強化に挑まねばいけないというところか。今年は武者修行もありか?と思いきや、チームに残留。恐らくルヴァンカップの仕様が変わり、若手の出番が増えるからと思われるが。プロ選手として重要な「感覚の鋭さ」を持った選手なので、非常に期待している若手の一人。

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38 菊池大介 MF(LWB/OMF/RWB/CMF)New!

走れる10番として、湘南のサッカーを支えた屋台骨。その価値は一言では説明できないが、高山・遠藤・永木らと共にチョウ・キジェ監督の「走るサッカー」を体現した重要な存在だと思う。浦和ではどのポジションを争うのかは分からないが、恐らく最も手薄な左WBで勝負するのではないか?と予想される。個人的には新加入組では一番早く出場機会を掴みそうな選手と感じている。トランジションとなる動きも得意そうなので、もしかしたらOMFやCMFでの起用もあるかも?という感じ。

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39 矢島慎也 MF(CMF/OMF/ST) New!

帰ってきたニヤニヤ。岡山での2年の武者修行を経て、今年浦和に帰還した生粋の浦和っ子。岡山ではボランチとして...とかこの辺は色んなサイトで散々書かれているのでもういいか。今年はまさかのガンバ大阪からのオファーがあったりして、本人は相当悩んだだろう。それ以上にウチらは相当ヤキモキしたけど。帰ってきてくれて本当に良かった。。長短のパスを織り交ぜてゲームメイクする能力は高く、そのなかでも「正確なパス」を心がける姿勢は、先輩たる柏木よりも優れている印象がある。故にCMFとしての定位置を奪い取って、早く柏木をトップ下に戻してくれ!と切に祈っている。あと、岡山でのアイドル的人気は本物だったらしく、本人もすっかり振る舞いが板についている。男から見ても可愛いので(誤解を生む文章)、今年は39番ユニを来た女子が激増する予感しかしない。

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8 ラファエル・シルバ FW(CF/ST) New!

安心安全の新潟ブランド第3弾。今年真っ先に獲得が発表されたのがラファ君だったということで、大分昔から目をつけていたということか。個人的には獲りに行くとあまり思っていなかった選手だったのでちょっとびっくりした。しかも余剰気味のアタッカー(しかも本職はSTだと思う)に外国人枠を使用する、ということはそれなりの価値を見込んでのことだろう。24歳とまだ若いのは魅力的。機動力が高く、カウンター時に活躍できるのも素敵。スピードを生かしたドリブル突破が持ち味のブラジレイロってホント久々だよね。ただ、「ボールが収まる」という印象はそれほどないので、恐らくセカンドトップでの起用が中心になるし、なによりも「相手のスペースを最大限に活かす」タイプなので、「限られたスペースを活かす」術が求められる浦和で、どの程度活躍できるのかは、始まってみないとちょっと分からない。とはいえ、今までもこういった「狙いが今一つ分からない」補強が当たったパターンはそれなりにあるので、今シーズンの楽しみの一つでもあったりする。さすがに「後半のカウンター合戦」用に外国人は獲らんだろう。多分。

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9 武藤雄樹 FW(ST)

寿司をもたらす男。背番号9にして、ミシャが発掘した最大の「発掘良品」。昨シーズンもきっちり2ケタ得点を記録して「まぐれ当たり」でないことを証明してみせた。打つと思わないタイミングでシュートをねじ込んだり、バイタルエリアから見事なミドルシュートを決めたりと、シュートの正確性もきっちりアピールしてみせた。左右両足でシュートを打てるのも魅力的。反面、味方とのコンビネーションによって持ち味を発揮するタイプの選手で、故に近接する味方のコンディションが悪いと試合からも消えてしまうことがある。特にシーズン終盤戦ではコンビネーションの停滞によって武藤が消えるシーンも頻発し、結果途中交代シーンも増えてしまった。今年は長澤という似たタイプの選手の加入もあるが、いざという時に極めてみせる「勝負強さ」は浦和屈指なので、そう易々とポジションは明け渡さないだろう。9番を背負ったレジェンド=福田正博とはプレースタイルは異なるが、ゴールパフォーマンスに関しては似ている気がする(そのワンパターンっぷりも含めて)。

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13 高木俊幸 FW(ST/OMF/RWB/LWB

大洋ホエールズ(現:横浜ベイスターズ)の誇るスーパースター高木豊氏の長兄。あんまりオヤジにも兄弟にも似ていない。スピード豊かなドリブルと、パンチのあるシュートが最大の魅力。プレースキックの担い手としてもチームで唯一信頼できる。序盤には定位置を確保できずにいたが、カップ戦での好調を受けてリーグ戦でも起用されると結果を示し、その後は主力に定着した。が、浦和のセカンドトップに求められる仕事をきっちりとこなせているか?と問われるとまだまだ足りない部分が多い。守備のことがよく言われるが、それよりも「トランジション」になる動きが少なく、後方からパスを引き出す役目を十分にこなせていないのが問題。まさかの自主練中に大けが...ということで今年は出だしから波乱だが、長澤・ラファ・李とライバルは多く厳しいシーズンが予想される。個人的には華があって好きな選手なので踏ん張ってほしいが。

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19 オナイウ阿道 FW(CF/ST) New!

今年のビックリ補強枠最有力。犬からやってきた若きストライカーにして長澤の担保(おい、やめろ)。ジェフでも途中出場の切り札として使われるケースこそあれど、頭から起用された試合も少なく、しっかりとポジションを確保していたわけでもないので、この獲得は驚きをもって迎えられた。ミシャ曰く「育ててみたい選手」とのこと。Jリーグの「ホームグロウン制度」導入を見越して、深谷出身の彼を獲得した、という穿った見方もある。ただ個人的には純粋に「戦力」と見込んでの獲得だろうと思う。あるいは先行投資。昨シーズンの全ゴール集を見るに「サイドから入る割といい加減なクロス」を「身体能力の高さ」だけでねじ込むシーンがあって、これは今の浦和には無い魅力だと感じた。「クロスの適当さ」にかけては、我々とて他のJチームの追随を許さぬ自負があるからね(エラそうに)。とはいえ、今現在はゲームの中で「何かを出来る選手ではない(ジェフサポによる短評)」そうなので、そこはこれからのミシャの教育次第だろう。まぁそれに関しては、ミシャの一番得意な分野だから楽しみでもある。ちなみにキャラは森脇2世。

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20 李忠成 FW(ST/CF)

昨年のMVPを問われたら、私ならチュンソンを上げる。それくらい彼は優れた仕事を成し遂げたと思う。相手に当たられては倒れ、決定機を逸していたのも今は昔。頑丈な肉体を取り戻したこの頼れるFWのおかげで得た勝ち点は多かった。今年はサブに入ることも多く、悔しさもあっただろうが、それでも出場したときには同点弾や決勝点などチームを救う得点を連発。ルヴァンカップ決勝でもそれは同じで、決して順調とはいえないチームを救い、ミシャ率いる浦和に初めてのタイトルをもたらす要因となった。思えばこれまで色々とありすぎて、彼には申し訳ない気持ちも多いのだが、それでもなお浦和を愛してくれる彼と共に、今年も歩めることを嬉しく思う(あれマジメだな)。

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21 ズラタン・リュビヤンキッチ FW(CF/ST)

スロベニア代表FW。いかつい見た目と渋いマスクで誤解されがちだが、決して身体を張ったポストワークが持ち味の選手ではない。むしろ高いアジリティを活かしてカウンター時に産まれるスペースを有効活用するのが得意な選手で、故に得点数と同じくらいアシスト数も多い。浦和では「他に出来る人もいないし」という消極的な理由で興梠の代わりにCFに入ったりしているが、彼の持ち味が死んでいて可哀そうな気持ちになる。とはいえ、「体の強さが無い」わけではなく、むしろそれは「ある」方に入る部類なので、西川のゴールキックをそのまま納めて決めてしまったりもした。そのせいでCFとしての起用が助長されてしまったりして。あぁ悪循環。主にサブとしての起用が中心なので「そろそろ移籍しちゃうかな?」と思ったら本人は納得づくで新契約にサインしたとのこと。そろそろST固定で起用してほしい。あと、ホントにかっこいい。

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30 興梠慎三 FW(CF/ST)

押しも押されぬ浦和のエース。特にプレイスタイルを説明することもなくなったので、書くことも特にないよね。昨年はオリンピック後に調子を落とした以外は通常営業。2ケタ得点で、年間勝ち点一位にしっかりと貢献した。CS2戦目でも先制点。あの時までは幸せだったなぁ(遠い目)。さて、今年もCF1枠はほぼ彼が独占する形になる。未だに同じような仕事ができる選手が出てこないので、これは揺るがないだろう。寡黙に勝利を目指す姿勢はやはり浦和サポーターのアイドルに相応しい。

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ということで、今年の選手名鑑でした!!

今年も埼スタで僕と握手!!!!

...あとは別枠で昨年の振り返りも一応やります(ボソっ)