-Death On The Stairs-

So baby please kill me Oh baby don't kill me 浦和とかサッカーとかサブカルとか。

シナリオ優先で個人的におススメしてみたいゲーム(18禁)という雑談。

 

※タイトルから明らかな通りそういうゲームを扱う記事です。とはいえ、直接的なリンクや表現・画像などは含みませんのでそこはご安心ください(あくまでシナリオメインの記事になりますので)。ですが、扱う題材は18禁ゲームですので、予めご了承のうえご一読くださいませ。

 

この間、久々にTwitterで「Fate記事」をピックアップさせて頂いたところ、思いのほか反響がありまして。

記事はあくまでも「Fate」の話だったのですけども、その中で当時の「エロゲ界のクリエイター」が今の「オタクカルチャー」とも関わりが深いという話をサブテキスト的にさせていただきました。

そのあたりを「面白い」と感じて下さる方もいらっしゃって。

思えば「Fate」の発売が2004年。今から14年前ということは、仮に現在20歳の方がいて当時は6才なわけで。そりゃピンと来ないし、面白いと思うのかもなぁとも思ったり。

ということで、今回はその派生として今の数倍「痺れる業界」だった当時の「エロゲ作品」の中で(00年代初頭)、自分がプレイしたもので、今でもおススメできる作品を数点ピックアップしてみようと思います。

はてなblogですので、レギュレーション等もございます。故に直接的なリンクなんかは貼れないと思いますので、もし興味ある作品があったらDMMとかで検索して購入頂ければと思います(一応DMMでの参考価格なんかは貼らせて頂きますね)。

※補足

今回チョイスしている作品はあくまでも「入門編」に近いものです。初めて遊ぶ方でも抵抗なく遊べる作品に絞らさせて頂いております。それ故に「クセが強かった」り「エグイ」作品は敢えてチョイスから外しています。予めご了承願います。またあくまでも「私が好きでおススメしたい作品」とさせて頂いております。個人的な見解なので「あの作品がない!」などのご指摘もご容赦願います。

 

ではサクっと参りましょうか。

 

 

Fate/Stay night(2004年)

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あらすじ:

伝奇活劇ビジュアルノベルゲーム。7人の魔術師、7騎の使い魔、生き残るのは、ただ一組。手にした者の願いを叶えるという「聖杯」。その聖杯を実現させるため、一つの儀式が行われようとしていた。聖杯に選ばれた七人の魔術師(マスター)には、聖杯が選んだ七騎の使い魔(サーヴァント)を与えられる。「騎士(セイバー)」「槍兵(ランサー)」「弓兵(アーチャー)」「騎兵(ライダー)」「魔術師(キャスター)」「暗殺者(アサシン)」「狂戦士(バーサーカー)」。マスターはこの七つの役割(クラス)を被った使い魔一人と契約し、自らが聖杯に相応しい事を証明しなければならない。つまり、マスターとなった者は、他のマスターを消去して「自身こそ最強」だと示さなければならないのだ。聖杯を求める行いは、その全てが「聖杯戦争」と呼ばれる。この地に起きる儀式は、その名に恥じない「殺し合い」といえるだろう・・・。

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 おススメコメント:

 本記事の発端となった本作をまずはご紹介しよう。

シナリオライター奈須きのこ、原画:武内崇

この二名のクリエイターが軸となって発足した同人サークル「TYPE-MOON」の商業デビュー作となる作品...などという概要はまぁ前回の記事でも触れたので省略。

ゲームとしては非常にベーシックな(言ってしまえば今となっては古めかしい)ビジュアルノベル

7人のマスターと7人のサーヴァントによる「聖杯戦争」という「殺し合い」。その「非日常」に呑み込まれていく衛宮士郎という少年を主人公とした物語。

いわば少年漫画としてもとても「ありがち」な内容ながら、そこに「18禁ゲーム」ならではのしっかりとした「味付け」を施したことで、独特の「エグみ」をプラス。それによって「ベーシックな内容」を見事に「現代的な作品」にアップデートしてみせ、00年代の業界を代表する作品となった。

本作のキモは「ゲーム的な部分」ではなく、やはりプレイするごとに広がる「シナリオ」にあるのだろう。

一番最初にプレイすることになるであろう、セイバーをヒロインとする「Fate」ルート。続いて解放される遠坂凛をヒロインとする「Unlimited brade works(通称UBW)」ルート。最後に解放される間桐桜をヒロインとする「Heavens Feel(通称HF)」ルート。

解放されていくたびに明らかになる「Fate」という物語の真相。「聖杯戦争」の真実。キャラクターそれぞれの思惑。そして衛宮士郎という人の「背景」。

そして、物語が進むたびに「エグさ」を増していく、苛烈なシナリオ。

今なお本作の劇場版新作が公開されている現状を見ても、シナリオ自体が「古びていない」ことは明確。やはりFateを語る上で、そのシナリオの「素晴らしさ」に触れないわけにはいくまい。

現在はFGOから入ったファンも多く、意外なことに原点となる本作を未プレイという方も多いとのこと。確かにプレイするには、まぁまぁハードルも高く、プレイ時間も長いのですが、Fateの基礎は間違いなくここにある。

シリーズそのものをじっくりと楽しみ、理解するうえで是非とも一度プレイしてほしい作品。

 

おススメシナリオ:

現在第3章にあたる「Hevens Feel」の物語が劇場公開中だが、やはり個人的には第2章「Unlimited brade works」を推したい。

Fate」という物語における様々な謎が一旦解決されるだけでなく、主人公=士郎にとっても一つの「解」が与えられる物語。「Fate」において最も「王道」と呼んで差支えない物語で、入門編としても一番良い。

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士郎とヒロイン=凛との関係性だけでなく、士郎と「アーチャー」との関わりがピックアップされる物語。その中では心震わせる「熱い物語」が展開される。もはや「エロゲ」という枠を完全に乗り越えた「少年マンガ」的に痺れる展開は、きっと誰しもが楽しめるはずだ。

現在AmazonプライムではUfotable製作のアニメ版が視聴可能。こちらもかなり忠実なアニメ化なので、おススメしたい。

UBW」でピックアップされるヒロイン遠坂凛はいわゆる「ツンデレ系」ヒロイン。

誰もが憧れる容姿と性格の良さで「学園のマドンナ」でもあるのだが、それは猫を被った姿。仲良くなると途端にツンデレ要素をむき出しにしてくる。というのは、まぁツンデレヒロインの王道なのだが、同時によくツボを心得ている。

ヒロイン要素だけでなく、キャラクターとしての遠坂凛もとても魅力的。

古くからの魔術師の家系ゆえに「アナログ至上主義者」であり、致命的なまでの機械音痴。また基本的には能力が高いのにやたらと「うっかりミス」をする...など「隙の多さ」を抱える所も彼女の魅力。

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そんな「冬木のあかいあくま」の魅力にも是非触れて頂きたい。

因みにファンディスクとして後日譚(?)であるhollow ataraxia」という作品もある。こちらは必修というわけではないが、Fateシリーズにおける小ネタなど(アヴェンジャー、バゼット・フラガ・マクレミッツカレン・オルテンシアなどはここが初出)を理解するためにはやはり必須であり、余裕があれば遊んでいただきたいところ。

参考価格:

DMMでのDL販売はなし。

Amazonでは初回版の新品はなんと3万円超えというプレミア価格。

通常廉価版でも8000円前後。製品状態に拘りが無ければ中古ショップで購入するのをおすすめする。恐らく4000円前後で購入できると思われる。

hollow ataraxia」は初回盤、通常版ともに新品は1万円超え。こちらも中古では3000円前後で購入できるので、中古をおススメしたいところ。

なお「stay night」と「hollow atraxia」の同梱版となる「セット」もあるようだが、3万円とかするぜ。うむ。

両作ともに全年齢版ではPS Vita版などもある。

ぶっちゃけエロ要素はあってもなくても同じなので、そちらでも問題は無いと思う。

 

■家族計画(2001年)

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あらすじ:

擬似家族との絆を描いた18禁ハートフルホームコメディAVG。家族の温もりを知らずに孤独に育ってきた主人公は、ある日行き倒れの少女を発見し、面倒を見ることになってしまった。それをきっかけに、元社長令嬢、同級生、バツイチ美女など次々に身寄りのない人々が現れ、彼らと擬似家族として共同生活を始めることになる。原画を福永ユミ、シナリオを山田一、音楽をI’veが担当。


Family Project OP

 

おススメコメント:

ハートフルホームコメディ???(注:あらすじ内紹介文)

ま、確かにコメディではある。だが日本的な文脈の「コメディ」には当たらないのではなかろうか...。

人類は衰退しましたラノベ界においても堂々たる存在感を示した田中ロミオ氏。氏がまだ山田一というペンネームを使用していた時代の代表作である。

「加奈~妹~」によって、業界に「泣きゲー」旋風を巻き起こすきっかけを生み出した氏の新たな一手は、「ハートフルホームコメディ」の体を装った「社会派ホームコメディ」であった。

「行き倒れのチャイニーズ少女」を拾ってしまったことから、なし崩しに「疑似家族計画」へと引きずり込まれていく主人公。その計画の中で産まれる人間関係から、次第に明らかになっていく「計画に参加した人々」のバックボーン。

「社会」という名の「コミュニティ」にどこか居辛さを感じている者。自分の責任とは無関係の「抑圧」を受けている者。そしてその「抑圧を強いてしまった者」。それだけではなくって、そういった個人の事情だけではどうにもならない「社会」や「世界」そのものの「歪み」にも目を向け、それでも真っ直ぐに前を向いて進んでいく人々を「賞賛」し「祝福」する物語でもある。

この業界にツワモノのクリエイターが集うきっかけとなった作品でもあり、「知る人ぞ知る」名作でもあるだけに、是非一度プレイしてほしい作品である。

なお、シナリオにはそれなりに善し悪しはあって、どのルートも完璧とは言い難い。まぁそこも味と思って受け入れては頂きたいところ。

 

おススメシナリオ:

おススメシナリオとなると自然と「誰かのルート」の話になるのだが、ここは高屋敷青葉をチョイスしたい。

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疑似家族内では「長女」役となる彼女。元々はどこぞのご令嬢とのことなのだが、とにかく「キツイ」の一言である。

黒髪・黒目・全身真っ黒な服装のため、主人公からは「魔女」呼ばわりされたりするわけだが、その要因の一つは息を吐くようにぶつけてくる「罵詈雑言」にあったりする。

言う言葉がどれも臓腑を抉る呪詛のよう。その語彙の豊富さにも恐れ入るが、それを適格にクリティカルヒットさせにくるワードチョイスも恐れ入る。まさに悪魔のような女である(褒めてる)。

そんな彼女が抱える「過去」もまた、なんとも「苛烈」の一言。シナリオを追うたびに明らかになっていく「事実」を知った時、恐らくこのゲームのタイトルにある「家族」について深く考えることになるはずだ。

 

例外的にもう一人どうしても触れておきたいのが、末妹役となる高屋敷末莉である。

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実質ホー〇レス化していたところを拾われた彼女。バックーボーンもとんでもなく「苛烈」で、「悲惨」な状況にある登場人物の中でも極めて「悲惨」な人物でもある(本人が前向きだけに一層悲壮感が増す)。

一応ゲーム的には彼女が正ヒロインということもあり(それってどうなのだ?とも思うが)彼女のシナリオもまた独特で面白い。「笑って泣けて感動できる」という意味では彼女に軍配が上がるのではなかろうか。

余談だが、それまで全くのストレートだったプレイヤーを、いわゆるロリコン」として開花させた狂気のシナリオの持ち主と当時はよく言われたキャラでもある。なんともはやギルティ。

 

参考価格:

一時はプレミアソフト化した時期もあったが現在はDMMでDL配信中。ありがたい時代である。

数パターン出ているが、おススメは「家族計画~追憶~」。リメイク版も出ているがやはり福永さんの絵で楽しんでいただきたいところ。こちらは4937円とお求めやすい価格帯に。

因みに「家族計画~そしてまた家族計画を~」という後日譚もある。こちらは3394円。シナリオボリューム的にはそれほどなので、作品自体を気に入ったら購入で良いと思う。

なおDMM限定なのか「山田一アーカイブス」なるものも配信されている。前段にて触れた「加奈~妹~」だけでなくこちらも名作の誉れ高い星空ぷらねっとも含まれている。

 

カナリア(2000年)

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あらすじ:

この物語は、主人公・八朔洋平(ほずみようへい)が親の都合により、四国の香川県へ引っ越したことから始まる。
叔父の経営するスタジオで偶然出逢った女の子に惹かれ、転校先で軽音楽部に入部した洋平は、3ヶ月後に控えた学園祭でのライブの成功を目指す。新しい生活の始まった彼には、新しい出逢いと、その数だけの物語が待っている。

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おススメコメント:

ある日業界に「フワッ」と現れた新興メーカーフロントウィング。彼らのデビュー作がカナリア~この想いを歌に載せて~」である。

ストーリーとしては地方(四国)に引っ越してきた男子高校生が、美少女及びバンド音楽と出会い青春を駆け抜けていくという非常にオーソドックスなジュブナイルものなのだが、シナリオ担当者が尖っていた

複数名による共作シナリオなのだが、担当者の一人が桑島由一氏。後に「神様家族」などを手掛けることになる方で、軽妙なキャラ同士の掛け合いとギャグ描写が抜群に上手いライターさんである。(筆者は桑島氏をかなり信奉している)

もう一人はヤマグチノボル氏。後に知る人ぞ知るゼロの使い魔を生み出した方。

ゼロの使い魔が発刊された時、ヤマグチノボルという名前を見て驚いた人は多かったはずだ)

原画家片倉真二を含め、それまでの業界にいなかった「フレッシュ」な陣容から生み出された作品がこの「カナリア」なのである。

特徴はやはり「キャラ同士の会話の楽しさ」。

普通の会話シーンがとにかく「楽しい」のでついつい読まされてしまうシナリオ。独特な個性を持ち、それを如何なく発揮してくるキャラクター。特に「男性キャラ」にも手を抜かない作り込みは素晴らしく、この系譜は後継作となるグリーングリーンで更に開花することになる。

しかし、そんな暖かい雰囲気を一変させる「とんでもない展開」もこの作品の持ち味。「なんでそんなことに!?」と驚かされることも多数で、これもまたこの時代ならではでもある。(そしてそのシナリオの意外性もまた「グリーングリーン」へ引き継がれていくのであった...)

また、「音楽」の素晴らしさも特徴の一つ。オリジナル楽曲のどれもがクオリティが高く、音楽の素晴らしさを評価するユーザーも多い。

因みにCV勢もとにかく豪華。彼女達の演技の素晴らしさを感じるには、実はDC版発売後に出た「ドラマCD」がとてもおススメ。

シナリオの超絶面白さと、CV陣の演技の素晴らしさがかみ合って、最高に笑える一品になっております。

若き日の堀江由衣さんもゲストキャラで出てるんですよ(ぼそっ)。

 

■おススメシナリオ

正直に言おう。シナリオとして格段好きなものは無かったりする。けれども全体のバランスの良さを鑑みて「やってみてほしい」とは思える。要は個別シナリオというよりも全体の構成が良い作品といえる。

敢えてピックアップするのならヒロインである佐伯綾菜だろうか。

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真面目でやさしく、抜けたところもあるおトボケヒロイン。

とにかく可愛らしいキャラなのだけど、シナリオが意外な展開を迎えて、色んな意味で唸らされるはず。

彼女のイメージソングである「シールド」が凄く良い曲なので、とにかく聞いてほしい。

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またドラマCD版では彼女を演じる満仲由紀子さんの名演もあって、とにかく愛すべきキャラとしての綾菜を感じられるはず。

参考価格:

DMMにてDL版販売中。価格は税込み3024円。とかなりお手頃。

パッケージ版は廃盤になってしまっているようですが、中古市場では購入できそう。ただ現在のPCスペックでは遊べないかも。

 

つよきす(2005年)

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あらすじ:

私立の学園に通う主人公・対馬レオは2年生。 初夏のある日、家に幼い頃姉代わりだった 従姉弟の鉄乙女(くろがね おとめ)が引っ越してくる。 乙女は、自分達の長期出張にかこつけてなまけている息子の 性根を叩き直して欲しいと両親に頼まれ、家にやってきたのだった。 さらに乙女は、生徒会の仕事を主人公に手伝って欲しいともちかける。 そこは主人公が想いを寄せる生徒会長・霧夜エリカが取り仕切る 女帝政治の場所であった。幼馴染の蟹沢きぬ達を巻き込んで 平凡だった日々が波乱へと代わっていく……。

www.youtube.com

 

おススメコメント

2005年にきゃんでぃそふとから発表されたつよきす

「姉、ちゃんとしようよっ!」でその才能に注目されていたシナリオライタータカヒロ氏の評価を決定的にした作品でもある。

当時固定化されつつあった「ツンデレ」という概念。この作品はその「ツンデレ要素」にひたすらこだわり抜いた作品である。(とはいったものの製作者であるタカヒロ氏はこのゲームのジャンルを「強気っ娘」と言って譲らなかったけども)

このゲームの特長はとにかく「楽しい」ことに尽きる。

このジャンルで「面白い作品」を聞かれたら、私はまず真っ先に「つよきす」をおススメする。それくらい万人向けであり「楽しい」作品に仕上がっている。

さきほどの「カナリア」もそうだが、とにかく会話の全てが楽しい。それだけでなく会話シーンに抜かりがない。単純な読み物としてのエンタメ性がズバ抜けている。なにより上で紹介しているOPムービーに入るまでに膨大な量の前日譚が入るのだから恐れ入る。(もちろんその前日譚が面白い。因みに当時この前日譚をまるまる体験版として配信していたのだ。凄いでしょ?)

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楽しさを補てんする要素にも抜かりがない。

まずゲームシステムが非常に快適。台詞に併せて動き回るキャラクターを見ていると「紙芝居」と揶揄されたジャンルのゲームとは思えない。

SAVE・LOAD含めたシステム面も非常にユーザーライク。2周目以降はOPムービーまでのスキップ機能が付いたりする。

ゲームのチュートリアルにも数パターンが用意されている。ゲームを終わる時には特別音声が数十パターン用意されている。どうこれ、恐ろしい熱意じゃない?

サブキャラクターの声優陣の豪華さも恐れ入る。もちろん仮名での起用になっているが、アニメやゲームが好きな人なら声を聞いた瞬間に「誰」だか分かる凄いメンバーが出演している。(これは後の作品でも伝統芸となっていく)

サブキャラの造形自体が面白い。忘れられない「良いキャラ」が沢山出てくる映画は愛すべき映画になりがちだが、ゲームにおいても同じであることが理解できる。

とにかく「面白い」ことをやるための「妥協」がなく、それらを全力で詰め込んだ「おもちゃ箱」みたいな作品。それが「つよきす」である。

 

■おススメシナリオ

正直なところどのヒロインもおススメなのだが、やはり幼馴染蟹沢きぬをチョイスしたい。

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通称「カニ」。主人公対馬レオにとっては幼馴染。見た目はロリそのものだが、中身は野性味あふれるワイルドな性格。とにかく野獣のようなやつで、誰彼かまわず噛みつく。とはいえクレイジーなだけでなく、本能的な知性を持ち合わせていて、クセ者だらけのキャラの中でも非常に「常識人」な一面もある。

友情に熱く、幼馴染を傷つけるやつには容赦しない。兎にも角にも好感度が高いキャラである。

そんな彼女との「恋愛」って??と思われるだろうが、予想もつかない展開を見せてくれるので、これまた必見である。

因みにヒロインとは関係ないがこのゲームの人気を高めた最大の要因が、幼馴染の一人:鮫氷新一(通称フカヒレである。

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見た目も中身も本当の「ダメ人間」であるこのキャラを、某世界的人気なボール集めちゃうアニメの、某エリート王子役の声優さんが全力で演じているのである。恐ろしいでしょ?

彼の活躍を楽しむだけでもこの作品は最高に楽しめるので、今回取り上げた中でも極めておススメの一本でもあります。

あと実は「ヤンデレ」という概念を語る上で非常に重要なキャラクターも登場する。そういう意味でもエポックメイキングな作品なのだ。

 

■参考価格

DMMでDL版販売中。ですが7344円とほぼフルプライス。さすが人気作。タイトルと同じく強気な値段設定ですな。

中古であればAmazon3500円前後。ここが常識的かも。

因みに後継作が数多と出ているが、タカヒロ氏が深くかかわっているのは1作目のみ。氏の作品が好きな方で他にも色々やってみたいと思ったら、「みなとそふと」の作品に移っていくと良い。

 

この青空に約束を(2006年)

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あらすじ:

島が舞台のハートフル学園18禁AVG。本州から少し南にある離島。坂の多い島のふもとからずっと続く石段を登りきると、下の町や海まで一望できる高台になっておりその高台の上に主人公・星野航たちの通う学園がある。しかし島の産業の大部分を占めていた大企業の工場が来年撤退することになり、学生の数は次第に減少していた。島にあるもう一つの高台の上に学園の旧校舎を改装した寮がある。寮生の減少にともない現在は主人公とヒロインたちのみが住んでいるその寮は、島の住人からは主人公のハーレムだと噂されている。そんな寮になぜかこの時期にやってきた転校生も巻き込み、時には反発したりしながらもドタバタと楽しい毎日を過ごしていく。原画はねこにゃん、シナリオは丸戸史明with企画屋、主題歌はI’ve soundが担当。

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おススメコメント:

 丸戸史明である。

誰?とお思いだろうが、シナリオライターである。

この青空に約束をを生み出したシナリオライターである。

それだけではない「Ripple」を、「ままらぶ」を、「FOLKLORE JAM」を、「ショコラ」を、パルフェを、「世界で一番NG(ダメ)な恋」を、WHITE ALBUM2を、そして冴えない彼女の育て方を世に産み落とした人物である。

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そのどれもが傑作であり、名作

つまり僕にとっての神is丸戸史明。なのである(錯乱)。

ちょっとどうかしてしまったけども、やはり僕にとって丸戸氏は特別なライター。

僕がこのジャンルにハマり込む原因となった方でもある。

もちろん全ての作品をおススメしたいのだけど、それはまた別の機会として、今回はこの青空に約束を(通称こんにゃく)」の話をしよう。

作品としてはこれまたオーソドックスなジュブナイルもの。とはいえ普通と違うのは、主人公は元よりほとんどのヒロインと「幼馴染である」ということ。そこに一人の「ヒロイン候補」が転校してくることから物語が動き出す...という意味ではちょっと視点が違うのも特徴。

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とはいえ基本的にはオーソドックスな物語を、丸戸史明なりのアレンジで表現していくことで、本作はとても魅力的な物語に変わっていく。

丸戸史明作品の特徴はとにかく「丁寧」な作り。

登場人物の設定、舞台設計からがっちり作り込む。それ故に登場人物の多くが「実在の人間」と同じように「複雑な性格」をしているにも関わらず、物語上では「破たんが起きない」ようになっている。

あらゆるルートで会話や物語に矛盾が発生しないように作り込まれたシナリオはまさに圧巻。そして組み込まれた「伏線」の多さと、その「伏線」の「鮮やかな回収」も素晴らしい。

そして更に凄いのは、そういった凄まじい仕事を「分かりやすく」見せるわけではなく、「違和感なく作品に落とし込んでいく」所。凄い手の込んだ料理なのに、パっと見それが分からない。でも食べた人には必ず分かる凄腕料理人の一品みたいなゲーム。それが「この青空に約束を」なのである。

さすが「企画屋」というプロの脚本家チーム所属だけあって「職人」なのである。

とはいえただの「職人」ではなく、氏独自の「こだわり」があって、それを探すのが氏の作品を追いかける面での「楽しみ」だったりする。

丸戸作品には表だって登場する「ヒロイン」と、氏が独自に設定している「正ヒロイン(丸戸ヒロイン)」がおり、そのルートは他ルートよりも更に凝ったつくりになっている。それをあらかじめ予想しながら、プレイ順番を決めていくのも丸戸作品の楽しみ方。

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本作は2006年度の「美少女ゲームアワード」において、大賞受賞作品(シナリオ賞、主題歌賞、純愛系作品賞、ユーザー支持賞も受賞)となった作品。まずはプレイしていただければその「面白さ」を実感してもらえると思う。

※ちなみにこの作品もコンシューマー移植版があるが、凄まじいシナリオ改変が為されているのでとにかくおススメしない。

 

■おススメシナリオ

※最初は個別シナリオの推しを書かなかったのだけど、追記する。

どのヒロインも魅力的だが、個人的な推しは桐島 沙衣里だ。

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学校の先生ではあるのだけど、舐められ通しのダメな大人。

丸戸史明はキャラメイクの天才だけども、ことこういう「ダメな女」を可愛く描かせたら右に出るものがいない。

とりあえず丸戸作品の「個性」とも言えるキャラなので、ピックアップさせて頂いた。

 

そして、個別シナリオに関わらず、この作品で最も推したいのはトゥルールートである「約束の日」である。

どのルートとも別の選択肢をすることで進む「可能性」の物語。そこでは「この青空に約束を」という物語の本当の「結末」が描かれる。

選んだ道の中で辿る「戦い」。そこで掴み取るほんのちょっとの「勝利」。それを共に讃える「仲間」。そして「約束」の意味。

作品を楽しみ、愛した人にとっては絶対に忘れられない物語がここにはある。

作品をしゃぶりつくしたものしかたどり着けないルートだけに、是非実際に遊んで、体験していただきたい。

ちなみにアニメ化したとかしてないとかいう噂もあるけど、「この青空に約束を」のアニメ版などありません(真顔)。

 

■参考価格

DMMでのDL販売はなし。2013年の新装版は定価ベースでの販売(8624円)とお高い。まぁ名作なので致し方なし。

Amazonでは6984円なのでこちらのが可。恐らく中古価格でもそこまでディスカウントされていない可能性もあり、不朽の名作と呼ぶに相応しい佇まいである。

因みに一時凄まじいレア商品になっていたファンディスクである「フォセット」は、今は定価で購入可能(6300円くらい)。あくまでもファンディスクなので、中古で買えば十分な商品である。

 

...ということで「触れやすく」確実に「面白い」作品を5タイトルピックアップしてみましたがいかがでしょうか。

もちろんPCを持っていないと遊べないという意味でも、18禁という意味でもそれなりのハードルがあると思うのですが、もしもこのジャンルに少し興味のある方ならばやって損しないタイトルを選んだつもりです。

是非触れてみて頂ければと思います。よろしくです。

 お付き合いいただきありがとうございました!

 なにこれ読みたい。