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-Death On The Stairs-

So baby please kill me Oh baby don't kill me 浦和とかサッカーとか。

J1 2ndstage 第8節 名古屋VS浦和 「攻撃を”はじめる”場所」

■対戦相手プレビュー

個人的にはシーズン前から(色んな意味で)最注目だった名古屋

監督未経験のOBGM兼任総監督という任務を与えながら、財務的には圧縮。

高年俸の外国人3人の放出はまぁ仕方なしとしても、良くも悪くもキーマンだった闘莉王に実質的な”戦力外通告”をかましたあたりから雲行きが怪しくなり、

牟田刀根という「まぁ帯に短し…って感じの選手だけど、計算はできるじゃん」というDF二人をサラっと放出。

更には本多ニッキまで放出して、チーム事情を理解しない他サポのこちらからすると「ただでさえ良い日本人の少ないDFを大量放出」という「正気か??」な放出策を断行。

攻撃面では交代要員としてまぁまぁ良い仕事をしていたはずの田中(輝)まで戦力外で放出。

これらの選手がベテランで、費用対効果が悪いのならまだしも、バリバリの中堅だったのが疑問に拍車をかけた。

補強としては、「ブラジル人3連ガチャ」ならぬ、「J経験無い欧州勢でもまとめて取ればダイジョウブ政策」で、スウェーデン国籍のシモビッチオーマンを獲得。

高温多湿の日本に北欧の選手。しかもオーマンはJではフィットし辛い縦の揺さぶりに弱そうなストッパータイプとあって、これまた不安をあおる補強に。

ただし、ボランチの薄さは流石にはっきりしているので「THE韓国製潰し屋(安定)」イ・スンヒを慌てて補強。

期待された日本人の補強には、湘南でプチブレイクした古林を競合を制して獲得。

ただし他の補強となるとガンバで出番の少なくなった明神、神戸を実質的に「戦力外」となった安田など名古屋らしからぬ消極的な獲得

FW勢も千葉でそれなりな働きをしてレンタルバックしてきた松田力のみと、こちらも小粒に終わった。

全体のバランスを見るだけでもちょっと歪にもかかわらず、開幕前のサポミで小倉が示したスタイルは、揃えた選手たちにそぐわない内容で、名古屋サポだけでなく我々をも驚愕させた

とはいえ、我が浦和の2011年を筆頭に、「ロペセホガンバ」「大榎エスパ」などここまで「こらあかんかも」と思わせる組み合わせを、意図せずこさえる日本サッカー界の首脳陣には舌を巻くばかりである(白目)。

案の定プレシーズンではチグハグなサッカーを披露。

サポーターの悲観が現実となるか…と思いきや、巨体なだけでなく「頑張れる」し「器用」なシモビッチを中心に、「とにかくまじめに役割を守る選手たち」によって1stステージ序盤はまぁまぁなサッカーを披露。

「やっちまったチームを楽しむ紳士たち」を「なんだよ、意外と普通じゃん」とがっかりさせるも(勝手)、故障者などが出始めるとやはり選手層の薄さを露呈。

守備にベースを置けない戦術選択と試合中のチグハグな指示に、いよいよチームリーダーである楢崎すらも疑問を呈す形となり崩壊が始まってしまった。

すっかり信頼を失ってしまった小倉を補佐させるため、ピクシーの参謀を呼んできて、ベンチ入りさせました←いまここ。

というのが、試合前の相手の状況。

2ndステージに限れば2分け5敗得点1失点12、という自分が名古屋サポなら「失神しそう」な状態であったが、

とはいえ「手負いの虎」ほど恐ろしいものは無い…という意味だけでなく、それなりに警戒していたのは、やはり入閣したボスコさん。

入閣の意図は実質的な小倉監督の「休養」であり、戦術(特に守備面)の修正のためだったのは明白。

元々「真面目さ」に定評のある名古屋の選手たちであれば、短期間で「最低限の守備の修正」は出来るのでは?という部分を個人的には警戒していた。

 

■スターティングメンバー

名古屋のスタメンはこんな感じ。

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FWレギュラーの筆頭であるシモビッチを怪我、続く川又を「小倉監督の誕生日に、調子に乗って監督のパンツを下したための懲罰」というで欠く(実際小倉の誕生会以降ベンチ外という…)中で、レギュラー級のFWは永井のみという状況。

その中でスクランブルな永井1トップ採用。

とはいえ、身長不足というだけでなく「足元もややおぼつかない」永井に1トップを任せる理由は、彼をライン際でウロウロさせながら「一撃必殺カウンター」を狙う以外ないだろう。

プレッシングを軸にしたショートカウンターを狙われるのならば、バックラインでのボール回しが熟練してきた浦和としては、そこまで怖くないのだけど(人数をかけたプレッシングを志向する布陣ではなさそうなので)

攻撃時に空いた両サイドの裏を永井に突かれるのはちょっと怖い。

チームの調子が悪くても、託された仕事を「やりきる」破壊力は「ノっている時の永井」なら持っている。そう、「ノっている時」なら。

この試合が復帰戦となった田口と、ルーキー和泉をシャドー気味に配置。

この二人が永井と連動してプレスすることで、ショートカウンターを決めるというのが分かりやすい青写真か。

前線3枚のプレッシングを軸とするならば、その3人が明ける中盤の広大なスペースをイと明神、二人の「頑張り」でカバーする。というちょっと無理のあるミッション。

後方は前節から取り組んでいる(らしい)5バックを採用。

こちらは浦和の5トップ対策として、まぁまぁ見るものだけど、あまり上手くいった記憶はなし。

特に前線のプレッシングを志向するかもしれない今回の名古屋においては、後ろが重たい布陣は歓迎しづらい

折角安田・矢野という守備力よりも走力に自信のあるWBを配置したのだから、浦和の両WBににらみを利かせ我慢比べを仕掛けるような位置取りをすれば良いのに。

と他人事ながら思ってしまうが、今はその余裕もなしか。

とはいえ、狙いと布陣がかみ合わない印象のある名古屋。さてどうなるか。

対する浦和はこんな感じ。

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興梠・遠藤をオリンピックで欠く浦和はここ数試合固定メンバー。

昨年までとは別人のような李。

身体のバランスが向上し、いよいよ1トップも普通にこなせるようになった。

武藤もここ2試合で連続ゴール中。チーム状態が結果に反映される選手だけに、この人が点を取れている時はチームが好調な証でもある。

その他遠藤の穴をしっかり埋めた那須を筆頭に2ndステージは安定のメンバー。

唯一、森脇がバテ気味なのが気になるが。

岡本がレンタル中なので、意外とこのポジションが薄いという。)

形だけ見ればミラーゲームであるが、さて試合はというと…

 

■名古屋の守備

ゲームに入って少し驚いたのは名古屋の守備。

1トップ永井の位置はハーフウェイライン丁度あたり。

DFラインも引きすぎずバイタルあたりで停止。

全体は引きながらも、中盤の薄さをカバーすべくコンパクトな布陣にしてきた。

勝てていない中でのホーム戦とあって、半ばヤケ気味に神風アタックを仕掛けてくるのでは?と予想していたこちらの思い込みを完全に裏切る形だった。

とはいえ、よく考えれば至極当然の采配。

この辺がボスコ効果といったところか。

浦和はいつも通りのビルドアップ。

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もはや常識と化しているが、攻撃時には両WBが高い位置取り。

ストッパー2枚はSB化。

ボランチ阿部がCBのラインまで下り、柏木の1ボランチを形成する。

この形のポイントは

・前線を5枚にすることで、相手ディフェンスにも変形を「強いる」こと。

・上記の理由から相手の中盤を空洞化し、パサーである柏木に自由を与えること。

ミシャが就任した2012年から、延々とこれを微調整しているのが浦和。

※「何も進歩が無い」言う人も多いのですが、全試合観ている自分からすると微妙に微調整しているように思います。ちなみに今年も去年とは違う取組をしています。

(浦和の戦術の話になるとゲームのトピックから外れるので、この話は別項で取り上げます)

この浦和への対策として多いのが「5バック」ないしは「1ボランチ柏木へのプレッシング」のどちらか。

要は「真ん中は3枚でガッチリ守り、両SBでサイド攻撃も殺し、中央のビルドアップも無力化させる」「サイドをある程度捨てて中盤の枚数を厚くし、中央で運動量をかけて奪う」かということ。

「数がいればなんとかなる」という神話を信じる指導者が多い日本。

前者を選択しがちで、実際のところ今年も甲府マリノスがこちらをチョイス。

結果が悪くないのも問題で、甲府はギリギリまで浦和を苦しめ、マリノスは見事引き分けに持ち込んだ。

実際真ん中を3枚(+ボランチ2枚)両サイドをSBで埋められると固い。

特に前線に「高さ」が無く、「クロスの精度が低い」浦和は苦戦する。

とはいえ、この戦術には問題がある

問題とは単純に「敵のゴールが遠い」ということ

全体のラインが下がると、「ボールを奪う位置が下がる」。

「ボールを奪う位置」「攻撃を始める位置」でもあるので、後方からビルドアップしていくか、前線に放り込んでいくかの2択になるわけだが、ビルドアップしていく場合には、敵もまた戻る時間が十分にあるため、攻めきれない場面が増える。

となると前線の高さや、速さを生かしてロングカウンターを狙うのが最大の攻撃法となる。

実際こういった戦術を得意とする海外のチームは多いが、日本のチームの場合まず「高さを生かしたポストプレイヤー」が不足している。

「速さ」に関してはそれなりにタレントはいるので、相手攻撃で空いたスペースに走らせて蹴り込む…というのはカテゴリー関係なく採用しているチームは多い。

とはいえ、今度は「気候」がネックになる。

高温多湿な日本で(特に夏には)「立っているだけでプレイヤーは疲労」していく。

ある程度守備のタスクをこなしながら、ボールに触る時間も少なく、ストレスを溜めていく展開の中では、頭も疲労していくだろう。

その状況で「スプリントを何度も繰り返す」というのは、戦術としてベターとは言い難い

…そんなわけで、名古屋はその弱点をカバーすべく5バックのラインを下げ過ぎす、全体のラインをコンパクトにすることで、浦和がパスを繋ぎ・通す隙間を奪う戦略を取った。

永井・田口・和泉の3枚は浦和の自陣ビルドアップを追い過ぎず、コースの限定に注力した。

その成果は上手くいったりいかなかったりとマチマチではあったけども、まずはしっかり守る準備の出来ている「自陣のサイド」に浦和を追い込むことが出来ていた。

完璧ではないものの「ボスコ効果」が見えた時間帯でもあった。

■「我慢合戦」

とはいえ、名古屋の集中した守備の前に浦和が四苦八苦していた…かといえばそうでもなかった

西川を含めた後方5人でのビルドアップも成長の一途にあり、「柏木が使えないなら違うアプローチ」というのも増えてきたからだ。

例えば西川から直接前線へ送る正確なフィードは連携の高まりと共に成功率も上がっているし、ボランチが相手のプレッシングを引きつけながらボールを受け、瞬時に槙野に戻し、そこからもノータイムで宇賀神に縦パスを送るコンビネーションなども相手守備陣を脅かした。

特に槙野・宇賀神と対する矢野・酒井守備面で不安定さを見せており、即席5バックが決して堅牢ではないことを予感させた。

とはいえ、名古屋FW陣の「頑張り」もなかなかで、柏木が良い形でボール受けられなかったのも事実。

従来であればこの状況に我慢できなくなった選手が「自らバランスを崩す」ような悪癖を露呈することもあった浦和だが、ACL敗退後からそういった悪癖はほとんど見せないようになった。

ひたすら忍耐強く打開を目指す浦和と、戦術を守る名古屋。

試合は「浦和優勢ながら均衡破れぬ我慢比べ」の様相を呈してきた。

 

■「綻び」

しかし試合の「綻び」は唐突に訪れる。

それまでファーストディフェンダーとしての役割を完遂してきた永井が、その仕事の質を落とし始めたからだ。

理由は明確ではないが、この日のトヨスタの蒸し暑さたるや半端なかった。

スタミナの消費も大きかったはずだ。

FW起用にも関わらず攻撃する時間が無いことが、頭の疲れも誘ったか。

あるいはここまで一度もシュートシーンの無かった自チームにしびれを切らし、攻めっ気を出してしまったか。

後者ならばチーム戦術への反逆となるため大問題だが。。

なんにせよ前半30分ほどを機に、明らかに永井のファーストディフェンスの質が落ちた

その結果、DFラインから柏木へボールが通るシーンが一気に増え始めたのである。

柏木がボールに触れるということは、浦和が中央を打開するシーンが増えるということでもある。

しかし、ここで名古屋選手陣の真面目さが裏目に出た。

前線が追いきれなくなっていることには気づきながらも、ディフェンス全体の修正を行えなかったのである。

サイドに追い込めず、中央がやられる危険性が増えた以上、今までのバランスを一旦捨て、リトリートするような形を取り、5バックでペナルティエリア近辺を埋め、バイタルエリアボランチが埋める形にし、この局面を守りきる必要があったはずだ。

「守備はまず中央を固める」という鉄則がある通り。

しかし、結果としてその意思を発揮する守備リーダーが不在だった。

また攻撃時にフォーメーションを変形させるやり方も、この日は逆効果になっていたように見える。

というのも攻撃に入る位置(奪う位置)が低すぎることもあり、浦和の守備対応が早く、永井をDFの裏に走らせることが出来なかった(特に槙野はマンマークに近い形で永井を封じていた)。

と、なると後方からビルドアップするほかないのだが、ボールを繋ぐには中盤の枚数が足りないこともあり、攻撃時には酒井をSB、矢野をSHくらいまで上げる戦術を取っていた。

とはいえ、この戦術自体が付け焼刃だった為か繋ぎ方が拙く、攻撃が成立するシーンは少なかった。

実らなくともシュートで攻撃が終われればフォーメーションの修正も容易なのだが、流れの中で攻撃⇔守備をシームレスに切り替えるほどの戦術熟成度が、今の名古屋には無かった。

結果としてこのシフトが名古屋守備に綻びを生んだともいえるかもしれない。

浦和の得点は43分。

永井によるプレッシングが効かなくなった名古屋は、柏木・阿部の中央でのパス交換も傍観してしまう。

結果としてこのパス交換から柏木がジリジリと前線に進行。

一機にパススピードをアップさせる。

高木が自分にマークに付いている酒井を引きつけながらバイタル手前まで下りてボールを受ける。

ペナルティエリア付近まで攻め上がっていた柏木がフリーでリターンパスを受けてキープすると、乱れたDFラインの合間を狙ってスルーパス

これを武藤が左足で冷静に流し込み、浦和が先制点をゲットした。

失点シーンの名古屋守備陣を見ると、DFラインが中途半端になっているにも関わらず、中盤の選手がバイタルエリアをカバー出来ていないのが良く分かる。

以下雑な図w

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高木が前線から下りてボールを受けた場面で、本来DFラインをキープせねばならない酒井がバイタルエリアまで引っ張り出されている。

酒井が高木に付いていった理由までは分からないが、バイタルエリアで彼に前を向かせない為か。

それを竹内が許容していたのならば、竹内はオフサイドを取る準備をしないと行けないはずだが、DFラインの意志はバラバラのように見える。

本来柏木をマークしなければいけない和泉が高木の出したパスを追いかけており、柏木は誰のマークも無いフリーの状況。

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バイタルエリアを埋める選手がいない以上、DFラインを突破されてはいけないのだが、ディフェンスラインを形成している竹内と左SB安田の意志疎通が行われておらず、オフサイドトラップがかけられない。

また大武もブロックを捨てインターセプトを狙ってその裏をパスで通されている。結果竹内と安田の間に入った武藤は易々とゴールを決めた。

誰が悪いとは言えないのは、「名古屋内での正解」を私が知らないからだが、少なくとも3バック全員の意志が統一されていないのは「コーチの責任」と言わざるを得ない。

■後半

後半、小川の投入から名古屋が攻める時間帯が増えた。

小川が「受け手として良い動きをしたから」かと思ったがそういうわけでもなく。

単純に名古屋のボールを奪える位置が上がり、結果としてパスの出し手として優秀且つミドルシュートを狙える小川が良く見えたということだろう。(名古屋がボール奪えた要因は浦和のミスパスや、セットプレー崩れから)。

元々中盤を間延び「させる」のを狙いとしている浦和は、中盤でボールを奪われてからのカウンターには脆い。

両WBの裏に永井や松田を走らせ、そこに田口や小川からボールを供給する。

跳ね返りをバイタルエリアに駆け込んだ田口や小川がシュートを狙う、というのは限られた戦力の中ではベターなチョイスのように思える。

とはいえ決してディフェンスの良くない浦和相手に枠内シュートを一本も打てず、とやはり攻撃には課題を残す形。

浦和は試合終了間際、西川のゴールキックに競り勝ったズラタンが器用に決めてスコアを2-0とし、試合を終わらせた。

セットプレーがひたすら苦手な浦和だが、このパターンで2試合連続ゴール。

夏場には有効な得点パターンに見える。

結果、名古屋は枠内シュート0に抑えられ、勝負は凡庸な表現をすれば「順当」に終わった。

■総括

名古屋は今後も「5バック」を継続するのだろうか。

個人的にはあまりオススメできない。

それよりも永井をシンプルにサイドに「走らせる」戦術にして、合わせ役に川又を採用すればもう少し勝ち点が稼げるのではないか。

前任者西野の置き土産「右SB矢野」も、守備的なタスクの多い現状ではあまり魅力的には映らない。

それよりもCBとしては対人守備に難のある酒井を右SBに回し、矢野が本来輝く右SHに戻し、「サイド攻撃」に一縷の望みを託す方が良い気もする。

まま、所詮チーム事情を知らぬ他サポの戯言ですが。

浦和は安定。

苦手な夏場を負けなしで首位攻防戦に臨める。

ホームの川崎戦は不思議と苦手なんだが、

疲れたときにロングパスという選択肢が使える以上、ショートパスとポジションチェンジ、ショートカウンターを武器に戦う川崎よりはこの季節向きのように思う。

なにはともあれ首位攻防を巡る大事な一戦だけに、フェアで面白いゲームになること。

そして浦和サポとしてのちょっぴりの期待をこめて埼玉スタジアムに向かおうと思う。


【ハイライト】名古屋グランパス×浦和レッズ「2016 J1リーグ 2nd 第8節」